COVID-19が変える日本のゴルフ Part3

Covid-19の影響力は依然と強い力を持って続いています。それがいつまで続くのか、どのように収縮するのかはだれもまだ分からないと思います。
前回、前々回は日本のゴルフが一般的にはどのように見られているのか、これからのゴルフはどのようになっていくのかについて書きました。
<Part-3>としては日本のゴルフ界はどのようなゴルフを、そしてゴルフ界を目指すべきだろうか?

Covid-19によって多くがリセットされるなら、日本のゴルフはもっと面白く、ゴルフを始め、続けて行く人が増えるようリセット(仕掛け)をしたいものです。

目次
★日本のゴルフの目指すもの
*効果的なPR活動とは
*競技ゴルフ、普通のゴルフ、分けた方が理解が進む
*初心者には冷たい日本のゴルフ
★日本のゴルフに必要なもの
*その1:初心者用の道具
*その2:初心者が最初に行くべきところ
★ゴルフ界として統一された組織の必要性
*次の時代のために

日本のゴルフの目指すもの

私は2つの目指すもの、目標が必要だと思っています。
一つは積極的なPR活動でもう一つはゴルフ界の統合化です。

どのスポーツ業界においてもその業界が目指すものは正しい理解と普及です。正しい理解が進めば、やりたくなる人が増え、その中にはスーパースター的なプレイヤーが出現してさらに興味を持つ人が増えるからです。
<Part-1>では一般的に見てゴルフがどのように捉えられているか、それはなぜなのかについて書きましたが、まずはゴルフというもの、その楽しさを理解してもらうためのPR活動が最初のステップではないかと思っています。

効果的なPR活動とは

ゴルフ界の活性化を目的に作られたゴルフ市場活性化委員会(通称GMAC)という組織があります。ここの標語が日本のゴルフ界の目的とも言える素晴らしいものです。『始めよう、続けよう、もっとゴルフを!』というもので
ゴルフを始めたら、続けてもらおう、今やっている人にはもっとゴルフを楽しんでもらいましょう、というコンセプトなのですが、始めようの部分においてゴルフをする人の目線と始める人の視線が同じが望ましい点です。
この部分こそ効果的なPR活動をする最初のステップだからです。

ゴルフは競技ゴルフと社交のゴルフの2面性を持っているのですが、メディアの報道やゴルフをしない93%近くの人の見方からすると、ゴルフに対して気軽に入っていける入り口が見えていない感じがします。
ゴルフは始めるのにはハードルが高い、と思われているのです。であれば分かり易い入り口を作り、まず入ってもらうことが正しい理解に結びつくはずですよね。

ゴルフ、面白そうだからやってみよう、と入り口を抜けると、楽しくゴルフを体験出来る部屋がまずあるべきです。まず、どんなものか体験しなければ、その人が面白く感じるか、そうでないかがわからないからです。面白く感じた人は、つぎの扉を開いて新たな体験をしていく、という具合です。

競技団体が主導して行うと、『ゴルフとは』ということから始まってしまうので、入り口から入ったらいきなり高い壁があり、それを乗り越えて次に進むのかと思うと興味が半減してしまいます。しかも、ゴルフはルール(規則)に則って行うもので、それを逸脱するものはゴルフではない、という認識があります。
さらにもう一つ、ゴルフの基本はまずエチケットとマナーである、と力説するのですが、それはゴルフに限らず社会生活において必要不可欠な事柄だと思うのです。それができる、できないは人間性の問題なのです。
考えてみてください。ルールは競技をするために必要なものであって、競技をしないならルールは不要で、それとは別の楽しむためのガイドラインがあれば良いのです。

競技ゴルフと普通のゴルフ、分けた方が理解が進む

繰り返しになりますが、ゴルフ界はわずか5%の競技ゴルファーを中心に回るのではなく、95%の競技をしない普通のゴルファーにもっと注力した施策やガイドラインを充実させ、それをアピールするべきです。
当然、プレイのやり方もいろいろなものがあってよく、道具も競技のためのルールに縛られることなく、プレイスタイルに合わせたものを作ることでゴルフを楽しむ人もっと増えるのではないでしょうか?

