ゴルフの定義

ゴルフを定義付けるとしたらどのようになるのでしょうか。おそらくこのようになるのではないでしょうか。

「ゴルフ場でゴルフ用具を使用して行うゲーム」と。

これはほとんどの人がこのように認識しているもので、これ以上でも、これ以下でもないものです。しかし、これに異議を唱える人達がいます。

ゴルフを競技として捉えている団体や個人の人達です。彼らのゴルフに対する定義は明確で「ゴルフはゴルフ場でゴルフ用具を使って行うゲームであり、そのゲームは定められた競技規則に法って行なわれるものである」そして、これ以外はゴルフとは認めない。というものです。

ここに実は厄介な問題が生じているのです。

競技ゴルフをする人は全ゴルファー(このように表現してよいものかわかりませんが)の約7%と言われており、日本のゴルファー(1年に1回以上ゴルフ場か練習場に行った人)が800万人とすれば56万人が競技ゴルファーということになります。

7%という数字は日本だけでなくゴルフが盛んな国々でも同じような割合になっています。
一口でゴルフと言っても他のスポーツと違ってその該当範囲がかなり幅広いのが特徴です。

一つは競技、スポーツとしてのゴルフであり、2つ目はレジャーとしてのゴルフ、3つ目はビジネス、社交としてのゴルフ、4つ目は健康や趣味を目的としたもの、これら全てがゴルフとなります。

どれもゴルフ場でゴルフ用具を使って行なわれるもので全てゴルフと認識されているものなのです。

しかし、競技団体や競技ゴルファーの人達はこれら4つの項目全てを一つのルールで縛りつけようとしているために、ゴルフの普及にブレーキをかけていることに気がついていないようです。

競技としてのゴルフはオリンピック種目にもなるくらい世界中で普及が進みプロの世界でも大きな成果を上げています。そのために競技を行うにあたっては公平さが求められ、特にゴルフは唯一審判のいないスポーツとして存在するために一人ひとりがルールに忠実であり、正直にプレイすることが求められています。このことは素晴らしいことだと思います。

「強いゴルファーの前に、良きゴルファーであれ」という言葉はゴルフの真髄を表す素晴らしい言葉であり「紳士のスポーツ」とも言われることも理解できるのです。

しかし、競技をしないゴルファーにとってルールとはどのようなものなのでしょうか。

ゲームをより楽しむために最低限必要な決め事が少しあればよいのではないかと思います。

2人でゲームをするなら相手と決め事を作ってからゲームを始めればよく、2組(5人以上)以上の人達でゲームをするならリーダーか主催者が決め事を作ってプレイヤーが理解してゲームをすることで問題はないはずです。もっとゲームを面白くするために自分たちのルール、決め事を作って行えばエキサイティングなゲームを楽しめるはずです。

しかし、ここで大きなミスリードが現状では行われているために、ことをややこしくしているのです。それは通常行われているコンペと称するゴルフ大会においてまでも「この大会はJGAのゴルフ規則に沿って行います」と大会要項に書いたり、発表したりすることで楽しいはずのゲームがシビアなものに急転換してしまうのです。

これでは初心者や経験の少ない人、もっとゲームを楽しもうと思っている人達に高いバリアを作ってしまっているのです。

競技をしない人達にとってスコアはあまり意味のないものかもしれません。ゴルフ場でゴルフ用具を使って行うゲームであれば、いろいろなゲームの楽しみ方があるはずで、それらのために使う道具も様々なものがあってしかるべきものです。競技団体がいちいちそれはルール違反だとかどうだとか、いうこと自体おかしなことだと思いませんか。

用具は使い手が、このようなものがあったらもっと楽しめる、楽にできるという要求の中から自分で工夫して作るか、うまく作れる人に頼んで作ってもらうかです。それを使うかどうかはゲームをする相手との交渉でどうにでもなるものです。

