ゴルフ場経営者は「利益と社会性」の一致点を模索する 片山 哲郎

日本のゴルフ界に変革の風穴を! JGJAパネルディスカッションを開催

バブル経済が崩壊した1990年代の初頭から始まったゴルフ業界の低迷は、今もって顕著な回復の兆しは見えない。そこで、日本ゴルフジャーナリスト協会は、この状況を打破するきっかけとなるべく、「日本のゴルフ界に変革の風穴を」と題したJGJAパネルディスカッションを7月3日(火)、銀座ブロッサム中央会館にて開催した。


 

ゴルフ場経営者は「利益と社会性」の一致点を模索する  片山 哲郎

私は当日、司会を務めました。その立場で「総評」を書くのもヘンな話で、むしろ酷評を頂くのが筋というもの。果たして四者の見識を引き出せたのか……。多分、邪魔をしただけのことでしょう。この場を借りて深謝します。

下準備の会議では、先輩諸氏からこんなアドバイスを頂戴しました。「討議内容を無理にまとめる必要はない。各自の異なる見解こそが面白い」。登壇者はいずれも個人の経歴や企業の出自、視点や立場を異にしており、だから論拠にも色彩があります。

「低迷してなお、ゴルフ産業は魅力的」(坂本氏)
「現状を極端な低迷とは思わない」(治郎丸氏)
「ゴルフ産業の活路は、健康産業への転化」(手塚氏)
「2007年問題は追い風だ」(竹生氏)――。

各氏に通底する課題はゴルフ市場の活性化ですが、その手法も四者四様の趣です。

この討議を通じて私自身、いくつかの盲点に気づかされました。日々、ゴルフ場経営と向き合っている四氏の思考法は実業家としてのそれであり、生半可な観念主義などつけ入る隙もありません。

実業家と記者――。私は「総評」を書くにあたり、この点に注目したいと思います。同じゴルフ界の住人ながら双方の体質は極めて違う。その違いを意識することで、業界における記者稼業の足場を固めたいと考えるからです。

JGJAの設立趣旨は、会員の健筆により「ゴルフの健全発展」へ寄与することに尽きますが、そもそも「発展」とは何でしょう? ゴルフ文化とゴルフ産業の成長は必ずしも一致しないばかりでなく、時に鋭く対峙します。高反発禁止を巡る一連の紛糾が卑近な例で、その際、記者は文化論に立つべきか、それとも産業擁護の立場なのか……。悩ましい問題に直面します。

個人記者の集団であるJGJAは統一見解を持っていませんが、おそらく持つ必要はないのでしょう。会員個々の主義に沿って文筆活動を展開すればよいからです。

ただし、ゴルフ場経営者は違います。最大の目的は利益であり、これをあげるためには時にゴルフ文化を使い、時に大衆の健康を気遣いながら「利益と社会性」の一致点を模索します。その手練手管は複眼的であり、実際的で、サバイバルに生き抜く知己に長けています。これをどのように論評していくのか、記者の手腕が試されます。

今回のディスカッションには、そのような挑戦心が無意識に込められていたように思います。タイトルとなった「変革の風穴」は、JGJAそれ自体の変革と無縁ではなく、内在する伝播力を活用しなければなりません。

終えてみて、その成果にはかなり驚きました。予想を遥かに超えるメディアに取り上げられ、改めて会員個々の発信力を知った次第。不明を恥じるしかありません。
『総評』内在する伝播力を、もっともっと活用すべき。