【この記事は2020-8-23に大西久光ブログに掲載したものを転載しております】
当時のプロゴルフ界の頂点にいた人のお墨付きである。その言葉が突破口になって、私は胸を張ってプロにボールを売った。
電車で69ダースほどのボールを担いで月例競技に出かけ、そこでプロ相手に1ダース2200円の特価で売った。ある程度の確信はあったが、しかしそのお墨付きがこうまで絶大だとは知らなかった。
そしてボールは、意外な速さでほとんどのプロに行き渡った。当時プロは150人ほどだったと記憶しているが、その95%あまりが「ダンロップ65」を買ってくれるようになった。とても今では考えられない出来事だった。それに世間とは実に敏感なものである。それこそ急カーブを描いて一般のゴルファーに受け入れられ、やがてボールが、売れて売れて仕方のない時代に入った。悪い表現だがまさに図に当たったのである。オピニオンの原則と言うべきか。頂点に立つ人が使うものは、大衆も安心して手を差し伸べてくれる。以後10年間、国内におけるダンロップ・ボールのシェアは90%近い数字をはじき出した。
だから寅さん以後、私が東京にいた5年間は結局ボールを売る苦労など、1度もしないままであった。
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