女子ゴルフツアー「富士通レディース」で史上7人目のアマチュア優勝を達成した19歳の古江彩佳が、即プロ転向、「樋口久子・三菱電機レディス」(埼玉・武蔵丘GC)でほろ苦いプロデビューをしました。富士通優勝後、ただちに日本女子プロゴルフ協会に入会申請を行い、承認を受けた古江は2週後の「樋口久子・三菱電機」でプロとして登場。
2日間1打差不足の通算3オーバーで予選落ちでした。女子プロ界は″黄金世代〝を凌ぐ2000年生まれ(古江彩佳は2000年5月27日生まれ)の新星が活躍する時代になりましたが、古江がプロとして「ツアー2勝目」を残り3試合で今季中につかめるかどうか、興味深々たるものがあります。
☆★ ☆★ ☆★
2週前まではアマチュアだった古江。富士通レディスではアマで優勝したため優勝賞金(1440万円)がもらえなかった歯がゆさを味わいましたが、今回からは賞金を手にすることができ「いままでと違うので楽しい」と目を輝かせます。プロデビュー戦、注目の初日は3バーディー、3ボギーのパープレーで43位発進。しかし2日目はパットが思うように決まらず、ついにノーバーディーで3ボギー。
通算3-オーバーと崩れて56位に後退。予選通過へ1打足らずにカットの現実を突きつけられました。プロとしての賞金は次へお預けです。アマチュア優勝でのプロ転向で周囲からは強い視線を浴びながらのプロ初戦。「期待されているので、しっかりアンダーで回らないとと思い、自分にプレッシャーをかけてしまった」と、リラックスプレーができなかったゴルフに、悔しさをにじませました。
2日間を終えてトップの鈴木愛とは13打差をつけられました。プロの厳しい洗礼を浴びた古江には、いい薬になったでしょう。
プロ転向するまで、古江は今季女子プロツアーに11試合出場、富士通での初優勝のほか6回のベストアマ賞をとっています。リゾートトラスト・レディースでは優勝した原英莉花に2打差の3位タイ(3日間12アンダー)。
その試合2日目には、前週(中京TV・ブリヂストン)に出したばかりの「65」を再度マークして単独トップに立ったこともあります。8位タイに入った大東建託いい部屋ネット・レディースでは、3日目にベストスコア「67」と持ち前の爆発力で3位に浮上。初優勝をちらつかせました。
神戸生まれ。兵庫・滝川二高では日本女子アマ覇者の安田祐香と同級生。団体戦では2度の全国制覇。JGAナショナルチームのメンバーとしても活躍しました。さほどの飛ばし屋ではありませんが、キレのいいアイアンショットやパターで安定度抜群のゴルフが身上。笑顔を忘れず闘志あふれるゴルフで勝ち上がってきた彩佳です。
プロ志向の強かった古江は「今年最大の目標は秋のプロテストに合格すること」と、明言。ややもすれば安田祐香のカゲに隠れがちな存在でしたが、史上7人目のアマチュアVで難関のプロテストを回避できる近道を進む特典をつかみとったのは見事です。
2000年生まれのミレニアム世代。152㌢と小柄ながら「ドライバーが好き」という。来日したタイガー・ウッズのプレーをみて「すごい飛ばすのに曲がらないのが凄い」と感嘆。明るい笑顔を絶やさずにプレーする古江。
日本勢42年ぶりの海外メジャーに勝って人気の渋野日向子のスマイルにも負けない明るさを秘めたプレーヤーです。渋野は2学年上になりますが、古江は都内で行われたプロ転向会見、ブリヂストンとのゴルフ用品使用契約会見では、用意された色紙に「笑顔」「感動」と書き込みました。
席上では「いま、しぶこフィーバーで盛り上がっているゴルフ界をさらに熱くする第1人者になりたい。子供のころからの夢だった賞金女王になれるよう頑張りたいです」 とキッパリ。発表に同席した母校、滝川二高の角谷真吾ゴルフ部監督も「古江の笑顔と明るさは、渋野プロに負けないくらいのものを持っている」と証言しました。
二年前に現役を引退、同じブリヂストンと契約している宮里藍さんからも「これからどういう風に強くなっていくのか、楽しみ」とビデオメッセージを受けていました。
プロ転向初戦ではほろ苦い体験でスタートしましたが、まだ19歳のミレニアム世代。今季ツアーの残りは4試合ですが、出場資格の厳しい最終戦のLPGAツアー選手権をのぞくと3試合。女子プロ界に突如出現した″もう一人の〝スマイルちゃん。渋野日向子に負けない笑顔をふりまく彩佳の新鮮なゴルフが見ものです。
【この記事は2019-11-5 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
コメントを残す