開幕戦から日本人連続優勝を「5」に伸ばし女子ツアー14年ぶりの”快挙”としていた日本勢。しかし、意地の反撃をみせる韓国勢が以後6戦で4勝。ほけんの窓口レディス(福岡・福岡CC和白)ではイ・ミニョン(27)が上田桃子、勝みなみらの追撃をしりぞけ通算10アンダーでVサイン。
通算4勝目。来日3年目で早くも生涯獲得賞金2億円を突破する実力を発揮し始めました。ガンを克服したプレーヤーとして話題を集めたイ・ミニョン。自らのガン手術も、悲劇としては語らない前向きな女性。
今季も出場9試合でトップテン6回という安定したゴルフを展開して申ジエ、アン・ソンジュらとともに韓国勢のトップグループへと歩を進めています。今季もこれからの中盤戦、日・韓の上位争いは大きな見どころとなりそうです。
☆★ ☆★ ☆★
2日目にトップタイに立ったイ・ミニョンは、最終日終盤になって上田桃子、申ジエの激しい追い込みに足元がぐらつきました。
17番(パー4)の大詰でフェアウェイから打った第2打が、グリーンに止まらず奥のラフへ。寄せたチップがグリーンエッジへショートする大ピンチ。パターで狙ったパーパットも入らず手痛いボギーです。通算9アンダーに後退して、前をいく上田桃子、申ジエと並んでしまう一大事です。
最終組のイ・ミニョンは、残す18番(パー5)がパーなら3人プレーオフ。勝つためにはどうしてもバーディーが必要でした フェアウェイからのセカンドはグリーン手前まで。
3打目のアプローチはピン3㍍。これを入れなければ勝ちは遠のく重圧のかかる1打となりました。この場面、イ・ミニョンはこのバーディーパットを真ん中から沈めて大向こうをうならせました。通算10アンダーと頭一つ抜け出しての決着でした。
「いや、もう、鳥肌がたちました。終わっても、まだボーッとしています」(イ・ミニョン)。
しかし、イ・ミニョンのゴルフは終始安定度抜群でした。初日67、2日目70、最終日は69でトップを守りきったのです。来日した17年当時から1位だったパーオン率は、昨年は3位、今季も現在1位。平均ストロークは今季、目下4位・・。
さほどの飛ばし屋ではありませんが、安定したゴルフは一段と群を抜いています。17年、来日1ヵ月目のヤマハで初優勝したときも、最後は外せば渡辺彩香とプレーオフという緊張のパーパットを「震える手で打って」(イ・ミニョン)沈めた経験があります。
「震えた」といいながらもメンタルにも結構強い27歳です。4年前の15年3月30日に若くして患った肝臓ガンの手術を受ける大きな体験をしました。
当然好きなゴルフもできなかった辛い時期を過ごしました。そして蘇った強固な精神力。
「日本は素晴らしい環境が整っている。私はガンとも闘ったけど、笑顔は忘れない。笑顔でプレーすることを心がけています。技術的にはパッティングをもっと磨きたい」と話すイ・ミニョン。韓国では「不屈のゴルファー」と呼ばれていた選手です。
日本ツアー参戦1年目(17年)にいきなりヤマハとニッポンハムで2勝して賞金ランク2位。2年目の18年は開幕戦のダイキンオーッキッドに勝って賞金ランク18位。今季も早々とほけんの窓口で1勝(通算4勝目)。賞金ランクは2位に上がってきました。
獲得賞金2億円超えも彼女の実力からすれば不思議でもないスピードで駆け上がっています。
韓国勢にはいまも強い先輩連が名を連ねています。日本で一時代を築いた全美貞や李知姫。人気と実力のイ・ボミ。米ツアーでの賞金女王を経験した申ジエ。通算28勝のアン・ソンジュ。さらには次々と日本に上陸してくる韓国の新顔は後を断ちません。
片や「黄金世代」とうたわれて腕を上げてきた日本の若手連も負けてはいません。新しい時代の日・韓対決ムードは盛り上がってきました。開幕11戦を終わって日本7勝、韓国4勝。
【この記事は2019-5-20 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
コメントを残す