トーナメント観戦に付随する「歩行」は、観戦当日だけでなく、その後の健康行動にも寄与する(イギリスの研究)

2019年1月23日に公開されたイギリスの研究誌【BMJ Open Sport & Exercise Medicine】に、Murray AD らによる『Do golf fans walk the talk? Follow-up of spectators’ beliefs and self-reported physical activity 3 months after they attended a professional golf tournament in the UK.』という報告が掲載されている。 本研究の著者らは、ヨーロッパのゴルフトーナメントの観客を対象とした先行研究において、ゴルフ観戦をした84.7%が健康のために推奨される1日の歩数を達成しており「トーナメント観戦は健康増進に寄与する」と結論づけてきた。 今回の研究では、『ゴルフトーナメントの観戦は高い活動性が得られるとはいえ、それが「観戦の日だけ」であるとするならばその効果は僅かでしかない』という立場から、トーナメント後の生活においても身体運動に関する知識や認識および態度に、ゴルフトーナメント観戦経験が影響を与えているかどうかを、トーナメント観戦後に追跡調査することを試みた。 2016年8月4〜7日にスコットランドで開催された、European Tour Paul Lawrie Match playの有料観戦者1500名のうち無作為に抽出された339人がその場でアンケートに回答し歩数計を装着するなどした。歩数を中心としたデータは既に論文として報告されている(Murray AD et al., 2017) 。 このイベントの3ヶ月後にメールで送信されたGoogleフォームを利用したアンケートに135名が回答した。 135名の集計の結果、回答者の68.0%が身体運動に関する知識が「増加していると思う」と回答し、65.1%がトーナメント観戦での経験を経て「日常生活の中で身体活動を増やすことを検討した」と回答した。 また、36.9%が「アクティブな観戦による健康上の利点についての情報がトーナメント会場内で提供されることで、将来ゴルフトーナメントに参加する可能性が高まる」と回答した。 健康情報を知らせる具体的な方法として「トーナメント会場内の大画面による提示」への回答率が最も高く、次いで「リーフレットの配付」が効果的であるという回答が多かった。他方、ポスターや電子メールによるコミュニケーションはあまり支持されなかった。 この研究で得られた新たな知見として
  • ゴルフトーナメント観戦者の多くは、プロのトーナメントで介入を受けた後に身体活動が実際に増加したと考えている。
  • ゴルフトーナメントでの公衆衛生や健康教育の介入は、観戦者の個々の健康と幸福に役立ち、公の健康と幸福にも寄与する可能性がある。
とされている。 そして、
  • 将来スポーツ大会の主催者は、公衆衛生や健康教育の介入を検討するよう促されることが考えられ、
  • 観戦行動によりファンや観客は健康上の利益を受け取ることができ、トーナメント主催者やスポンサーは、収入だけでなく社会的責任(CSR)の利益も得ることが可能だろう、
としている。 <参考文献> Murray AD, Turner K, Archibald D, et al. An observational study of spectators’ step counts and reasons for attending a professional golf tournament in Scotland. BMJ Open Sport Exerc Med 2017;3:e000244 10.1136

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北 徹朗

<現職>武蔵野美術大学 身体運動文化准教授・同大学院博士後期課程兼担准教授、サイバー大学 IT総合学部 客員准教授、中央大学保健体育研究所 客員研究員  <学歴>博士(医学)、経営管理修士(専門職)、最終学歴:国立大学法人東京農工大学大学院工学府博士後期課程  <主な社会活動>ゴルフ市場活性化委員会委員(有識者)、公益社団法人全国大学体育連合常務理事、一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会常任理事、日本ゴルフ学会理事・代議員、日本ゴルフ学会関東支部事務局長、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会代表理事