飛距離規制のあたらしきアイデア

プロの飛距離が止まらない。
タイガーウッズ出現以降のプロゴルファーアスリート化と、道具の進化やサイエンスの応用で、一般ゴルファーとの飛距離の差は開くばかりだ。
ドライバーの飛距離はY300以上が必須。Y450~Y500程度のパー4であれば、ショートアイアン。Y600程度のロングホールなら、平気で5、6番でセカンドを打つ。
ギャラリーとして見る分には惚れ惚れするが、トーナメントコースへ行くと、全く関係ないY300向こうにバンカーがあり浮世離れして全く面白くない。
トーナメント開催を意識する新設コースは、ついにThe RoyalのようにY8000超のコースまで出現し、名門コースで開催するにはメンバーのプレーとは全くかけ離れたセッティングに改造する必要が出てきた。

野球では、プロは木製バット、アマチュアは金属バットと飛距離を規制している。しかし、ゴルフでは今更プロゴルファーのドライバーをパーシモンに戻す事は出来ない。
材料の調達問題以上に、ゴルフではアマチュアが支えるゴルフ用品のマーケットが非常に重要であるからだ。

それには道具が進化し続ける必要がある。プロの使う道具はアマの使うそれと同じ(厳密には違うのだが)でなければならないのだ。

このままプロゴルファーのフィジカルと道具の進化が続けば、必ず『飛距離規制』の論議がされることは火を見るよりも明らかである。

『フィジカルもテクノロジーも進化しながら、飛距離を制限する方法』はあるのか?

私に一つの提案がある。
非常に簡単で、経費の掛からない方法だ。

その提案とは、『ボールの重量を制限する』アイデアだ。

ゴルフボールの重量は、1921年に上限値が1.62オンス(45.93グラム)と定められて以来、ほぼ100年近く変わっていない。
ボールは重いほど飛ぶので、下限値は決められていない。
いくら軽くてもいいのである。
新たに規制するのは重量のみで、大きさ(直径 1.68インチ)や、材質やディンプルなどの特許に守られている部分に規制をかけない。

まず、大手ボールメーカーに、『御社のボールの飛距離を10%落とすには、何g重量を減量すればいいか?20% 落とすには何g?、30%落とすには何g?』という実験を委託する。
その結果を加味し重量を制限した10%飛ばないボールを、仮に”+90”。
20%飛ばないボールを、仮に”+80”。と呼んで、ボールに印字する。40%飛ばないボールは”+60”、従来の重さのボールは”+100”(写真参照)

ボールで飛距離を10%制限できれば、Y300飛ぶ人はY270となり、20%制限出来ればY240となる。
そうすれば、全く改造していないクラシックコースでトーナメントが開催でき、プロとアマが同じTeeからプレーすることも可能になる。

この飛距離制限をトーナメントで実行するには、JGAなどの主催者は、その試合に使用可能なボールの最大重量を発表するだけで良いのだ。
重量軽減の技術の進歩から、50%、70%制限することも可能になれば、限られた用地のコースや、寒冷地の屋内でプレーすることも可能になるかも知れない。
もちろん、長いコースでは従来のボール(+100)でプレーすればいい。

100年振りの”ボール重量制限見直し”は、日本発の試みとしてゴルフ界活性化のきっかけになるかも知れない。

1 個のコメント

  • ①「ボールは重いほど飛ぶので、下限値は決められていない。いくら軽くてもいいのである。」とありますが、ボールの初速はM/(M+m)*(1+SQRT(M/(M+m))) *Vo であると思います。 但し M:ヘッド重量 m:ボール重量 Vo:ヘッドスピード 
    従って、MとVoが同じであればボールの重量が小さい程、初速は上がり、良く飛ぶことになります。 ピンポン玉のように軽いボールは初速は速いが、遠くまで飛ばないことは直感的に分かります。しかし、ゴルフボールが100gも500gもあったら良く飛ぶとも思えません。同じ力であれば小さくて、重たいものが遠くまで飛ぶような気はしますが、ボールが重い程良く飛ぶと言う根拠、明快な式のようなものがあったら御教示ください。 
    ②新たに規制するのは重量のみで、大きさ(直径 1.68インチ)や、材質やディンプルなどの特許に守られている部分に規制をかけない。と記載されていますが、大きさは1.68インチ以上となっているのではないのですか?
    よろしくお願いします。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    三重県伊勢市在住、1960年生まれ 57歳
    職業:歯科医師
    所属コース:伊勢カントリークラブ、鳴尾ゴルフ倶楽部

     私は、ゴルフジャーナリストというより、“ゴルフツーリスト”と名乗るべきかも知れません。
     12年前アイルランドで偶然出会ったアメリカ人マットと意気投合して、以来世界中の名コースを二人で旅しています。専門のゴルフ旅行社に申し込むパック旅行とは対極の旅です。
    自分達で計画を立て、チケットを手配し、コースへコンタクトしたり、知り合いのメンバーにお願いしたりして主にランキングコースを目指してきました。
     現在では米ゴルフマガジン社TOP100コースの大部分をカバーし、話題の新設コースや、お気に入りのコースを再訪する旅に変わりつつあります。旅先で多くの友人が生まれました。彼らやその友人が来日する時は、一緒にプレーしたり、旅のアレンジをしてあげたり付き合いは続いています。
     私たちの旅の出来事や、そこで生まれた繋がりについて一季出版の『ゴルフマネージメント誌』に連載させて頂いております。今回、JGJAに参加させて頂くことにより、私の拙い文章が少しでも読者の心に届くようになればと切に願います。