日本ツアー本格参戦2年目の森田遥(21)がやっと勝ちました。高校時代からその実力は折り紙つき。高卒後はプロ宣言するといきなり米下部ツアーを体験して1勝。
帰国した16年は最終予選会4位の資格で日本ツアーに参戦。1年目からトップ10に7度も入る実力をみせながら勝利を呼び込めなかったうっぷんを、ついに晴らしました。北海道meijiカップ(札幌国際CC島松コース)。首位に2打差で出た最終日、ベストスコアの67で回り、鮮やかな逆転劇で日本ツアー初優勝を飾ったのです。
両親は中国人(元卓球選手)。香川・高松で生まれ育った″日本人〝の遥は、中国籍から日本への帰化申請を考慮中。日本女子ツアーにまた一人話題の新鋭の誕生です。
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喜怒哀楽をことさら表さず、1打1打淡々とプレーを進める遥のゴルフは、21歳の女性とは思えない”強さ”を感じさせます。2打を追って出た最終日。前半3番(パー4)でカラーからの15メートルをねじ込んでバーディー。続く4番(パー4)も5メートルを入れました。
追撃へのモチベーションをグッと上げる連続バーディーの発進です。7番は下りのパーパット。「触るだけ」(遥)の微妙な距離を沈めてピンチを凌ぐと、9番のパー5は4メートルのバーディーパットを確実に入れました。
後半に入っても13番、15番のバーディーチャンスをモノにし、17番、18番の大詰では連続してグリーン外から、チップショットを”OK”につける締め。緊張の場面でも多彩なショートゲームの技を披露しました。
トップに立ちながらも「15番では自分の順位も分かっていたし、後ろの組のスコアも分かっていたので2打差にはしておきたかった。18番はみんな取ってくると思っていたから。その通り平常心でラウンドできました」(遥)と、初優勝とは思えない貫録十分の試合展開。
追ってくるカン・スー・ヨン(韓)、ささきしょうこにつけ入るスキを与えませんでした。
高松中央高時代はナショナルチームの一員として活躍。13年の日本女子アマ覇者。高3のときは国内ツアーのサイバーエージェントレディスで優勝争いの末、2位に入るなど、すでに超アマチュアのゴルフをみせていました。
15年1月にプロ転向宣言。米下部ツアー「シメトラツアー」に挑戦、「シメトラクラシック」に優勝。この年の全米女子オープンの米国予選、この会場(フロリダ)で上位2人にしか与えられない出場権をトップ通過で獲得たこともあります。今年の全米女子日本地区最終予選でも再度トップ通過して”日本代表”になった実力も記憶に新しいところです。
遥が米国でゴルフ生活をしようと決めた高卒の15年当時、近年注目されている「クラウドファンディング」を活用して資金集めをしたのも話題でした。インターネットを介して不特定多数の個人から資金(支援金)を集めるプロジェクトで、彼女の夢に共感したサポーターから約500万円を集めて渡米の軍資金にしたのは有名でした。
この年、国内では本間ゴルフと製品使用契約を結ぶ力強いサポートも受けました。今年は、3月にトレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」と新たにスポンサー契約。栄養管理などのサポートを受けて、今季は体重3キロアップを実現。「強いボールが打てる体」に変身したのも、彼女の強いゴルフを支えています。
国内1年目の昨季はトップ10入り7回。今季もこの優勝でトップ10、7回3月のアクサレディスでは優勝を逃がした2位。4月のサイバーエージェントでは同じく4位に泣いています。何度も経験した優勝争いでの逸機。
「自分ではもっと早く優勝できると思っていたのが、こんなにかかってしまった。でもこういう経験を何度もしたのは間違っていなかったと思います」と遥。
☆ツアー2年目でつかんだ初優勝コメント。森田遥。
「勝因はパットですね。あぶないパーパットも入ったし、決めどころのバーディーパットもしっかり決められた。それが大きかった。18番の3打目は、ピンまで25ヤード。50度のウェッジで狙い通りの転がしのアプローチでした。自分はどちらかというと、ショートゲーム派。ショットはきょうよくても明日よくないというのが多い。
きょうは、ショットよりもグリーン周りに対応できるゴルフができていたのがよかった。あしたからはまた初心に戻って、前向きに一つ一つ頑張ります。あまり優勝とかを目標にしない方ですから。自分の納得のできるゴルフ、力をつけて自信が持てるようになったら、海外にも行きたいです」
昨季は賞金ランク25位。今季は獲得賞金4539万円でランク9位に上がってきました。満を持した実力派が、ついにカラを破って優勝経験者となりました。これからはせきを切ってどんどん勝つか。もうひと段階、足踏みをするかー。魅力を秘めた″中国娘〝にご注目を!
【この記事は2017-8-7 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
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