『スマートゴルフ場』実現への期待と提案

2019年1月、楽天は「スマートスタジアム構想」を発表し、今シーズンより「東北楽天ゴールデンイーグルス」(プロ野球)と「ヴィッセル神戸」(Jリーグ)のホームスタジアムにおいて完全キャッシュレス化をスタートさせた。 また、同年8月には、プロ野球の横浜DeNAベイスターズとKDDIも「スマートスタジアム」の構築に向けてパートナーシップ契約を締結した。 2020年以降に、スマホ決済などスタジアムでの利便性向上をはじめ、5GとXRや自由視点を組み合わせた映像テクノロジーを活用し、好きな視点でリプレイ視聴できる新たな野球観戦の提供を目指すのだという。 2016年6月にスポーツ庁と経済産業省がまとめた『スポーツ未来開拓会議中間報告~スポーツ産業ビジョンの策定に向けて~』の中で、「スタジアム・アリーナ改革」として、コストセンターからプロフィットセンターへの変革をすることを目標に、国内外の事例を交えながら展望が示されている。 この報告書には、海外事情の一例として、Levi’s® Stadium(リーバイススタジアム、アメリカンフットボール)が挙げられているが、ここには1200ものWi-Fiアクセスポイントがあり、【スタジアム・アプリ】を介して、座席まで注文した飲食物がデリバリーされるサービスや、スマホでのハイビジョンリプレイ、ナビゲーション(動線案内)、空いているトイレの案内などの情報がスマホから得られるとされている。 CNET Newsには2014年8月の段階で下記のニュース動画が上げられているが、これを見ると、アメリカに比べ日本はかなり遅れていることがわかる。
ゴルフに関連するICTやIoT関連の動向を見ると、ラウンド中の様々なデータの蓄積とフィードバックが得られる「Arccos360(アーコス)」が2018年1月に発売されたり、同年4月にはPGAがソニーと「スマートゴルフレッスン」を共同開発し、ティーチングにおいてよりわかりやすいデータ表示が瞬時に得られるデバイスが開発されたりしている。 このように、ゴルフの場合は、競技場(ゴルフ場)の環境改善ではなく、プレーヤー個人の技術向上に関するテクノロジーが進化してきた。 筆者は、従来、18ホールにこだわらないプレースタイル(1ホールごとの価格設定)や、プレーファスト(速く回ろう)からゴーアヘッド(お先にどうぞ)を推奨することが、高齢者に優しいゴルフ場に近づき、それは同時に初心者向けの環境にもなり得ることを主張してきた。 日本でも「スマートスタジアム構想」が本格化してきたが、これをゴルフ場に当てはめた『スマートゴルフ場構想』が実現すれば、ゴルフのプレースタイルも変わって行くのではないか。

『スマートゴルフ場構想』の提案(北 徹朗)

  1. ゴルフ場内にWi-Fiアクセスポイントを多数設置する。
  2. どのホールでチェックインし、どこでホールアウト(プレー終了)したかがわかる。
  3. 必ずしも18ホール回らなくても、やめたいホールでやめられる。
  4. 例えば、混雑しているホールを避け、空いているホールを回ることも可能になる。
  5. 1ラウンドではなく、1ホールあたりの価格設定で、やりたいホールだけ回ることも比較的容易になる。
  6. ラウンドしたホール数に応じて課金され、オンラインで決済もできる。

など


◆参考文献 : 北 徹朗(2018)ゴルフ産業改革論、ゴルフ用品界社

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北 徹朗

<現職>武蔵野美術大学 身体運動文化准教授・同大学院博士後期課程兼担准教授、サイバー大学 IT総合学部 客員准教授、中央大学保健体育研究所 客員研究員、東京大学教養学部 非常勤講師  <学歴>博士(医学)、経営管理修士(専門職)、最終学歴:国立大学法人東京農工大学大学院工学府博士後期課程  <主な社会活動>ゴルフ市場活性化委員会委員(有識者)、公益社団法人全国大学体育連合常務理事、一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会常任理事、日本ゴルフ学会理事・代議員、日本ゴルフ学会関東支部事務局長、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会代表理事