第98回全米プロゴルフ選手権観戦記 その2

第98回全米プロゴルフ選手権観戦記 の続きです。

全米プロは、ボランティアに支えられていると言っても過言でないでしょう。
3600人を越えるボランティアが、練習日の月曜日から日曜日まで持ち場を決めて担当しています。
「16歳の息子と一緒に半年前に申しこみました。1週間、仕事の休みを取ってね。」と3番ホールティーインググラウンド担当です。ボールの行方を示す黄旗を持ち、各プレーヤーのティーショット後にボールの方向に合わせて旗を振っていました。
「息子の持ち場は、チャンピオンシップ・ショップです。若い女の子が多く張り切ってやっていますよ!」と話していました。ボランティアと言っても、各人が125ドルを払ってキャップ、ウエア、半パンツ、雨具などを購入する必要があります。「自分自身のシフト(通常1日約5時間)以外は、観戦することができるから安いもんだよ。息子と一緒に観戦して楽しんでいるよ。」と意に介さないようです。

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今年の全米プロは、悪天候との戦いでもありました。予選ラウンドは、スケジュール通りラウンドできましたが、3日目の雷雨サスペンドのため半分以上の選手が最終日の早朝に第3ラウンドを消化しなければなりませんでした。松山英樹プロなど最終組に近い選手は最終日に36ホールをプレーしなければならないタフな長い一日となりました。予選2ラウンドを終わって、日本人3選手の活躍が目立ちました。

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全米オープン、全英オープンと今期直前の2つのメジャーで予選落ちをしている松山英樹プロは、69、67、トータル4アンダー、9位タイで予選通過しました。ショットでチャンスにつけながらパットが入らない状態を考えれば、好位置をキープしたところでしょう。
応援に駆けつけた東北福祉大学の阿部監督と渡辺謙さんがパットを外すたびにため息をついていたのですが、36ホール目の18番で、3メートルの下りのバーディパットを決めた瞬間、両手を上げで「YES!!」と叫んでいました。
「今シーズン、前のメジャー2大会に予選落ちしたことを考えたら、チャンスのパターが入らなかっただけなので、今後の展開が楽しみです」と阿部監督がコメントしていました。

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松山プロは、3日目のラウンド開始前に雷雨サスペンドになったために、最終日が36ホールをラウンドすることとなり、6時前からコースに入りました。早朝7時からの第三ラウンドを4バーディー1ボギーで回り4打差の5位につけました。2時間以上の練習の後、続けての最終ラウンドはボギー無しの2バーディー。4ラウンド目、1番は好アプローチからナイスパーセーブ4番でも3メートルのパーパットを拾います。しかし、7番では4メートル、9番2.5メートル、12番2メートル、17番では1メートルのバーディーパットをことごとく決めることができませんでした。ストロークの問題よりも、パッティングライン読みの不安から厚めにストロークをし、プロサイドに外すケースが数多くみられました。厚めにラインを読むために、ストローク自体をしっかりととることができず弱めのインパクトとなる、悪循環になっていたのではないでしょうか?これはメンタル面での問題でもあるので、今後の松山プロの課題となると思われます。最終18番72ホール目に2メートルのバーティーパットをようやく決めてトータル9アンダー、メジャー自己最高4位タイでフィニッシュしました。

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「悔しいのもある。でも4日間、久しぶりにいいプレーができたことがうれしかった」とのコメントは、全米オープンと全英オープンを共に予選落ちした後の最後のメジャーだからこそでしょう。「伸ばすためのパットが入らないと勝負にならない。それが、今の実力。そこが、これからの課題かな」と本人が現状分析しているとおりでしょう。
全米プロ開催中、松山プロの熱心な練習風景に何度も遭遇しました。今までも練習量が多いことでは定評がありましたが、それだけ全米プロへの思いいれも相当のものだったようです。「来年のメジャーに向けて練習したい」と言うように今後のメジーにむけて目が離せなくなりました。今後の松山プロの活躍がますます楽しみになった大会でもありました。
リオオリンピック出場を控えている池田勇太プロは、谷原秀人プロと共に、3アンダー13位タイで見事予選通過しました。
3日目の組み合わせで、池田勇太プロは世界ランク2位のジョーダン・スピース同組みとなりました。出だし2ホールを連続ボギーとしましたが、最終日にずれ込んだ3ラウンド目と4ラウンドの合計34ホールを2アンダーにまとめました。最終日72ホール目の18番(554ヤードPAR5)で6メートルのイーグルパットを、スピースのお株を奪うようなジャストタッチで見事にカップイン。ガッツポーズ後は、最終ホールを取り囲む観客からの大歓声に両手を挙げて答えていました。プレー終了直後、ジョーダン・スピースと握手するときに深々と頭を下げて挨拶する池田プロの姿が印象的でした。

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谷原秀人プロも、初日1オーバー71で出遅れたのを、二日目4アンダー66で盛り返しました。3ラウンド目は3オーバー73でしたが、4ラウンド目は、3バーディ・0ボギーの67でトータル3アンダーまで盛り返しました。「もう少しパットが入ればトップ10も見えてくる」とコメントしているように大きな可能性を感じた大会になったようです。

ABOUTこの記事をかいた人

1958年(昭和33)生まれ
1981年 同志社大学経済学部卒業
1983年 ダラス大学院経営修士課程(MBA)卒業
(社)日本プロゴルフ協会(PGA)会員、A級インストラクター
 文部科学大臣認定ゴルフ教師
1997年 PGAコンベンションティーチング部「優秀賞」受賞
1999年 PGA 研究発表 「最優秀賞」受賞
2000年 高知工科大学起業家コース博士後期過程入学
2001年 PGAコミュニケーションプログラム「優秀賞」受賞
2003年 高知工科大学起業家コース博士後期過程終了
主な活動・著書
日本ゴルフ界初の博士プロ。
デビット・レッドベター、ジョー・ティールをはじめ、通訳、翻訳、
インタビュー等を通じて100人を超える海外のティーチングプロと親交を持つ。 主な著書
「ザ・ゴルフボール」ごま書房
「驚異の新ハンマー打法」ごま書房
「ゴルフが上手くなる考え方」週刊パーゴルフ
「目からうろこが落ちまっせ」ゴルフ&ゴルフ
「一人でやれるコンペ必勝法」スポーツニッポン
「ナチュラルゴルフスイング」週刊パーゴルフ
「45分でゴルフがうまくなる!」PHP研究所
「Tee あんどTea」読売新聞のゴルフコラム
東香里ゴルフセンタ― 所属