日本のゴルフ界に変革の風穴を! JGJAパネルディスカッションを開催
バブル経済が崩壊した1990年代の初頭から始まったゴルフ業界の低迷は、今もって顕著な回復の兆しは見えない。そこで、日本ゴルフジャーナリスト協会は、この状況を打破するきっかけとなるべく、「日本のゴルフ界に変革の風穴を」と題したJGJAパネルディスカッションを7月3日(火)、銀座ブロッサム中央会館にて開催した。
ゴルフ場に真のサービスを確立させたい 宮崎 紘一
日本のゴルフ界全般に渡って「このままではゴルフの行く末が危ない」という危機感を業界全体が感じていた。ゴルフマスコミに携わる日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)も同じ思いだった。そこで新しい経営に挑戦するゴルフ場企業にスポットを浴びせ、それらの情報を業界に発信しようと試みたのが今回の「パネルディスカッション」である。
タイトルもずばり「日本のゴルフ界に変革の風穴を」白羽の矢を立てた4人の経営者の方はいずれも、新しい経営に取り組む最先端の人たちである。
ご存知アコーディア・ゴルフの竹生道巨氏は外資系の運営会社のリーダーとして、従来のゴルフ場経営の概念を次々と打ち破った運営スタイルで、文字通り「風穴」を開けて注目されている。傘下のゴルフ場をまたたくうちに増やし(現時点で124コース)当初は「ハゲタカ」などと揶揄していた業界(マスコミも含めて)も今では誰もそんな呼び方をしない。むしろ新しい運営法やシステムの構築を、見習う傾向さえ出てきている。
業界老舗の太平洋クラブは、今年東急不動産との業務提携を発表して世間をアッと言わせた。大手同士の提携は、今はやりの業界再編に通じるものがある。つまり手を組まなければ生き残れないという時代の波がある。まさに苦難のゴルフ界を象徴している。しかしこの提携で約40コース、5万人の規模に増大した。治郎丸清志社長が次に打つ手は何か。業界もその行方を固唾を飲んで見守っている。
朝日コーポレーションの手塚寛社長は、新勢力の旗頭の感がある。歯に衣着せぬというか大胆なことをサラリと言ってのける。ゴルフをやらない人達を遊びの感覚で、ゴルフ場に引きずり込み、ボールを手で投げさせることまでやる「ピクニックゴルフ」の実施。そして極めつけは「バラバラでまとまりのないゴルフの団体は、一度解散して再編成した方がいいのでは」という仰天発言。よくぞ言ってくれたと、内心で喝采した。官僚体質で庶民ゴルファーと無縁のトップ団体にぜひ聞かせてやりたい言葉だ。
まだゴルフ業界に参入して3年のチャーミング・リゾーツ坂本正浩社長は37歳の若さもあって、ゴルフ業界のしきたりなどには囚われない。「広大な敷地を使うゴルフ場の経営には無限の魅力を感じる」と、思いもよらない言葉を述べた。自社ゴルフ場の会員には、その権利を将来医療・介護付きのシニアレジデンスに転換するというアイディア。まさに外部からの参入ではないと考え付かない発想だ。若さと、しきたりに囚われない新しい感覚でゴルフ界の悪しき常識を覆してもらいたい。
アコーディアの竹生社長は「ゴルフ場に真のサービス業を確立させたい」と断言している。これまでの日本のゴルフ場(業界全体も)にはゴルファーの立場に立ったサービスが欠けていた。それが今日の不況を招いた大きな原因でもある。ホスピタリティ(おもてなし)にあふれたゴルフ場経営。まずはそこからのスタートが立ち直るための要因。今回出席いただいた4人の経営者にはその精神が感じられた。このパネルディスカッションが、大きな風穴になることをゴルフ界は期待している。