ルール改正年恒例のマイク青木氏を講師に迎え 第16回JGJA懇話会報告

去る3月9日(水)、日本橋公会堂におきまして「第16回JGJA懇話会」を開催いたしました。

今回は、今年が4年に一度のルール改正の年ということで、講師にマイク青木氏をお招きにし「2004年ルール改正について」をテーマに講演いただきました。ゴルフ関係者はもとより一般からの応募もあり、約50名が受講いたしました。こちらでは、約2時間にも及ぶ、充実した内容の中から、その一部をご紹介いたします。

エチケットについて

今回の改訂の中で、特に目を引くのは、冒頭の「エチケット」です。大幅に書き換えられ、分量も増えました。プレーヤーとして守るべきこと、やってはいけないことが細かく書かれています。この中で大事なことは、「エチケットの重大な違反については競技失格にできるという権限が委員会に与えられた」ことです。
エチケットの重大な違反とは、プレーヤーが意図的に他のプレーヤーの気を散らしたり、不愉快にさせたりというように、エチケットの章の内容をまったく無視する行為のことです。プレー中にミスショットしてしまい、クラブを地面に叩きつけたり、汚い言葉を言ったりすることも含まれます。USGAとR&Aの見解は、ほとんどの行為はラウンド中に繰り返し行えば重大な違反と判定されるべきであろうと述べています。しかし、たった1回の行為でも、例えばグリーン上でパターを叩きつけてホールのふちやグリーン面を傷つけるようなことがあれば、重大な違反とみなされて競技失格の罰を受けることもあります。重大な違反の有無は、各委員会に決定権がありますから、まったく同じようなエチケット違反でも競技によって無罰だったり、競技失格の罰だったりと異なる可能性があります。

用語の定義の変更点について

【紛失球】

用語の定義・31のb項が「別の球をインプレーにした時」という表現から「取り替えられた球をストロークした時」という表現になりました。例えば、2打目を深いラフに打ち込んで1~2分探して見つからなかったので、打ち直しするために元の位置に戻り、別の球をドロップしたとします。この場合、昨年までは「別の球をドロップした」時点で、初めの球は「紛失球」となりました。ところが、今年から「別の球をドロップして、ストロークするまでは初めの球は紛失球にならない」となりました。ドロップした球をストロークする前で、探し始めてから5分間以内に、初めの球が見つかれば、先の球でプレーを続けなければならないということです。

では、初めの球でプレーしなければならないのに、ドロップした球でプレーしたらどうなるのか。これは、「誤球」のプレーとなってしまいます。初めの球と暫定球の関係と全く同じようになったと理解して下さい。

【規則3-3 処置についての疑問】

これまでは初めの球と2つ目の球(第2の球)のスコアが同じだったら、ラウンド後に委員会に報告する必要はありませんでした。ところが、今年からは報告しなければ競技失格となります。実はずっと以前も、報告しなければ競技失格でした。今年再び、改定され、元の規則に戻ったというわけです。

規則の変更点について

【規則16-1a・パットの線に触れること】

今回の改正の中で重要なポイントの一つです。今まではパットの線上にあるルースインペディメントは手かクラブで取り除かなければなりませんでした。ルースインペディメントの中には動物の糞も含まれていますが、これを手袋やティーペッグで取り除いた選手はこれまで2罰打を課せられてきました。しかし、今年からパットの線上を含め、どんな道具を使って取り除いてもよいことになりました。

【規則18-2c ルースインペディメントに触れたあとで動いた球】の削除

規則18-2cが削除されたことで、球から1クラブレングス以内にあるルースインペディメントに触れた後で、球が動いた場合に対する罰もなくなりました。しかし、ルースインペディメントに触れたかどうかに関係なく、プレーヤーかキャディがインプレーの球を動かした時、あるいは動く原因となった行動をとった時は従来通り、規則18-2aによって1罰打となり、動いた球をリプレースしなければなりません。今回の改正で、ルースインペディメントを取ったことが直接の原因ではないのに球が動いた場合は、無罰となったわけです。

最後に

ルール変更ではありませんが、ルールの解釈が変わったものがあります。
例えば、ハザード内でルースインペディメントを取り除いたら、インプレーの球が動いたのでリプレースしたとします。この場合、これまでは規則13-4cによって2罰打、規則18-2aによって1罰打を合計して、3罰打が課せられていました。しかし今年からこの場合は2罰打となります。
というのも今年から一つの行為で結果として2つのルールに違反した場合には1つの違反の罰を受けることになったのです。ただし右記のように、罰打が異なる場合は重いほうの罰打を採用します。
しかし、この行為の後、本来ならば動いた球をリプレースしてプレーを続けなければならないのに、リプレースを怠った場合は、その行為は別の行為と考えられ、規則18-2a違反でさらに2罰打が課せられます。