ゴルフの面白さに気づき、徐々にのめり込んでいくと競技の方へ歩んでいく人は一定の割合でいるからです。つまり、それぞれが「こっちの水は甘いぞ」と競技ゴルフのPR活動と底辺を拡大するような楽しいゴルフのPR活動が必要だと思うのです。
そのためには何が必要か、となりますね。

一つの例があります。海に潜るスキューバーダイビングというものがありますが、プールで一通り潜水ができるようになるとダイビングスポットに初めて行くことになります。その時インストラクターは初心者に対してどうするか、といえばプロが二人がかりで初心者に寄り添い、スポットまで誘導し魚と戯れたり、美しい場所に案内してダイビングの面白さを堪能させてくれるそうです。初めてで、想像以上の体験。感激しますよね。
陸に上がってくると、その感激が次の行動を明確に起こすそうです。
まず、ダイビング用具一式の購入です。そして、ダイビングツアーの申し込みという行動です。その方に適したツアーを紹介することで、ロイヤルカスタマーになっていくそうです。ゴルフに欠けているところはこの部分ではないでしょうか?

初心者には冷たい日本のゴルフ

ゴルフ場にしてもショップにしても初心者には冷たい。そう感じます。
ゴルファーもそうです。よく見かける光景ですが、これからスタートするゴルフ場で同伴競技者やキャディに「初心者です、今日はご迷惑をおかけすると思います。一生懸命やりますので宜しくお願いします」と初心者にこのようなことを言わせることは、何か変ですよね。

ゴルフショップに行っても、初心者はどうしたら良いのか、道具はどのようなものが良いのか、質問自体も何を聞いたら良いかわからないことだらけなのに、丁寧に説明する表示がなかったり、クラブも在庫がなかったり、あっても角の方においてあることが多く、居心地の悪さを感じるはずです。

日本のゴルフに必要なもの

<その1>初心者用の道具
子供がゴルフに比較的早く夢中になるのは道具を使ってボールを操作して目的地まで運ぶ、という動作が動物としての人間の知的な部分を刺激しているからではないかな、と思っています。ある意味狩猟に似ているからです。道具を使いながら獲物を少しずつ追い詰め、最後に仕留める。

ゴルフを始める人にはこの部分を体験させることがよく、最初はグリップやアドレス、スウィングの基本を伝える前に短い距離でもクラブという道具を使ってボールを操るゲームからスタートしたら良いのです。
つまり、パッティングとアプローチを組み合わせたゲームから始め、徐々に距離を伸ばして使うクラブも種類を増やしていく、と言うものです。

道具もゲームが楽しめる仕様(ミスが出にくい)や組み合わせがよく、2003年にキャロウェイゴルフが発売した<GES>はまさにぴったりのクラブとも言えるものでした。GESとはGame Enjoyment Systemの頭文字をとったもので約200名のゴルフを始めたばかりの人をテストセンターに集まってもらい、何ができなくて、どのようなミスが多いのかを徹底して分析した結果、開発されたクラブでした。ただあまりにも先進すぎていたためにショップでは理解が進まず、すぐに廃盤になったことは至極残念でした。今こそこのような初心者用道具が必要なのです。

現在、初心者用とする道具はとても初心者用に開発されたものというより、廃盤になったモデルを少しデザインチェンジして安価なシャフトを装着してセットとして手頃な価格にしたものが多いのは残念です。

<その2>初心者が最初に行くべきところ
初心者はそういった視点で見ると最初に行くべきところは練習場やスクールではなく、まずゴルフ場でゲームに興じることだと思います。できればショートコースのようなところが良いのです。
最初、インストラクターがゲームのやり方、楽しみ方を伝え、実際にアプローチとパッティングのゲームを行いそれがある程度できてきたら、距離を伸ばしてパーで上がれるように工夫してゲームをエキサイティングなものにしていったらゴルフの面白さの一端を感じてくれるのです。
こうなれば、もっと楽しめるにはどうすれば良いのか、というステップになり練習場に行ってレッスンを受けたり、スクールに入ってボールをもう少し遠くに正確に打つことを学びたいという行動に現れます。
いきなりスクールに入りグリップ、アドレスは受動的な形から入るので楽しみよりも上手くできないもどかしさ、ストレスを感じることで、ゴルフは難しいと構えてしまうのだと思います。

ゴルフに接する最初の入り口を、子供が楽しめるレベルが大人も楽しめるものだということではないでしょうか。
ゴルフの普及を願うなら、初心者に優しい、初心者に適した道具やゲームをより増やすことが必要で、意外と見過ごされた点だったのです。
赤ちゃん用のグッズの種類の多いこと。これは親が子供に対する愛情の表れで、初心者にもこのくらいの配慮があっても良いですね。

