26歳の石川遼が日本ゴルフツアーの最年少選手会長に選任されました。2年間会長職を務めた前任の宮里優作(37)は、昨季会長として初の賞金王となり話題を集めました。優作の続投も考えられましたが、今季は「海外の試合にも数出たい」との優作の意向があり、石川遼を後任会長に自ら推薦、1月5日の選手会理事会で多くの理事の賛意を受けて石川も受諾しました。
石川は5年間挑戦した米ツアーの出場権を昨年失ったため、今季は6年ぶりに日本ツアーを主戦場として戦うことを決めていました。選手会長は、全選手のまとめ役としてJGTO(日本ゴルフツアー機構)との交渉にあたるほか、スポンサーとの折衝役、ファンとの交流に社会貢献など、ゴルフ界の活性化に携わる重要な任務を背負っています。
女子ツアーに押され続ける男子ツアー。プロ11年目の遼クン。「選手会長で賞金王」という優作の再現をつかめるか。その手腕に注目です。任期は2年で副会長は深堀圭一郎、宮里優作、薗田俊輔の3人。(これまでの最年少会長は池田勇太の27歳14日。遼は26歳110日)。
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突然の石川遼の選手会長就任でした。昨季は選手会長・宮里優作の大活躍で男子ツアーを盛り上げました。最終戦の日本シリーズJT杯では劇的な優勝(年間4勝目)で逆転賞金王まで獲得する″最優秀選手〝でした。任期のきれる選手会長も続投ムードが漂っていましたが、大役を終えた優作が「今年は海外の試合を多くして世界に挑戦したい」との強い意向を示し、昨年暮れから急速に後任人事への動きが活発になったのです。
国内ツアーを終了したあとも優作は12月中旬、アジアツアーのインドネシア・マスターズにも挑戦。マスターズ出場権獲得へ強い意欲をみせました。その甲斐あってインドネシアでは4位に食い込む健闘。ついに年内マスターズ出場権の枠内「世界ランク50位」をクリア。念願のマスターズ初出場の夢も叶えました。
優作の海外挑戦意欲は、このマスターズ出場決定でさらに高まったといえるでしょう。
1月5日、新年早々に東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京で開かれた選手会理事会。年明けに前会長の優作から打診を受けていた石川は、他数人の理事からも推薦を受けて新会長就任を受諾しました。
事前に優作から遼へ送った長文のLINEには「(新会長は)フレッシュな選手にやってもらうことでゴルフ界は活性化すると思う。それには石川遼しかいないー」と記されていたという。
07年、15歳の高1アマで「マンシングウェアKSBカップ」を制して時の人となり、翌08年にプロ転向。あれから遼クンももう11年目の26歳。プロとして10年間のキャリアを数えます。その間、日本ツアー14勝。
抜群の知名度と人気を得ていましたが、13年からは米ツアーを主戦場に。米ツアー5年間では悲願の優勝は成りませんでしたが、日米両ツアーの表裏を知った豊富な経験は遼を一回りも二回りも大きくしたことは間違いありません。
昨季の米ツアーでは、20戦して12試合の予選落ち。入れ替え戦でも上位に入れずに今季の米ツアー出場権を失っていました。やむなく日本へ戻った遼ですが、米国で苦労した体験なども活かせる帰国早々の遼に、いまここで白羽の矢をたてた優作前会長の狙いは的を得たものといえるでしょう。
★最年少選手会長を受諾した石川遼のコメント
「最年少での就任になりましたが、これも自然な流れでしょう。これからは若手で危機感をもって男子ツアーを盛り上げていかなくてはなりません。いまは、ジャンボさんやみんなが作ってきた木の実を食べさてもらっている状態といえるでしょう。
10年後、20年後がもっと充実しているように自分たちで畑を耕しタネをまいていかなくてはいけない。自分は″1〝をテーマにしたい。試合を1試合でも増やす。テレビ中継の視聴率を1%でも上げる。
ゴルフファンを一人でも多く、観客も一人でも多く集めるようにしたい。まだまだ至らない点ばかりなので、副会長3人のアドバイスを受けながら勉強していかなくてはなりません。ただ、熱い気持ちは誰にも負けていないので、ゴルフ界のために尽くしたい」
大相撲がいろいろな問題を起こしながら、ファンが離れていかないのは、本場所のほかに全国を回る地方巡業の効果があるのではとも新会長は指摘しました。こうした活動が根付いてファンを獲得している。
ゴルフツアーも空き週を活用してトーナメントのない地方で2日間のプロアマ戦形式の試合を行ってはどうかと、具体的なプランも早々と披露して驚かせました。これらを実現するために全国各地を飛び回り、関係者とも話し合う覚悟もあると並々ならぬ思いを披露しました。
選手会長職を務めると、自らのゴルフの練習量もままならないと、歴代の会長がもらしています。遼は米ツアーの出場資格は失いましたが、下部のドットコム・ツアーには出場可能で、シーズン中のスポット参戦の意向をもらしていましたが、それも選手会長就任で取りやめました。国内での試合と会長職に専念する覚悟を決めたようです。
人気の女子ツアーに押されっ放しの男子ツアー。年間試合数も今季も女子の38試合に対して25試合(海外共催2試合含む)と大差をつけられ、賞金総額、ギャラリー数でも水をあけられているのが現状です。苦労が続く就任3年目のJGTO青木功会長も「石川選手会長も選手と一丸となって発展に努めてくれると思う。米ツアーで経験したことを採り入れるかも知れない。選手として選手会長として日本ツアーを盛り上げてくれると思う」と、新選手会長に期待を寄せています。
ここ数年、脚光を浴びることのなかった石川遼。会長で初の賞金王になった前任・宮里優作の再現も欲しい。「二足のわらじ?優作さんが賞金王になったのが心強いですね。目標にしたい」ー実はそれが、石川遼が会長職を受けた本音かもしれませんー。
【この記事は2018-1-9 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
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