プロ選手の復活劇には、見るものに感動を与える物語があります。
コロナ騒動で開幕が4か月遅れた今期の女子プロトーナメント開幕戦となったアース・モンダミンカップ。主催者の強い意志の元、いろいろな感染予防対策を取りながら無観客試合で開催にこぎつけました。最終日の日曜日が悪天候のため、月曜日に順延して72ホールを消化したのもテレビ放送に影響されない今回のトーナメントならではのものでしょう。
豪雨から一転、天候が回復した最終日に優勝したのが、一昨年、昨年とシード落ちをして不振に苦しんでいた渡邉彩香(26歳)。2015年の「樋口久子 Pontaレディス・トーナメント」以来5年ぶりの復活優勝を飾りました。
平均飛距離が270ヤード(2015年のドライビングディスタンス1位)を生かした豪快なプレーから球筋をストレ―トに変更し、一時はドライバーイップスに陥るまでになりました。昨年は、30試合中、予選落ちが23回にも。そんな中、スイングコーチに加えてメンタルコーチにもアドバイスを受けたとのこと。「サーフィンの選手へのアドバイスで、サーフボードの上に立ったら落ちたくないと思うのではなく、立ち続けることを意識するべき。ゴルフも同じ。曲げたくないと思わずに、ボールに対してハードヒットを心がけろとアドバイスされました」。
渡邉彩香プロのスイングの特徴は、172センチの長身を生かしたアップライトなところです。 トップオブスイングでクラブヘッドがボールを指すほどのオーバースイングですが、クラブヘッド軌道は、オンプレーン上を位置しています(黄丸)。ダウンスイングでの切り替えしでもクラブを立てた状態で下ろしてきています(青線)。ここの位置でもグリップエンドがボールを指すオンプレーン上をキープしています。インパクトでは上半身の前傾角度がキープされた状態で迎えています(青丸)。不調に苦しんでいた時ののインパクトと比べると、その違いが分かります(紫丸)。すなわち上半身の前傾姿勢が起き上がり、グリップが体から離れています。
2015年に年間2勝をあげて賞金ランキングの日本人トップに登り詰め、一転シード権を失うという地獄を味わいました。今回の天候にも似た復活優勝をなしとげた渡邉彩香プロの今後の活躍がますます楽しみです。
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