3月1日に開幕する国内女子ゴルフツアーに先立ち、アジア太平洋ゴルフ連盟とR&Aにより今年から登場した嬉しい新規大会があります。
「第1回アジア・パシフィック女子アマチュア選手権」がそれです。シンガポールのセントーサGCで2月21日から4日間の日程で開催された第1回大会は、18地域83人のアマチュアが参加、日本からは7人のトップアマがエントリー。
″初代アジア・太平洋アマ女王〝を目指しました。西村優菜(17=大阪商大高2年)が通算8アンダーで首位に並び、4人のプレーオフ。最後、アタヤ・ティティクル(15=タイ)との一騎打ちの末、3ホール目に西村が痛恨のボギー。
惜しくも優勝を逃がす2位タイにとどまりましたが、この新規大会、米ツアー3試合の出場権が付与され、今後注目度がますます上がりそうです。
優勝者には開催年の米ツアー、メジャーを含む3試合の出場権が与えられる魅力ある1戦。最後まで優勝を争った西村のほかに、首位へ2打差の6アンダー5位に入ったのは、昨年の日本女子アマ覇者の安田祐香(17=兵庫・滝川二高2年)。前週の米女子ツアー、ISPSハンダ女子豪州オープンでローアマに輝いた吉田優利(17=千葉・麗澤高2年)が、通算1オーバーで10位。同じくISPSハンダ女子豪州から転戦した山口すず夏(17=東京・共立二高2年)と古江彩佳(兵庫・滝川二高2年)が通算2オーバー11位に入るなど、日本勢の健闘が目立ちました。
来年19年と20年は茨城「ザ・ロイヤル・ゴルフクラブ」での日本開催が決まっており、世界へ通じるビッグイベントとして注目度が高まっています。
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日本から参加した7人は、近い将来日本女子ツアーへ参入する″金の卵〝高校生ばかり。2位に入った西村優菜を先頭に安田祐香、吉田優利、山口すず夏、古江彩佳、稲見萌寧(18=日本ウエルネス高3年)、佐渡山理莉(17=名護高2年)。初日は安田祐香が5アンダーの66を出し、首位に1打差の2位と好発進。昨季、日本女子アマを制した後にナショナルチーム入りした有望株の安田です。
2日目は日本女子アマチュアランク1位の西村優菜が、得意のショートゲームとパットの冴えで連日の69。首位を2打差で追う5位に浮上で気勢をあげました。気温30度を超え、蒸し暑さも加わる中での日本勢の頑張り。予選落ちしたのは、通算9オーバーの佐渡山一人だけ。残る6人は決勝へ進み、優勝を狙える上位で戦いました。
雷雲接近による5時間の競技中断が影響し、24人が競技を終えられず日没サスペンデッドになった3R。西村優菜が、3ホールを残して5バーディー、3ボギーとスコアを伸ばし、通算6アンダーで首位に1打差の2位につける展開で白熱します。
最終日は、3Rの残りと最終Rが行われ、トップ争いは大詰まで大激戦。好調を維持する西村優菜は、4日間とも69で回り、通算8アンダーでトップに並びます。タイの15歳、アタヤ・ティティクルに続きユウカ・サソウ(フィリピン)、ウェンユン・ケー(ニュージーランド)も8アンダーとして4人によるプレーオフへ突入です。プレーオフ2ホールは連続パーと粘りをみせた西村。
他の2人は脱落し、3ホール目はアタヤと西村の一騎打ち。相手がパーとしたあと、西村は3㍍のパーパットをカップ右に外して痛恨のボギー。大魚を逃がしました。
大阪・河内長野出身の西村。5歳からゴルフを始め、高2の17年度はナショナルチーム入りして「日本ジュニア(15~17歳の部)」で2位。150㌢と小柄でドライバーの平均飛距離は230ヤードですが、得意のアイアン を駆使しての戦略性の高いゴルフを身上としています。
「ここまできたら勝ちたかった。悔しいですね。でも精いっぱい戦えたと思います。4日間アンダーで回れたのは自信になった。大きな大会でのプレーオフは初めてでした。貴重な経験です」(西村)。
7歳の時に観戦したサントリーレディスで宮里藍からボールをもらい「藍さんのようになりたい」と練習に励んだそうです。ナショナルチームの専属コーチ、ガース・ジョーンズ氏が「素晴らしい」と評しているアプローチとパットをさらに磨いていくと誓っていました。
またISPSハンダ女子豪州オープンに出場した吉田優利と山口すず夏も休みなし、連戦での大会。優利はハンダ女子でローアマと好調を維持。すず夏は1月の「オーストラリア・アマチュア選手権」を制してハンダ女子に招待選手として出場、57位と振るいませんでしたが「1~2月は1週間くらいしか日本に帰っていません。
4日間大会が続きますが、アマチュアが大きな試合への出場権をかける場ができてきたのは嬉しいこと」と、モチベーションの上がる試合が増える喜びを語っています。
優勝したアタヤ・ティティクルは今大会開前日に15歳になったばかりの″天才少女〝。260ヤード超えの飛距離に加えて5本のウェッジを入れてショートゲームも多彩なプレーヤー。
昨季7月、14歳4ヵ月で欧州女子ツアー、タイランド選手権で史上最年少優勝して話題をさらいました。昨季の日本ツアー、サントリーレディスにもアマで出場しています(予選落ち)。
「新規大会の初年度に優勝できて興奮してます。経験のために大会に参加したので、プレーオフになっても緊張しなかった。この優勝で、米ツアー3試合、うち2つのメジャーでプレーできるのは嬉しい」と語っています。
今後どこまで伸びていく選手なのか、見守りたい一人です。出場を付与される試合は、次週の「HSBC女子チャンピオンズ」のあと3月末の「ANAインスピレーション」、8月の「全英リコー女子オープン」のメジャー2試合です。
男子の「アジアパシフィック・アマ選手権」は2009年から実施されており、優勝者にはマスターズの出場権が与えられています。松山英樹が東北福祉大時代の10年、11年にこの大会に連覇し、マスターズ連続出場のチャンスを手中にしました。
初出場した11年のマスターズ では27位でフィニッシュ。日本人初のローアマチュアに輝く快挙を遂げたのは記憶に新しいところです。男子に続いて、女子のアマチュアにもビッグチャンスが与えられたのです。第1回大会では日本人の優勝者は残念ながらお預けとなりましたが、年を追い脚光を浴びる大会になることは間違いないでしょう。
【この記事は2018-2-26 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
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