ゴルフジャーナリストからの『提言』- 2006年ゴルフ界へ –
提言!苦言!証言!「2006年日本のゴルフ界を点検する」ゴルフ界の進歩と飛躍に必要なものは何か?
日本のゴルフ界も一時の「すべてがドン底」という状態から抜け出し、明るい話題や、その予兆を感じさせるようなニュースが時々報じられるようになった。そこで、当協会の会員が、この流れをさらに加速させるための提言!逆流させないための苦言!そしてこれまであまり報道されてこなかった証言!を、各自テーマを絞って執筆した。
「ティーチング」の改革を 一人でも多くのハッピーゴルファーを創造するために ~大東将啓
「日本の常識は、世界の非常識」と言われる事がある。ゴルフのティーチング分野に関しても、日本特有のことが多く存在していた(現在も存在しているものもある)。当然「日本特有」のことが、全て悪いわけではない。ここで挙げているものは、「日本特有」のために世界のゴルフに立ち遅れる要因となっているものに焦点を当ててみた。ティーチング分野での日本の常識に、ゴルファーの立場から疑問をむけて見ることから、改革の第一歩が始まるのではないだろうか。
「プレー」と「ティーチィング」はまったく違った職域
ティーチング分野での「日本の常識、世界の非常識」の第一は、「ティーチング」と「プレー」の職域分離がされていない点であろう。
その昔、レッスンをする人を「アシスタントプロ」と呼んでいた。すなわち、試合に出ることが出来ないプレーヤーが、生計の場としてレッスンを担当していた。或いは「レッスンプロ」と言えば、「トーナメントプロ」よりも身分が低い感覚があった。
レッスンプロやアシスタントプロは、試合に出るための自分の練習のかたわらに、一般ゴルファーを教えていたことが多い。しかも、自分のゴルフ経験に頼ったものである。
師弟関係の上に成り立った、「見て盗め」方式の職人の世界。従って所属ゴルフ場によっての流派的なものまで存在していた。
本来、「プレー」と「ティーチング」とは、全く違った職域であるはずだ。そしてティーチングに関しては、サービス業の上に成り立っているべきものであろう。しかもプレー以上に、ティーチングのためには、色々な事柄を学ぶ必要がある。
スイング理論はもちろんのこと、メンタル面、フィジカル面、クラブフィッティング、コミュニケーション能力まで、その領域は幅広いものとなる。当然、「ティーチングプロ」として大成する年齢も「プレーヤー」よりも高くなるはずだ。カリスマコーチとして名高い日本のティーチングプロの中心が、30代半ばというのも世界のゴルフ界では珍しい現象である。
矯正ではなく育成
私は、今までに、通訳、翻訳、インタビュー等を通じて、100名を超える世界の有名なティーチングに接する機会に恵まれた。
現在、ゴルファーを総合的にサポートする「ゴルフホームドクター」http://www.naturalgolf.co.jp/ を主宰している。
その内容は、以下のようなもの。
1. 育成指導2. 能動的目標設定3. コーチング
4. 200種類の練習ドリル 5. 健康管理 6. デジタル分析 7. ボディーコントロール |
- 従来のゴルフレッスンは悪いところを直す、いわゆるバンドエイドレッスンと言われる、「矯正指導」的な部分が多いが、スイング形成を中心に積み上げていく「育成指導」の形態をとっている。
- ゴルファーがレッスンを受けるにあたって「まな板の鯉」のような受動的な立場をとることが多いが、自ら目標設定をしっかり取るような能動的なスタンスを大切にしている。
- 今までは生徒と先生の師弟関係のようなレッスンであったのを、ゴルファーに「気付きの提供」をするようなコーチングの手法を目指している。
- 闇雲にボールだけを打つ「打球練習」に終始するのではなく、「200種類の練習ドリル」を駆使して、より効率的な上達を約束する。
- 病気が悪くなってから直す「対処療法」的なものではなく、ゴルフゲーム全体のトータルサポートを目指して「健康管理」的レッスンをしている。
- 職人的なプロの目で判断していたものを、デジカメの動画撮影を通じてパソコン上でクイックタイムを使用しデジタル分析をして、より明快な解説をする。
- スイングトレーニングだけで終わらずに、身体のケアーやトレーニングまで含めた「ボディーコントロール」の思想を取り入れている。
ゴルフゲームを総合的にサポートする「ゴルフホームドクター」を通して、一人でも多くのハッピーゴルファーを創造することを目指している。
社団法人日本プロゴルフ協会 A級ティーチングプロ