「第3回 JGJAゴルフミーティング」レポート~ゴルフは学校に入れるか?スポーツ庁と探る可能性~

日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)は、4月24日(金)、「第3回JGJAゴルフミーティング」を開催し、ゲストを含む10名が参加しました。ゲストはスポーツ庁健康スポーツ課の中山正剛氏。会員プレゼンは小原高幸氏が担当しました。

会員相互の情報交換と議論の場として開催している本ミーティング。
今回のテーマは「ゴルフ部の創部や授業にゴルフを取り入れることができないか」

スポーツ庁健康スポーツ課の中山氏による、スポーツ実施率調査の最新動向とゴルフの位置づけについて解説いただきました。
また兵庫県立赤穂高校でゴルフの授業を受け持つ小原高幸氏(JGJA会員)のプレゼンは、高等学校におけるゴルフ部の現状や、公立中学における部活の地域移行について、背景や目的、現状の課題、そして赤穂高校での事例や自身の経験、そして問題点などをお話しいただきました。

■「第3回JGJAゴルフミーティング」の詳細は▷こちら

スポーツ実施率は、種目別では8位がコースラウンド 9位が練習場

スポーツ庁が実施している「スポーツ実施率調査」は、18歳以上79歳の男女を対象にWebアンケートで実施。第3期スポーツ基本計画における目標「成人の週1日以上のスポーツ実施率を70%にする」に対し、最新(令和7年度)の調査結果は51.7%に止まり、特に20~50歳代の「働き盛り世代」の実施率が低く、更に女性の実施率が特に低いという結果。

また令和6年度から実施している「実施希望率」(スポーツをやりたいと思っている人の割合)は63.3%。つまり3人に2人はスポ-ツをやりたいと思っていることになり、同庁ではそのような人達のためにいかに環境を整えるかが課題と語りました。

種目別のスポーツ実施率では、8位にコースラウンドが、9位に練習場&シミュレーションゴルフが入っています。
これらを年代別で見ると、コースラウンドにおいて男性は高齢になるほど参加率が高く、若くなればなるほど低い。女性は50歳代が最も高いという結果に。練習場&シミュレーションゴルフにおいてもほぼ同様の結果が得られたとの事です。

一方、今はやっていないが今後実施したいスポーツでは、16位にコースラウンド20位に練習場がランクインしています。ウォーキングや階段昇降など、お金がかからず、場所を選ばずできる種目が上位を占める中、ゴルフのようにある程度のお金がかかるスポーツが20位以内にランクインしているのは価値がある、やりたいけど出来ない阻害要素を解消していけばゴルフの実施率はもっと上がるだろうと中山氏は語りました。

同庁として課題となっているのが体力の低下。子供の体力はそれ程低下しておらず横ばい。高齢者は上がっているのに対し、30~40歳代の女性の体力低下が顕著。この層に対して働きかけ、ゴルフを通じた体力向上に期待したいとのことです。

最後に、中高生と比べて大学生のスポーツ実施率が下がる。そしてそのまま社会人になる傾向が高いので、大学生がゴルフをし易い環境を整えると、社会人になってもそのままやり続けていく可能性が高くなると話しました。

部活の地域移行で「部活難民」発生の懸念

全国の高等学校数4,761校に対し、ゴルフ部があるのは222校で僅か4.6%、しかも殆どが私立という状況。
令和4年より、兵庫県立赤穂高校で体育の選択授業でゴルフを受け持っている。場所は学校のグラウンドや体育館。毎年最後の5時間は近隣のゴルフ練習場で実施。予算が取れず、クラブはOBの寄付や近隣ゴルフ場の忘れ物を頂いて使用。ボールはプラスチックの穴あきボールやバドミントンのシャトルで代用。SNAGは予算の関係で導入できなかった。

部活の地域移行について、少子化や教員の働き方改革、生徒のニーズの変化等でこの動きが始まっているが、アクセス(移動手段)、道具代・プレー代などコスト面、指導者不足、場所の確保が難しい等の問題で「部活難民」が発生しているとの事。
特に国や自治体からの資金的な補助が受けられない状況で、指導者に十分な報酬が払えず、指導実績の高い指導者が確保できない事が一因になっているとのこと。

これらの現状から、中学校部活の受け皿(地域の民間施設)を強化し、高校・大学へとつなぐ「一貫した育成環境」が不可欠と語りました。

■小原氏のプレゼン資料は▷こちら

中山氏、小原氏のプレゼンを終えて出された質問・意見は次の通りです。(カッコ内は発言者、敬称略)

【質問】
●教育委員会が後ろ向きの理由は?企業からの協賛は?(鈴木)
(小原氏の回答)設備、場所、予算が取れない等が主な理由。近隣の三木市は官民連携で「ゴルフのまち」として盛り上げているのでモデルケースになると思う。

