「みなみ世代」大挙して女子プロ入り!今季プロテスト、合格22人中11人が「黄金世代」

年1度の女子プロテストに”みなみ世代”がどっと合格、プロの門を通過しました。女子ゴルフの最終プロテストは、富山・小杉CCで4日間72ホールのストロークプレーで行われ(最終日7月28日)、今春高校を卒業した11人が、合格者(22人)の半数を占めました。

14年に高1のアマチュアでKKT杯バンテリンレディスを制し、当時15歳293日の女子ツアー史上最年少優勝を果たした勝みなみ(19、鹿児島高卒)と同じ「黄金世代」と呼ばれる11人。トップ合格は通算11アンダーで並んだ3人のうち3R、FRのスコアがよかった松田鈴英(れい、19=福井工大福井高卒)が獲得。

今週8月4日開幕の北海道Meijiカップからツアー14試合の出場権をつかみました。勝みなみ(19)、新垣比菜(18)のすでにプロツアーでおなじみの二人は、通算5アンダーの9位でともにトップ合格しました。

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女子ゴルフを人気スポーツに押し上げた宮里藍が、今季限りでの現役引退を表明した今年、藍ちゃんに憧れてゴルフを始めた世代が大挙してプロの門をくぐってきました。

今後はプロ・勝みなみが、どんなゴルフをみせるか。

今後はプロ・勝みなみが、どんなゴルフをみせるか。

合格した通算2アンダー、19位タイまでの22人のうち、今春高校を卒業した「みなみ世代」の11人です。今年の最終プロテストは105人が出場して4ラウンド(72ホール)で争いましたが、合格ラインがアンダーパーになったのは、協会の記録に残る96年以降初めてのこと(昨年はイーブンパーまで)。

女子プロのレベルが年々高くなってきた証しでもあるでしょう。昨年の日本女子オープンでアマ初の国内メジャー制覇を遂げた畑岡奈紗(18)もこの世代の一人ですが、彼女はすでにプロに転向。今季から米女子ツアーのメンバーとなって参戦しています。

人気の頂点に立ってテストに臨んだ勝は、トップ通過には6打及ばず9位にとどまりました。2日目が日没サスペンデッドとなり、3日目は2Rの12番からのスタート。この途中からパットの感覚がしっくりいかなくなって苦しみました。

「自分の思ったところに打てなくなった。なんで、なんで?」と悩みましたが、3Rスタートまでの短い時間を仮眠に当てて蘇りました。3Rを2アンダーで回り、12位から8位に順位を上げて最終日を迎えたのです。

しかし、最終日もパットの不調は尾を引き「ボールが見えなくなるような感じ」(みなみ)になり、″それならば”と短いパットは「目をつぶって打った」という。

3年前アマチュアでプロツアーを制した勝みなみ。人気は絶大だ。

3年前アマチュアでプロツアーを制した勝みなみ。人気は絶大だ。

11番では約2メートルのバーディーパットを目を閉じて沈めたというから、度胸のいい開き直りだったようです。そして最終日はなんとかイーブンパーを保ち、窮地を脱したみなみちゃんです。

14年、ツアーでアマチュア優勝したとき、プロ宣言をしていれば、テストを受けずにツアープロになることはできたのです。しかし、あえて回り道を選んだみなみは「あのときプロになるより、こういった経験をした方がよかった。精神的には強くなれたと思う」とキッパリ。

その年、日本ジュニア選手権、翌15年には日本女子アマ選手権とビッグタイトルも手中にしました。16年6月のニチレイでは初日からトップを走り、プロツアー2勝目かと思われましたが、最終日スコアを崩して申ジエに逆転され、号泣した貴重な経験も思い出されます。みなみ3年の年月は、決してムダにはならないでしょう。

「(プロテストは)本当にきつかった。パットが不調でショットも曲がった。これがプロテストの緊張なのかなと思った」と振り返ったみなみ。

「私がプロになって、藍さんが引退する。次は私が藍さんみたいに世界一愛されるプレーヤーになりたい。私が、やんないといけない」と、しっかりと前を向いて話しました。

同世代で何かと比較される新垣比菜(沖縄・興南高卒)。やはり2位につけていながら、最終日、緊張からボギーが先行。2つスコアを落としてみなみと同じ9位合格となりました。「ティーショットがラフにいって苦労した。後半は怖かった」と、一発合格にはほっとした表情。

勝みなみと並んで″黄金世代〝の一角を担う新垣比菜も一発合格。(15年4月、ステップアップツアーでアマチュア優勝したとき)

13歳からプロツアーに出場し、15年にはサマンサタバサ、センチュリー21、大東建託と3週連続とトップ10入りしたことも。同年のステップアプツアー開幕戦(ラシンク・ニンジニアRKBレディス)にはアマ優勝の経験も持っている新垣。

今季も5月のツアー、リゾートトラストでは7位入るなどプロと対等に戦える大型プレヤーです。″黄金世代”で最上位の4位だった西畑萌香(19、日本ウェルネス高卒)は「今度は私たちの番」と話し、ライン最低の19位タイで入った小祝さくら(19、北海道・飛鳥未来高卒)は「合格ラインぎりぎりで厳しかった。レベルが高い」と、同世代での競り合いに心しているようでした。

トップ合格の松田鈴英(れい)は、ツアー後半の14試合に出られますが、それ以外は主催者推薦による3試合以内。

勝や新垣のプロデビュー戦はまだ確定していませんが、名門、北海道・小樽CCで行われるニトリレディス(8月24日から)あたりが有力視されています。人気の女子プロにまた新たなピチピチしたルーキーが参入してきます。

もう今季後半からですが、来季にかけての女子ツアーの一層の盛り上がりは間違いなさそうです。

≪プロテストに合格した″みなみ世代”の11人。()は年齢≫

勝みなみ(19) 鹿児島高
新垣比菜(18) 沖縄・興南高
西畑萌香(19) 日本ウェルネス高
小倉ひまわり(19)日出高
植竹希望(19)日出高
吉本ひかる(18)滋賀短大付高
吉川 桃(19)日出高
浅井咲希 (19)滝川二高
小滝水音 (19) 明秀学園日立高
小祝さくら(19)飛鳥未来高
松原由美(18)大院大高

【この記事は2017-7-31 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】

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