スポーツの変革(2)

【この記事は2018-06-11に大西久光ブログに掲載したものを転載しております】

興業収入の中心になるべき入場券販売の実態はどうか?

ゴルフはプロ野球、サッカー、相撲など多くの観戦フアンを持つスポーツと大きな違いがある。
これらのスポーツには観戦用の固定されたスタジアムがあるが、ゴルフではプロトーナメントを開催するゴルフコースに観戦用の施設を設置して会場にする。

スタジアムと違い、電車の駅に近いコースは極めて少ない。そのため、自分の車で行くか、近隣の駅からのバスに乗るしかない。
その上、海外のコースと違い、クラブハウスの周辺に駐車場が少なく、駐車してからバスに乗るなど、コースまでの時間がかかる。

海外の場合にはコースの周辺にスペースがあり、それらに駐車すれば、歩いてコースに入ることができる。雷などの悪天候になっても自分の車へ逃げ込むことも可能だ。
日本ではコースを造成する時に土地の確保が難しかったから仕方がないが。

一方、観戦会場がゴルフコースなので、観衆は自由に観戦の場所を移動することができる。ゴルフコースは自然が豊かだから、その自然を楽しみ、良い空気を吸うこともできる。
家族連れでピクニック代わりに観戦することもできる。

プレーしている選手とも距離が近く、最近では一定の場所で選手との写真を撮ることもできる。このような観戦スタイルは他のスポーツにない利点でもある。

日頃はアマがゴルフをするコースがスタジアムになるのだから、観衆用のスタンド、スコアボードの設置、撤去、TV放映用の設備など大会のためのコストが必要になる。

次の問題点は入場券の販売ルートが確立されていないことだ。固定された会場がないので、それぞれの主催者は入場券の販売に苦労している。マスターズのように予約したギャラリーだけで、一般の人の手に入らないような状況は夢のまた夢である。

一方、大観衆が入ると、ギャラリー整理、多くのトイレの設置など新たな悩みが出てくる。「入場券が売れれば売れるほどコストがかかる」とぼやく主催者もいるくらいだ。

良い開催コースは不可欠の条件だが、最近の男子プロの飛距離から7200ヤードを超えるようなコースは日本ではきわめて少ない。海外ではティーを下げるなど距離を伸ばすための改造工事が行われているが、土地の制約がある日本では不可能に近い。

日本のトーナメントで「観戦者をどのように受け入れるか?」これからの難題と言える。

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    1937年2月10日、兵庫県西宮市生まれ
    1995年 関西学院大学商学部に入学。大学時代ゴルフ部キャプテンとして関西リーグ戦に優勝。
    1959年 関西学院大学を卒業し㈱日本ダンロップ(現:住友ゴム工業㈱)に入社。
    ゴルフボールの販売推進を第一歩に、ゴルフ用品の商品開発に従事するなど、ゴルフビジネス一途に専従する。
    1973年 ㈱ダンロップスポーツエンタープライズの創設と同時にゼネラルマネージャーとして出向。
    1975年 同社取締役就任、1982年 同社常務取締役就任。
    1986年 住友ゴム工業㈱及び㈱日本ダンロップに帰属し、スポーツ用品副事業部長。1988年 取締役
    スポーツ事業部長。1991年住友ゴム工業㈱常務取締役に就任。
    1994年 ㈱ダンロップ スポーツ エンタープライズ代表取締役副社長。
    1998年 同社代表取締役社長に就任。
    住友ゴム工業およびダンロップスポーツエンタープライズ在籍中、トーナメントディレクターとして約300のプロゴルフトーナメント、テレビマッチやゴルフレッスン番組など約600本を企画運営する。1973年よりテレビ解説を始め、約350本のTVマッチ及びダンロップ
    フェニックストーナメントなど約150本以上のトーナメント解説を行う。
    ゴルフトーナメント、ゴルフイベントのプロデュースを行う事で、ゴルフコース設計の重要性を認識し、ゴルフ場設計にも関わる。
    1999年 住友ゴム工業㈱および㈱ダンロップスポーツエンタープライズを退職退任
    ㈱ターゲットパートナーを設立し、代表取締役に就任、現在に至る。
    現在の主な役職
    公益社団法人 ゴルフ緑化促進会 理事長(2007年 就任)
    日本ゴルフ関連団体協議会 常任理事(2007年 就任)
    NPO法人 日本芝草研究開発機構 副理事長(2008年 就任)
    ㈱サイプレスクラブ 代表取締役社長(2003年 就任)
    南部富士㈱ 取締役(2002年 就任)
    ゴールドウイン開発㈱ 顧問(2006年 就任)
    ゴールデンバレーゴルフ倶楽部 評議員、理事、キャプテン(2008年 就任)
    千刈カンツリー倶楽部 アドバイザー(2014年 就任)
    サンコー72カントリークラブ 顧問 (2014年 就任)
    魚津国際カントリークラブ 顧問 (2015年 就任)
    メモリアルトーナメント・キャプテンズクラブ(USA) メンバー(1985年 就任)
    主な著書
    Golf World & Nippon(2009年5月)
    温故知新(2006年6月)
    ゴルフ雑記帖(2000年10月)
    青木功の諦めないで自分を変えろ(1998年3月)
    ゴルフボール-その飛びの秘密(1986年12月)