日本における「ヘルスツーリズムとしてのゴルフ」研究への期待

3月1日にWebで先行公開されたイタリアの学術研究誌【THE JOURNAL OF SPORTS MEDICINE AND PHYSICAL FITNESS】の最新号に、オーストリアの研究者(Neumayr G et al.)らによる <Effects of a one-week vacation with various activity programs on cardiovascular parameters> (様々な運動プログラムを用いた1週間の休暇が心臓血管系パラメータに及ぼす影響)という論文が発表されている。
この研究の目的は、1週間の休暇中に行う運動・スポーツ内容が心血管系パラメータに及ぼす影響について調べることが目的であった。オーストリアの東チロルで1週間過ごした52名の旅行者のうち、「ゴルフ」を週33.5時間した30名と、「ノルディックウォーキングまたは電動自転車」を週14.2時間した22名に対し、肺運動負荷試験(Cardiopulmonary exercise test:CPET)、ホルター心電図、心エコー検査を、東チロル滞在前後1日に測定した。
分析の結果、両方のグループで、血圧と心拍数の低下傾向が見られたが「ゴルフ群」のみで統計学的に有意な低下が認められた。また、ノルディックウォーキングまたは電動自転車群」では心臓拡張期機能の改善傾向と体重減少が顕著であったが「ゴルフ群」では見られなかったとされている。
日本においても、温泉や自然に触れたり、その地域ならではの食を味わう旅行は、医学的観点からも健康増進に効果があるというヘルスツーリズムのエビデンスは多く報告されているが、本研究の様な滞在型で、なおかつゴルフと他の運動・スポーツと比較した研究は少ない。
緑に囲まれてプレーすることや、歩行を中心とした運動であるゴルフにおいては、様々な健康効果の可能性が期待できる。日本のゴルフ場は様々な地形や立地環境のものがあるし、温泉や入浴施設も充実している。我々は今後、「日本におけるヘルスツーリズムとしてのゴルフ」の仮説検証を計画しているが、ヘルスツーリズムとしてのゴルフは、個人の健康増進だけでなく社会的観点(医療費の削減や地方創生)でも期待値が大きい。
参考文献
Neumayr G, et al.:Effects of a one-week vacation with various activity programs on cardiovascular parameters, J Sports Med Phys Fitness. 2018 Mar 1

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    北 徹朗

    <現職>武蔵野美術大学 身体運動文化准教授・同大学院博士後期課程兼担准教授、サイバー大学 IT総合学部 客員准教授、中央大学保健体育研究所 客員研究員  <学歴>博士(医学)、経営管理修士(専門職)、最終学歴:国立大学法人東京農工大学大学院工学府博士後期課程  <主な社会活動>ゴルフ市場活性化委員会委員(有識者)、公益社団法人全国大学体育連合常務理事、一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会常任理事、日本ゴルフ学会理事・代議員、日本ゴルフ学会関東支部事務局長、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会代表理事