社会人アマチュアが消える?

日本アマチュア選手権の取材に行った。僕が、日本ゴルフ協会(JGA)のホームページに日々のゲームを掲載するようになったのは2009年からだから、かれこれ連続して6回取材していることになる。

女子アマ界ほどではないけれど、男子アマ界の低年齢化が加速し続けている。

JGAの日本アマ出場選手の年齢別データによると、2006年の平均年齢は、29・34歳。それが年々1歳ずつ若くなり、僕が取材を始めた2009年には26・63歳になっていた。当時20歳の宇佐美佑樹が優勝した。

そしてさらに低年齢化が進む。

2010年 25・56歳。

2011年 23・80歳。

2012年 23・85歳。

2013年 24・07歳。

2014年 22・45歳。

多少の凸凹はあるが、今年(2014年)は遂に22歳に突入した。

問題は、世代別だ。当然、ジュニア、大学生の人数が圧倒的に多い。今年(2014年)に限って言えば、出場選手141名のうち10代が73人。20代が48人だ。つまりは、この20代のほとんども学生で占められている。そして30代が5人。40代が11人。50代が、2人。60代が2人という分布だった。

これを見て、おや? と思った。いわゆる社会人アマがどんどん減ってきている。2006年には、30~40代までの選手が、17、24、15人いたのである。その理由は、高校生、大学生からすぐに日本ツアー機構(JGTO)のQT(予選会)を受験してしまう選手がほとんどだから、大学を卒業して社会人になってからもアマチュア選手として競技会に出場するゴルファーが激減していると読み取れる。

2009年でも、30~50代までの選手がすべて二桁だったのに、あっという間にそれら世代の選手が減っている。もちろん、若年層の技量が高くなったことは確かだ。けれども別の側面で見れば、その地域に、かつては必ずいた社会人アマのリーダー、つまりトップアマがしっかりと存在していて、そのゴルファーが一般アマチュアを引っ張っていたという図式があった。

例えば、過去でいえば阪田哲男、九州の尾家清孝、岡部太郎。東北の大友富雄、関東の内藤正幸、水上晃男。名前を挙げれば切りがない。けれども彼らはすでに50歳、60歳を過ぎている。彼らの中で今年も日本アマに出場したのは、43歳の井関剛義や46歳の金子光規、47歳の水上晃男だった。ほかにも40代で高橋雅也、そして福井工業大付属福井高校の監督をしている福康文らの姿があった。

さて‥‥。日本アマに出場するためには、それなりの手順があって、各地区の大会の優勝者など、言ってみれば予選を通過してこなければ出場できない。それでも、若年層に押されていることだけが原因なのだろうかと思う。

一つは、ツアープレーヤー志向が加速していることだ。そのために、社会人になって、なおかつトップアマとして競技会に出場しようという選手が、減ってきていることも確かである。すると、そのトップアマを中心とした、その地域の一般アマチュアもいなくなっていると言えないだろうか。

ツアープレーヤーやプロゴルファーを目指すことは、それはそれでいいのだけれど、社会人のトップアマがいなくなることで、一般アマチュアが目先で目標とする相手や競技会に対する興味やゴルフにまつわるさまざまな知識というコミュニティまでが希薄になってしまったと思う。つまりは、ゴルフが面白いという素朴な一般アマチュアへの影響力もなくなると、ゴルフ人口も増える要素が、またひとつ消えてしまうのではないだろうか。

昔は、練習場に行っても、あるいはゴルフをやりはじめると周辺で上手なアマチュアゴルファーのおじさんがいて、あーだ、こーだと親身になってくれたりもした。また、ゴルフの面白さを聞かされもしたけれど、いまはいい意味でのアマチュアゴルファーの継承が消えている。

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141名の日本アマ出場者の中で、社会人が33人。大学生が70人。高校生が33人。中学生が5人という分布は、確かに未来のプロゴルファーという意味では、層が厚くなったともいえるけれど、それが日本のゴルファー層の厚さにはつながらない。むしろ一般ゴルファーの人口が増える要素にはならない。

ましてやJGTOのQTを受験すれば、アマチュアではなくなる。けれども、ツアープレーヤーとして試合に出場できる人数も限られる。挫折してしまった選手たちは、アマチュア競技に戻るにも、およそ3年かかるし、戻るにしても社会人としてのなにがしかの職業に就かなければならないわけだ。ツアープレーヤーの門戸を広げるということには成功したけれど、それが果たして日本のゴルフ人口を増やす一助になっているのかといえば否である。

アマチュアゴルファーとしての資格は、ゴルフを通じて賞金なりの金銭の授受があれば、これはノン・アマチュアということになる。プロ宣言をして予選会に出場したり、プロの大会にでたらノン・アマチュアだ。

プロゴルファーという定義は、実は曖昧で、つまりはアメリカのようにプロだと宣言して、試合に出て賞金をもらう生活をすれば、自称プロということになるだろう。JGTOのQTの2次予選に出れば、ツアープレーヤーである。最終予選に通過すればツアーメンバーである。実は、それもプロゴルファーと呼んでいる。さらに日本プロゴルフ協会でプロテストを受験し合格したら、プロゴルファー。認定プロだ。また、ティーチングの受験をして合格すれば、ティーチングプロである。倉本昌弘PGA会長によると、プロテスト、ティーチングプロのPGA資格を持っていないで活動しているゴルファーが、およそ3500人はいると言う。

こうしてみると、プロゴルファーというくくりも曖昧模糊としているまま、単にプロゴルファーとしているところもよく解らない。

2015年の日本アマは第100回記念行事ということで、32人のマッチ進出という枠を倍にする。全米アマのように64人に枠を広げる。廣野ゴルフ倶楽部と小野ゴルフ倶楽部の2会場を使って予選36ホールを行うという。それにしても、マッチプレーの場合は、試合で5日間費やすことになる。それに練習ラウンドを足せば、まるまる1週間は最低かかる。出場するために地区大会やミッドアマ、シニアアマなどで上位、優勝して辿り着くわけだから、その時間も足したら、なかなか社会人アマチュアにとっては大変な仕事と日程のやりくりになる。

(2014年8月 ゴルフ用品界掲載)

ABOUTこの記事をかいた人

三田村昌鳳

1949年2月24日神奈川県逗子市に生まれ。立正大学仏教学部を経て、週刊アサヒゴルフ副編集長ののち、1977年に独立。著書に「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など。2011年春に「ブッダに学ぶゴルフの道」(中央公論新社)を発売。日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員。日本ゴルフ協会オフィシャルライター。日蓮宗の僧侶。

主な活動・著書
「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など