先頃夕刊紙に掲載された記事中、「欧米ではゴルフ人口が激減している。ロイター通信によれば米国だけでも過去10年間で約500万人も減った」との箇所が気になった。日本でもゴルフ人口の減少はゴルフ業界が直面している問題である。そこで、米国がゴルフ人口減を食い止めるためにどのような施策に取り組んでいるかを調べてみた。
現在米国では、35歳までの若手ゴルファーが極端に減っている。その最大の理由は、リーマンショック以来若者の収入が減少し、プレーフィを捻出するのに苦慮しているからだという。一人あたりの一回のプレーフィは平均44ドル(日本円で約5000円)だが、米国の一般の若者たちにとっては高すぎるという感覚のようだ。米国の経営者の団体は、打開策としてゴルフ場の年会費や入会費を値下げしているところも増えている。また、時間短縮のため18ホールのラウンドを9ホールに縮めて営業したり、ホールカップのサイズを規定の4・25インチから15インチに拡大するなど、ゴルフ界の固定観念を打ち破る発想の転換をも図っている。
米国では、サッカーブームを背景に5~6年前からゴルフにサッカーを取り入れたフットゴルフが誕生した。フットゴルフは、サッカーボールを足で蹴ってゴルフと同じようにスコアをつけながら18ホール(または9ホール)をラウンドするという新しいスポーツである。2011年には正式な大会も行われており、ホールカップの大きさは21インチ(約65センチ)に決められている。米国PGA(全米プロゴルフ協会)の前会長テッド・ビショップ氏もフットゴルフに理解を示していた。
2012年に経営不振等でクローズした米国内のゴルフ場は150を数えるが、その一部はフットゴルフ場に変更している。サッカーファンの若者たちを取り込み、ゴルフ人口の裾野を広げようという狙いがある。
また、ゴルフカートにテレビやラジオを取り付けてBGMが楽しめるゴルフ場が現れたり、ゴルフトーナメント開催時にはコースの各所にスマートフォンのためのアンテナを設置してギャラリーサービスを行っているところもある。日本においても、既にPGA(日本プロゴルフ協会)とJリーグ(日本プロサッカーリーグ)が競技の垣根を超えた共同開催イベントを実施している。サッカー教室の日とゴルフ教室の日を各一日ずつ設け、夜はキャンプファイヤーなど、懇親の集いを行って仲間の輪を広げていこうというもので、今夏16回目を数える。
ゴルファーのニーズが多様化する今日、ゴルフ界発展のためには大衆化を許容する度量を持たねばならないだろう。時代の変化の中でゴルフ業界が生き残るためには、アスリートの競技ゴルフと楽しむゴルフの区別を意識し、様々な楽しみ方を提供するアイデアが求められているかもしれない。