ゴルフ界がコロナ対策のデジタルポスターを「拡散してください!」と呼びかけ

ゴルフ関連16団体が加盟する日本ゴルフサミット会議はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する啓発ポスターを作成した。紙製ではないデジタル版で、ゴルフ場、練習場、ゴルフショップなど業界関係者はダウンロードしてプリントアウト、それぞれの施設に掲示する。また、一般ゴルファーに向けてはシェア・拡散してほしいと呼び掛けている。

ポスターはAタイプBタイプの2種類で、ゴルフをする際の注意事項をイラストで示したもの。

通常このような案件は、月一度開催される定例会議に諮り、16団体の承認を得てから実施するが、コロナ禍で急を要するため、日本ゴルフ協会(JGA)、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の3者が見切り発車、他団体の事後承諾を得る形で作成した。NGKの手塚寛理事長が経緯を説明する。

「とにかく今回のポスターは、時間との勝負でした。6月19日以降は全都道府県を越境する移動が可能になるため、感染拡大の危険性が高まってくる。移動距離が長いゴルフは、その点が懸念されるわけです。3者が初会合をもったのは5月18日、完成は6月11日という早業でした。

コロナの状況は日々、激しく変化します。夏は熱中症が心配だから、マスクを外した方がいいということもある。そのため注意事項が変わる可能性もありますが、デジタル版は紙と違い、その都度内容を変更できるメリットもあります」

サミット会議はこれまで、ゴルフ場利用税の撤廃や廃棄プラスチックの撲滅など、様々な啓発ポスターを作ってきたが、いずれも紙製だから制作時間や印刷コスト、配送にも手間が掛かる。「デジタルポスター」にはそれがなく、迅速な対応ができたと胸を張る。

デザインの費用も見切りだった。JGRAと取引のあるデザイナーに依頼したが、

「その費用はサミット会議に諮るか、もし通らなければわたしと横山さんのポケットマネーで負担します(笑)。とにかく予算決めの時間も惜しかった。今後の課題は、このポスターをどうやって拡散するかですが、ゴルフメディアにも協力を仰ぎたい」(手塚理事長)

と、ポケットマネー発言も飛び出した。名指しされた「横山さん」は、JGRAの横山雅也会長だ。同氏の話。

「このポスターはフリー素材だから、誰でもシェア・拡散できます。業界内だけではなく、多くのゴルファーに共有・認知してもらい、感染拡大を防ぎたい。仮にゴルフ施設で発症すれば、営業を見直すことになるかもしれない。そうならないためにも、ゴルファーの皆さんに拡散の協力をして頂きたい」――。

ところで、ゴルフは他のスポーツ産業に比べて市場規模が大きく、様々な業種が混在する。サミット会議に16団体も加盟するのはそのためで、先の3団体以外にもゴルフ用品、男女プロツアーやそのスポンサー団体、会員権やコース設計の団体など、船頭が多く対応の遅れが指摘されてきた。

その弊害を解決するためには「総論賛成・各論反対」の体質を改めることで、それぞれの課題と関係が深い団体が離合集散して解決するタスクフォース型が効果的。その意味で今回のデジタルポスターは、新態勢のひな型になりそう。

「諸事スピードが求められる今回のコロナは、業界体質を改める好機です。それぞれの団体が特徴を生かし、一致団結で取り組みたい」

手塚理事長は語気を強めた。

国内ツアーは、女子の17戦目となる「アース・モンダミンカップ」(6月25~28日)で遅い幕開けを迎えるが、18~21戦目までは中止が決定。男子も国内8戦目の「日本プロゴルフ選手権」(7月2~5日)まで見送られ、ゴルフシーンは停滞中。そのような状況下、ゴルフ場でクラスター感染が発生したらイメージダウンばかりではなく、入場者の減少など痛手を被る。

それを回避するためのデジタルポスターだが、下段にはサミット16団体のロゴマークが並んでいる。一致団結の象徴としたいものだ。


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1962年8月3日生まれ、東京都出身。「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)。ほかにインタラクティービ(J:COM)番組審議会委員(現任)、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(現任)、大学ゴルフ授業研究会理事(現任)。信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。