″黄金世代”にまた新星!現役女子大生プロ、河本結(20)驚異の圧勝!キャディの弟には副賞ベンツを!

女子ゴルフ″黄金世代”からまた一人、新星の出現です。日体大の現役3年生・河本結(かわもと・ゆい=20)。女子ツアー開幕第4戦、アクサ・レディス(宮崎・UMKcc)。通算15アンダーの大会新記録で2位に5打差をつける圧勝。驚きのプロ初勝利を挙げました。

昨年7月のプロテストで1発合格、昨季はステップアップツアー(下部ツアー)で4勝してステップの賞金女王になった逸材です。最終日最終組では脇元華(21)、臼井麗香(20)と昨年プロテスト合格した新人3人が同組で回り(ツアー初)、女子ツアーは新たな魅力を振りまきました。

日本勢の開幕4連勝は14年ぶり。

☆★    ☆★    ☆★

初日66、2日目65。すばらしい大会スタートをみせた河本は、最終日2位に4打差の首位で未知の初優勝へ突進しました。1番で左ラフからのセカンドを立木に当てボギー発進。

プレッシャーが強まるかと思いきや「あのボギーは仕方ない。逆にボギーを打ったことで、焦りで速いプレーになっていたのが落ち着けた。いま思えばよかったなと思います」(結)と、 気持ちの切り替えの早さを証明してみせました。5番(パー4)、右カラーの5㍍を直接決める初バーディー。

6、7番は重圧のかかるパーパットを続けて沈めました。危なかったパーセーブのあとは8番(パー5)「横からのすごいスライスライン。3.5㍍くらい」(結)を入れて今度は2個目のバーディー。

9番はグリーン手前からのアプローチが1.5㍍オーバーしてまたピンチでしたが、これもきっちりパーセーブ。前半を一つ伸ばしてバックナインへターン。

11番で6㍍のバーディーパットを沈めた時点で2位と6打差をつける独走態勢でした。
「どのあたりで勝てると思ったか?」と聞かれた河本は「14番(パー4)でした」とキッパリ。

「あのホール、すごく狭くて気持ちが悪いんです。しかも右から強い風で普通なら5番ウッドで刻むんですけど、きょうは3番ウッドでヘッドスピードを落とし、スピン量を減らして風に負けない球を打とうと、朝から弟と話してました。で、その通りフェアウェイに打てたのは、自信になりました。この緊張感のなかで、あそこにああいう球を100点満点で打てたのは強くなったなと自分で感じました。あそこで今日は私が絶対勝つと思いました」ー。

ハキハキと明快に答える河本。ゴルフも同じようにメリハリのあるショットをけれん味なく放ち続けたルーキーです。

大量リードはあったものの17番でグリーンをショートし、寄せきれずにボギーとしたあとの最終18番ホール(パー5)。「前のホールでボギーを打っちゃったんで、来週のこともあるし最後をバーディーで上がれば絶対にこれからも頑張っていけると思いました。2オンでしたし、長いパットを2パットでいけた。自分の不安を取り除くようなバーディーだったかなと思います」(結)。

30㌢ほどのウィニングバーディーパットを沈めた河本は、自分を心身ともに支えてくれた弟の力クンと感激の抱擁で初優勝を確かめ合いました。

弟の力クンは一つ下で同じ日体大の2年生。ゴルフ部でプロを目指す有望選手です。姉の結さんはプロになって初めて今回キャディーを力クンに任せましたが、この日はスタート前にアクシデントに見舞われたのです。

練習場に向かう途中の坂で力クンは詰めかけた大勢のギャラリーと接触。バッグごと転倒して両手から出血する緊急事態でした。

医務室ではキャディーの交代を勧められたが、姉の結さんからは「どうしてもやってほしい。たとえ骨が折れていても・・」と訴えられ、力クンも「何としてでも自分がやる」とキャディーを強行したいきさつがありました。

「みんな一流選手ばかり。その選手に負けずに戦うのは自分を信じてやるしかない。それを弟が傍らでサポートしてくれたからこそ優勝できたと思います。だから副賞のベンツはプレゼントします」と結。

ケガをした弟のキャディー強行を訴え、優勝の暁には副賞のベンツをー微笑ましい二人三脚・姉弟愛も見せつけました。力クンはアマチュアながら男子ツアーの国内開幕戦(4・18東建ホームメイト杯)に主催者推薦での出場が内定しているそうです。

河本結。愛媛・松山生まれ。中学卒業後、茨城の日本ウェルネス高に進学しましたが1ヵ月で故郷に帰り、松山聖陵高へ編入。日体大体育学部ではゴルフの腕を磨きました。2018年は女子ツアーの単年登録でQT108位。

しかしステップアップツアーでは4勝を挙げ同ツアーの賞金女王。今季は初めてツアー本格参戦で開幕戦から4戦すべてに出場。開幕戦のダイキンオーキッドは予選落ち。ヨコハマタイヤ・プロギアは18位(イーブンパー)、Tポイント×ENEOSは37位(+5)。そしてアクサで初優勝(-15)のスピード初Vでした。

163㌢、58㌔。バランスのよい体躯からキレのいいスイングを身上としている河本。250~60ヤードはドライバーで飛ばす飛ばし屋でもありますが、右に緩く落ちていく安全度が高いフェードヒッターです。

パターは4年ほど前には一度やっていたというクロスハンドを最近再び採用してプロ仕様の高速グリーンに対応しています。

初優勝を果たした河本は、優勝会見で将来の夢をこれまた明確に明かしました。

「初優勝はうれしいですが、シーズンを通しても目標は平均ストロークで71を切って70.000台にすること。そうすれば賞金ランキングトップ5も夢じゃない。今年1年、試合の中でもっと成長したい。来年は賞金女王になり、3年かけて全米女子オープンを獲る準備をコーチとしています。3年後4年後は米ツアーに行って、全米女子オープンで優勝争いしている姿を想像しながら今は頑張っています」

現代の若者らしく、しっかりと前を向いて1日1日を戦っている河本結の姿勢はまさに″黄金世代”の代表ともいえそう。今週はこの河本を筆頭に、地元宮崎出身の21歳、脇元華。

栃木出身、20歳の臼井麗香ら昨年のプロテスト合格の″黄金世代〝3人が最終日最終組で回るというフレッシュな大会になりました。いまの女子プロ界には98年生まれの″勝みなみ世代”といわれた若いパワーが数多く活躍しています。韓国勢に蹂躙されてきた日本女子ツアー。今季は一味違った味わいをみせてくれそうです。

【この記事は2019-4-1 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です