スポーツ、競技としてのゴルフとそうでないゴルフを同じゴルフという言葉でくくるために今大きな問題が起こり始めているのです。

ここらでゴルフの定義を2つに分けて作り直したほうがゴルフの普及に大いに役にたつと思います。「競技ゴルフ」と「ゴルフゲーム」という具合にです。

両者はゴルフ場でゴルフ用具を使って行う点では似ていますが、目指すものは全く異なるものと認識して区分けする必要があるからです。

そうなると競技団体はアマチュアもプロも一緒であり、ゴルフ競技の開催、運営とその普及に全力を挙げることで対象がぐっと狭まるために活動もしやすくなります。

一方、ゴルフゲームはゲームのやり方によって当事者が決め事を作ればよく、この部分はやりながら自然に一つの形が出来てくるはずです。そこで色々なゲームを統括するような新しい団体、組織が必要であればゴルファー(ゲーマー)一人ひとりが会員になって組織を支え、新しい組織はゲームの開発や普及、それに合わせた用具の開発なども行うことも考えられます。

皆さんがよく楽しんでいるオリンピックやラスベガスなどといったゲームもゴルフの楽しみ方の一つであり、スクランブルゴルフもそうです。そこで使われる道具もゲームによって変わってきて当然です。

このように最初は手軽に楽しみながらゴルフゲームに親しみ、その中から競技ゴルフに目覚めて立派なプレイヤーになっていくのではないでしょうか。

メディアの役割はそうなるととても重要です。両者の違いを明確にした上で報道する必要があるからです。今のように曖昧であるとゴルフに対するイメージもスポーツなのか娯楽なのか社交なのかレジャーなのか中途半端な状態になるために誤解を生じるからです。

公務員の倫理規定に未だにゴルフが入っていたり、利用税という税金を科せられることもゴルフの持つ幅広さから人々の認識、特にゴルフをしない人達の認識に大きな差があるからではないでしょうか。

ゴルフという言葉の定義を明確にして、それぞれが楽しめる環境整備が今必要なことです。当然そうなるとゴルフ場も練習場もどちらの顧客をメインにするのか、それとも使い分けをするのか決める必要があります。

一人の顧客はゴルファーであったりゴルフゲーマーであったり使い分けをするからでゴルフ場も練習場もそれに対応できるようにしなければならないからです。

ゴルフ用具も当然競技用とゲーム用の2つのタイプを開発する必要があります。

競技用は純然と腕前の争いとなるので用具は同一化の方向がふさわしくプレイヤーの技術の差を競わせるべきで、ゲーム用はある意味ゲームの方法が多岐に渡ればそれにふさわしいものが当然求められることになり、開発の範囲は無限に広がります。開発者の腕の見せ所となり、用具市場の活性化にもつながるのです。

今、ゴルフ業界はゴルファーの減少、若年層の参加率の低下で将来的には難しい局面に立たされ困った状況となっています。困ったという文字は木が枠に囲まれていて成長できない状態を指したものですが、これを脱するには枠を取り払う必要があります。

これをゴルフ界に置き換えてみれば、従来からあるゴルフを一つの枠で括ってしまった結果から成長が止まってしまったと見るべきで、そうなればこの枠を取り払って大きく成長できる環境を作ることが、今すべき大切なことなのです。

ゴルフという表現を明確に2つの定義に分ける時が来ています。「競技ゴルフ」と「ゴルフゲーム」と言うものに。それが「ゴ・ル・フ」という大きな器の普及に役立つと信ずるからです。

2018年7月
松尾 俊介

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ABOUTこの記事をかいた人

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める。
その後1994年キャロウェイゴルフからのオファーを受け日本人初の正社員として契約。日本法人では広報担当責任者として6年間担当し、その後2014年までCorporate Relationsの担当責任者として勤務。主に対外的な渉外活動を行う。2015年からフリーとなる。
「日本のゴルフを面白くする」が新たな活動テーマ
キャロウェイゴルフ在職中はゴルフの普及や活性化のために幅広く活動。
◎ゴルフ市場活性化委員会広報責任者
◎一般社団法人日本ゴルフ用品協会 活性化委員、ジュニア委員
◎NPO日本障害者ゴルフ協会理事
◎北海道ゴルフ観光協会顧問
主な活動・著書
*著書:クラブが分かれば上手くなる!(スキージャーナル社)  
*取材編集:ゴルフの楽しみ方(講談社)