第98回全米プロゴルフ選手権観戦記 その1

1916年に設立された米国プロゴルフ協会(PGA)が主催しているメジャー最終戦の全米プロゴルフ選手権。今年で4年連続現地に出向き、第98回大会を練習日から観戦することができました。ニューヨークから1時間あまりのニュージャージー州スプリングフィールドに位置するバルタスロールG.C.は全米で最も歴史のあるゴルフ場です。1895年の開場以来数々の歴史を重ね、1903年の全米オープンの開催したのを皮切りに全米オープンの最多開催記録があります。1980年の全米オープンではジャック・ニクラウスと青木功が4日同組でデットヒートを繰り返した「バルタスロールの死闘」として、日本人の記憶に刻まれているところでしょう。2005年に同コースで開催された全米プロ選手権では、フィル・ミケルソンがトータル4アンダーで優勝しています。全長7428ヤードPAR70のセッティングで、アウトはPAR4とPAR3だけのPAR34、インが17番と18番がPAR5のPAR36となっています。17番649ヤードは、最長のホールなうえに砲台グリーンのタフなパー5、18番554ヤードは、ウォーターハザードの絡んだスリリングで劇的な展開が期待できる最終ホールとなっています。

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「旅はハプニングの連続」といいますが、今回もそうでした。

まずは、ネットで予約していたはずのホテルがダブルブッキングされていてチェックインできません。全米プロ開催期間中の周辺宿泊施設は何処も満室状態です。仕方なく30キロ離れたホテルを再予約しなおしました。空港で手配したレンタカーは日本車ながらナビは外付けのもので使い勝手が大変悪いのです。日本であれば目的地を電話番号で呼び出すことができるのですが、米国では電話番号での目的地検索制度は未だに完成されていません。ユーザーフレンドリーの観点では、機械物の操作も含め日本の「おもてなし」の心に勝るものは無いのでしょう。たとえば、歴史のあるニューヨークの地下鉄でさえ、非接触の改札機が導入されていなく、出口では逆回転ができない回転バーを押すような様式がいまだに採用されているのですから。

ホテルのチェックインをすることなく、直接バルタスロールGCむかうことにしました。
まずはプレス用の駐車場に車を泊めます。そこからは、シャトルバンでゴルフ場まで送迎してくれます。プレス用のシャトル便は、早朝5時から夜の11:20まで運行されているから驚きです。バルタスロールGCのゲートを通り抜け、セキュリティーゲートで身分チェックを受けて、いよいよ「メディアセンター」でプレス登録を行います。今年はゲートでのセキュリティーチェックが強化されているのはもちろんのこと、プレスセンター内でも麻薬捜査犬によって毎回荷物を検査される徹底振りでした。

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4年目で既に顔見知りになったMrs.UnaJonesプレスチーフに挨拶をして、昨年の全米プロの取材掲載雑誌を手渡しました。ネットを通じたプレス登録以降、全米プロ選手権にまつわる数々の広報がメールで送られてきます。選手権開催中もプレス関係者に対して様々な情報メールが送られてきます(各日の成績表、組み合わせ、スタート時間、サスペンドの状況、インタビュースケジュール、ルール問題などなど、期間中だけでも20回を超える案内がメールで送られてくるのでタイムリーな取材が可能となります)。

プレステントは、テニスコートが3面以上入る大きさです。300席以上のメディアデスクの前面には幅30メートルを越える大型スクリーンが設置されています。プレステントの中には、マッサージルームも併設されています(料金は1分1ドルです)。コース内は、水曜日の練習日にも関わらず既に大勢のギャラリーが詰め掛けていました。夕方でしたが、明日からの試合開始にそなえてコース全景を知る必要があるので、駆け足で18ホールを歩くことにしました。

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バルタスロールGCは、高低差が20ヤード以内と比較的フラットです。121年の歴史を感じられる大木がホール間に有るのも特徴的です。ホール間も隣接しており、観客が観戦するのには大変易しいゴルフ場です。毎日4万5千人に観客のために「レストルーム」はコース内に12箇所(1箇所当り平均30個のトイレを設置)あります。ドリンクショップは、全12箇所、軽食スポットは、全9箇所も設置されています。

ギャラリースタンドは、コース内に13箇所設置されています。特に大きな池の有る4番PAR3には、3つの観覧席がグリーンを取り囲むように設置されていてシグニチャーホールとしての位置づけが感じられます。また、15貼りのカンパニーテントが設置され、VIPの観客に対応しています。一番大きなテントは、「チャンピオンシップ・ショップ」で、テニスコート6面分が入る大きに、ウエア、帽子、アクセサリーなどが所狭しと並べられています。「PGAメンバークラブ」テントは、PGAメンバーのために設置されています。これは、全米プロゴルフ協会メンバーだけでなく、日本PGAメンバーでも利用可能になっています。是非、日本のPGAメンバーも現地まで赴き、観戦してもらいたいものです(JPGAメンバーであれば、入場チケットも無料です)。

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アメリカでは、サマータイムがとられているために、日没が8時15分とかなり遅くまでラウンド可能となります。したがって予選ラウンドは、朝7時スタートから始まり、最終スタートは、午後2時15分まで合計52組、156人の参加選手となっています。

初日の夜中、ベットで両足がつって七転八倒。日本からの長旅に加えて、到着後そのまま18ホールを歩き、そして予定外のホテルにチェックイン。疲労がマックスに達したのでしょうか?いままで片足がつって目が覚めた経験がありましたが、両足同時は始めての体験でした。この先どうなることか、文字通り、先が思いやられる、とはこのことでした。

続く・・・・。

ABOUTこの記事をかいた人

1958年(昭和33)6月9日生まれ
1981年 同志社大学経済学部卒業
1983年 ダラス大学院経営修士課程(MBA)卒業
(社)日本プロゴルフ協会(PGA)会員、A級インストラクター
 文部科学大臣認定ゴルフ教師
1997年 PGAコンベンションティーチング部「優秀賞」受賞
1999年 PGA 研究発表 「最優秀賞」受賞
2000年 高知工科大学起業家コース博士後期過程入学
2001年 PGAコミュニケーションプログラム「優秀賞」受賞
2003年 高知工科大学起業家コース博士後期過程終了
主な活動・著書
日本ゴルフ界初の博士プロ。
デビット・レッドベター、ジョー・ティールをはじめ、通訳、翻訳、
インタビュー等を通じて100人を超える海外のティーチングプロと親交を持つ。 主な著書
「ザ・ゴルフボール」ごま書房
「驚異の新ハンマー打法」ごま書房
「ゴルフが上手くなる考え方」週刊パーゴルフ
「目からうろこが落ちまっせ」ゴルフ&ゴルフ
「一人でやれるコンペ必勝法」スポーツニッポン
「ナチュラルゴルフスイング」週刊パーゴルフ
「45分でゴルフがうまくなる!」PHP研究所
「Tee あんどTea」読売新聞のゴルフコラム
東香里ゴルフセンタ― 所属