渡邉彩香復活優勝のカギは、withコロナ時代の無観客試合

嶋崎 平人

新型コロナウイルスの影響でゴルフトーナメントの中止が相次いでいる。女子トーナメントも3月の初戦から16試合中止が決まり4カ月空いて、ようやく6月最終週に千葉県のカメリアヒルズCCを舞台にアース・モンダミンカップで開幕戦をむかえた。withコロナ時代ゴルフトーナメントの感染予防対策で会場に入る選手、キャディ―、関係者821名全員にPCR検査をするなど、徹底的な感染予防対策をしていた。3密を避けリスクを避けるためにも、ギャラリーを入れない無観客試合となった。

昨年のAIG全英女子オープンでメジャー優勝し「しぶこ」フィーバーを起こした渋野日向子を筆頭に、黄金世代の畑岡奈沙、勝みなみ、原英莉花や、昨年賞金女王の鈴木愛、次の世代の安田祐香、吉田優利など注目選手も参加し、通常の大会であれば多くのギャラリーが押し掛け、会場が歓声に包まれるところであった。しかし、インターネット中継から聞こえてくるのは、ボールの打球音とカラスの鳴き声だけであった。

 

悪天候の為、1日順延となり月曜日に行われた最終日は、18ホールを終えて渡邉彩香と鈴木愛が11アンダーで並んで、18番のプレーオフとなった。3日目まで2位に3打差をつけた首位の田中瑞希は10アンダーで1打足りず、惜しくもプレーオフに残れなかった。プレーオフはともに26歳の過去3勝の渡邉彩香と16勝の鈴木愛、優勝経験豊富な2人の戦いとなった。ただ、渡邉は2014年のポンタレディスから優勝がなく、極端な不振で、今年の出場資格も昨年のQTで19位に入った資格で参加していた。一方の鈴木愛は昨年賞金女王で、3日目を終えて優勝の本命であった。

プレーオフは18番パー5の1ホール目で、渡邉彩香がバーディーを決めて決着をつけて優勝を決めた。渡邉彩香の勝因は、何であろうか。プレーシャーのかかる中で、ドライバーを思い通りに振りぬけた去年から取り組んでスイング改造と、もう一つ大きかったのは無観客でプレーに集中できたからではなかろうか。

優勝のインタビューで、優勝争いをしている時の気持ちについて「ボードを一切見なかったので、歓声もなかったし、あまり優勝、優勝という意識は薄かったと思います。」

また、無観客試合について「ギャラリーの方がいたほうが自分の気持ちが盛り上がるので、そこは寂しい部分もあります。でも今の自分の状況を考えたら、そのお陰で自分のプレーに集中できたかなという気持ちもあります。」と語った。無観客だからこそ、5年間勝てなかった中での優勝争いがプレッシャーとならず、プレーに集中したことが優勝につながった。

 

withコロナの新しい様式でのゴルフトーナメントは今後どうなるのか。次のトーナメント開催はまだ決まっていないが、多くのギャラリーの歓声に包まれての優勝争いが復活するかどうかは、これからのコロナの収束状況による。選手に取っても、無観客かギャラリーの歓声を受ける中でプレーするかは試合展開にも大きく影響する。メンタル面が大きく影響するゴルフの面白いところである。ゴルフを盛り上げるためにも、トーナメントの開催が待たれる。

※写真はGetty Images/JLPGA提供

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嶋崎平人

1951年生まれ。ブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、多方面ででゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
東洋経済オンライン及び
日本経済新聞社フェアウエーへのいざないにてゴルフ関連記事を執筆中