健常者および障碍者エリートゴルファーにおけるパッティング技術の比較研究

12月28日にWebで先行公開された学術研究誌 The Journal of Human Kineticsの最新号に、チェコのカレル大学(プラハ大学)の研究者(Tomáš Grycら)による <Performance and Kinematic Differences in Putting between Healthy and Disabled Elite Golfers> という論文が発表されている。

この研究の目的は、異なる障碍を有するゴルファーと健常者ゴルファーとの間のパッティングパフォーマンスを比較することであった。
障碍のあるゴルファーにおいて、完全なスイングの実行には健常者と比べた際には限界がある。だが、パッティングにおいては、ストロークの大きさ、バランス、動きの範囲が限定されるため差異が無いのではないか、という仮説のもとに検証が行われた。

被験者となったゴルファーは、3人の障碍者アスリート(脳性麻痺、多発性硬化症、下肢切断)および3人の健常者アスリート(34±4.5歳、身長178±3.3 cm、体重83±6.2 kg)であった。各ゴルファーの動きは3次元の運動解析システムよって記録され、6mパッティングを10回行った。パッティングの評価は、ボールの最終停止位置からホールの中心までの距離によって測定した。

実験の結果、クラブヘッドスピードおよびホールとボールの距離に、健常者と障害者間で差は見られなかったが、体重移動の割合と股関節と肩の動きに統計学的な有意差が認められたとされている(p <0.05)。
この差異は健康なプレーヤーと障碍を有する全てのプレーヤーの全てにおいて認められたとされているが、要するに、全ての障碍者アスリートは、体重移動の際、障碍を有していない方(健康な下肢側)に体重をシフトさせスイングしていた。

障碍別の動作の特徴としては、パットストロークの間、下肢切断のプレーヤーは、肩関節の運動範囲が最も狭く、脳性麻痺および多発性硬化症のプレーヤーは、腰の動きの範囲が最大であったとされている。障碍を持つゴルファーの個々のパッティングテクニックは、健常者と同じレベルであるが、彼らのコーチングにおいては、個々の障碍の種類や特異性に注意を払う必要があるだろうとまとめられている。

 

参考文献
Tomáš Gryc, et al. Performance and Kinematic Differences in Putting between Healthy and Disabled Elite Golfers, J Hum Kinet. 2017 Dec; 60: 233–241.

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北 徹朗

<現職>武蔵野美術大学 身体運動文化准教授・同大学院博士後期課程兼担准教授、サイバー大学 IT総合学部 客員准教授、中央大学保健体育研究所 客員研究員  <学歴>博士(医学)、経営管理修士(専門職)、最終学歴:国立大学法人東京農工大学大学院工学府博士後期課程  <主な社会活動>ゴルフ市場活性化委員会委員(有識者)、公益社団法人全国大学体育連合常務理事、一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会常任理事、日本ゴルフ学会理事・代議員、日本ゴルフ学会関東支部事務局長、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会代表理事