●指導者確保の問題にある「質の高い指導者」とは?(小森)
(小原氏の回答)人格形成の指導に長けている人。ゴルフの技術指導は二の次。

●中学校の部活は縮小傾向にあるのか?部活の地域移行に行政の協力は?(赤坂)
(中山氏の回答)少子化、人口減少に伴い縮小傾向にある。東京都大田区では、大田区スポーツ協会が部活の指導者を斡旋。予算は教育委員会から出ているが、ある程度の人口があるから出来ていて過疎地では難しいのでは。

●スポーツ実施率を高めるにあたり、例えば労働環境の改善なら厚生労働省のように他の省庁との連携は不可欠だと思うが、そのような動きはあるか?(小森)
(中山氏の回答)例えば経済産業省が進める健康経営のように、企業に従業員へのスポーツ参加を促す取り組みをしている。企業の経営者に訴求するパンフレットを作成した。

進行役の小森から、事前に寄せられた本テーマに関するご意見が紹介されました。
事前ご意見は全部で9件。内容は下記「進行用スライド資料」をご参照ください。

■進行用スライド資料▷こちら

産学官連携がポイント

その後の意見交換では、「人格形成という観点から「First Tee Japan」との協業を検討すべき」「大阪府河内長野市の中学生地域クラブ参画の事例」「日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)にSNAGのレンタルを打診しては?」「ゴルフ好きの卒業生に支援を求めてはどうか?」等の意見が出されました。

また今回初参加いただいた3名からのご意見は次の通りです。

◎(一社)日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)広報担当/松井恵子氏
当協会の広報誌では、未来のトーナメントに役立つ情報を発信しようとしている。トーナメントを支えるにはトップジュニアを育てるだけではなく、底辺を広げる意味で部活の地域移行は期待している。

◎株式会社エクセレントサービス(キャディ専門人材派遣業)/小西明子氏
千葉県市原市のゴルフ推進課を訪問。ふるさと納税の返礼品としてブリジストンのゴルフボールを提供。得た税収を原資に、ゴルフ推進課が市原市内のゴルフ練習場に市民が無料で使えるようゴルフクラブを設置。
自身が所属する(一社)ディレクトフォースでは、地域活性を目的に、ゴルフ場を地域のコミュニティの場にする活動も行っている。

◎保井友秀氏(JGJA会員)
息子がこの4月で中1になり、現在部活を選んでいるところ。同校(東京都大田区)にない部は学区内の他校に行って参加するが、その選択肢は年々減っていく印象がある。都心の学校でもそのような状況で地方に行けば尚更では。そんな状況で無いもの(ゴルフ部)を創るのは尚難しいのではと感じる。
(中山氏の意見)大田区の場合、何年か後には全ての中学校に主要な部活が網羅できるようにしていくだろうが、都心の学校の場合、敷地が手狭であるため場所の取り合いが生じる。その解決策として地域の既存施設に展開していくという流れになる。

その他に、公立高校でゴルフ授業を受け持つ際の報酬額についてや、ティーチングプロの資格の有無についても質問や意見交換がなされました。

GMAC(ゴルフ市場活性化委員会)で事務局長を務める島崎氏は、「本テーマはGMACでも議論されている。場所と指導者の問題は、例えばゴルフ場で最終組がスタートした後は場所を提供できる。その時間に従業員が無料でプレーするケースがあり、その際地元の生徒を招き、従業員が講師役を担う形で一緒にプレーしてはどうかというアイデアが議論されている」と話しました。

最後に進行役を務めた小森より、「今回のテーマはゴルフ事業者単体で解決できる問題ではなく、自治体や学校関係者などの連携が不可欠」と語り、最後は参加者全員による記念撮影で終了しました。
(文:小森)

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ABOUTこの記事をかいた人

【略歴】
1993年 サラリーマンからゴルフインストラクターに転身。
2004年 ハル常住さんが主管するハルスポーツビレッジ認定インストラクターとして“ゴルフと
    健康との融合”をテーマに活動を始める。
2005年 「有限会社ゴルフハウス湘南」の代表取締役社長に就任。
2008年 総合コンサルティング会社「株式会社船井総合研究所」と共同で、ゴルフ練習場活性化
    プロジェクトを立ち上げる
2011年 朝日新聞グループが選定する「マイベストプロ神奈川」に認定される
2018年 神奈川県未病産業研究会に参加
2020年 「一般社団法人日本健康ゴルフ推進機構」を設立し、会長に就任する

【メディア実績】
■ゴルフクラシック誌(2008年12月号~2010年12月号)
 連載「ゴルフが変わる!ボディ・チューンナップ」全24回を執筆
■週刊ゴルフダイジェスト(2014年1月28日号)
 「ボールを打たずに上達する!凄い練習法」掲載
■ビジネス情報サイト「Biz Clip」(2015年10月~)
 連載コラム「ゴルフエッセー~耳と耳の間~」現在も執筆中
https://www.bizclip.jp/

【著書】
「仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?」(出版社:星雲社)
 https://www.publabo.co.jp/golf/