今までゴルフは面白い、やりましょう!といってゴルフの良さをPRしてきたと思うのですが、ゴルフができる人の視線に沿ったもので、初心者やまだ楽しみまで行っていない人に対する視線でのPR活動がなかったのです。

ゴルフ界として統一された組織の必要性

なぜ、ゴルフ界として統一された組織が必要なのでしょうか?
それはゴルフというものの幅の広さ、深さが他のスポーツとは大きく異なるからです。多様性です。プレイする目的も競技としての部分、社交、レジャーとしての部分があり、プレイヤーの年齢の幅も広く、プレイ期間も長いのが特徴です。

また日本のゴルフ用品市場はピークの半分の規模にまで収縮したとはいえアメリカに次いで世界で第2位の規模があり、ゴルフ場の数も1国で2位の数を有しているゴルフ大国といえるのです。用品用具もやり方次第では車のように世界で評価できる期待できる潜在的な資質も内蔵しています。
産業としてみても大きなもので各団体が独自に活動している規模ではないのです。ゴルフはこれだけ多様性がありながら競技としての部分やレジャーだけの部分が飛び出ていても正しい理解に繋がらないことと、産業としても大きな規模を持っているなら統一した方がパワーが発揮出来るからです。

Covid-19の出現以前は、16団体もあるゴルフ界をまとめ横のつながりを強化する必要性を感じ、各団体のトップを集めゴルフサミット会議というものを招集して活動したものの、「統一しよう」という業界全体の強い意志、方向性が出せなかったことでリーダーも不在となり統一に向けた準備委員会にはならなかったのです。

しかし、Covid-19は日常のすべての活動を止めてしまいました。ゴルフ界にとっても未曾有の出来事です。日常当たり前としてやってきたことが通用しなくなったのです。競技団体とすれば、各競技は開催を中止、延期となり、プロのトーナメントも開催のめどが立っていない状況です。

ゴルフ場や練習場そして用品用具を販売するショップにおいても今までの営業ができない非常に難しい状況にあるのです。しかも、未知の感染症は今後も発症の可能性は高く、その影響は再び世界を一変させる威力があります。それに備えた対策や準備も必要です。バラバラでは何もできません。
となれば、ゴルフ界は一つに纏まり、それぞれの力を集結し将来に向けた戦略を練り、進むべき方向を打ち出し行動した方がゴルフの発展に大きく寄与できるはずです。

競技団体がゴルフのルールを盾にゴルフとはこうあるべき、という時代ではないと思います。多様性があるからこそ、競技としての面白さを感じた人は競技ゴルファーになり、競技に興味のない人、その必要性も感じない人は別の形のゴルフを楽しむ自由があるはずなのです。
そこで使われる道具もウェアも自由で、プレイスタイルも様々です。その中から支持が多いものが必然的に残って行くのではないでしょうか? 私はそう思います。

次の時代のために

統一にはざまざまな問題、クリアしなければならない課題が多々あります。しかし、行動に移さなければ何も変わらないのです。日本にはJリーグ、日本サッカー協会があり、改革を重ねて組織としては外から見る限りスポーツの団体としてとてもよく機能しています。とても参考になります。
具体的にはどうすればという質問もあると思いますが、誰かに委ねるのではなく、ゴルフ界の将来を担う若い人たちが率先して委員会を立ち上げ、白熱した議論の中でリーダーと進むべき方向を定めていただければ嬉しいです。次の時代の日本のゴルフ界のために。

Covid-19は考え方によってはあらゆるものをリセットすることを強制的に求めています。むしろ、このピンチを改革のチャンスと捉えてゴルフ界は一歩前に踏み出す時が来たのだと思います。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める。
その後1994年キャロウェイゴルフからのオファーを受け日本人初の正社員として契約。日本法人では広報担当責任者として6年間担当し、その後2014年までCorporate Relationsの担当責任者として勤務。主に対外的な渉外活動を行う。2015年からフリーとなる。
「日本のゴルフを面白くする」が新たな活動テーマ
キャロウェイゴルフ在職中はゴルフの普及や活性化のために幅広く活動。
◎ゴルフ市場活性化委員会広報責任者
◎一般社団法人日本ゴルフ用品協会 活性化委員、ジュニア委員
◎NPO日本障害者ゴルフ協会理事
◎北海道ゴルフ観光協会顧問
主な活動・著書
*著書:クラブが分かれば上手くなる!(スキージャーナル社)  
*取材編集:ゴルフの楽しみ方(講談社)