大勢のギャラリーを集めた日高CC
51歳の谷口徹が日本シニアオープンを初日から首位を譲らない完全優勝で制覇しました。昨年の日本シニアOPでシニアデビュー(2位)して以来、シニア3試合目での初優勝。
レギュラーツアーの日本オープンとの両タイトル獲得は、青木功、中嶋常幸に次いで史上3人目の快挙。埼玉・日高CCでの今年の日本シニアOP。初日からボギーなしの66で単独首位に立った谷口は、4日間ともオーバーパーを叩かず、最終日もタワン・ウィラチャン(タイ)の追撃を1打差でかわし、通算8アンダーで逃げ切り、賞金1600万円を獲得しました。
50歳を過ぎてもレギュラーツアーを主戦場にする谷口が見せた得意のパッティングの冴え。次は3度目の日本オープンV挑戦(10月17日から福岡・古賀GC)が注目です。
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26年ぶりに日本シニアオープンが開催された日高CC。来年東京五輪が開催される埼玉・霞ヶ関と隣り合わせにある林間コース。
昔ながらの小さいグリーン(2グリーンともベント)は、アンジュレーションもあって選手を悩ませます。エッジからのアプローチが、反対側グリーンを出てしまって天を仰ぐシーンも見られました。
パットの名手・谷口徹はこの難解なグリーン戦争で抜群の強みを発揮したのです。2打差のリードでスタートした最終日。前半は2ボギーを喫して苦しい展開。しぶといウィラチャンが9番でバーディーをとり迫ってきましたが、谷口徹もここで4㍍を入れて1打差をキープします。勝負のインにターンしてからの谷口のパッティングが圧巻でした。
11番のパー5。谷口はグリーン奥にこぼして5㍍のパーパット。大きなピンチをナイスセーブ。ガッツポーズが出るほどの大事なパーでした。僅差の戦いが続く13番(パー3)がハイライト。
フックして最後に軽くスライスするスネークライン。この曲がりを見事に読み切って沈め、またガッツぽーズです。貴重なバーディーでこの日一つ伸ばす9アンダー。2打差をつけて終盤に入ります。
14番(パー4)。2打目をグリーンスロープ下に外し、寄せも3メートル弱のピンチ。これも着実に入れてパーセーブ。ガッツポーズが続きます。
ウィラチャンがこの14番を初ボギーにして差は「3」に開く値千金のパーでした。続く15番(パー4)も谷口は右15メートルのロングパットを2メートル弱残し、相次ぐピンチでしたが、ボールは面白いようにカップに沈みます。
ウィラチャンにつけいるスキを見せません。緊張の続く終盤戦を根気よく戦い抜いた51歳・谷口の粘りのゴルフ。3打差を保って迎えた最終18番。ウィラチャンが渾身のバーディー上がりで2打差の7アンダー。6メートルに2オンしていた谷口は、これを1メートルもショートして驚かせます。
しかもパーパットはカップ右をすり抜けて1メートル強オーバーする冷や汗もののシーンとなりました。もしこれを外せば、プレーオフという緊張感が蘇ってきましたが、返しのウィニングパットを慎重に決めて1打差の逃げ切りでした。
★シニア初勝利をシニア最高峰のシニアオープンでとった谷口徹のコメント。
「最後、入れようと思っていたんだけど、ちらっと″寄せよう〝というのが頭にちらついて手が動かなかった。あんなにショートするとは思わなかった。危ない場面もあったけど、いいところでパットを入れられた。
レギュラーに出ているので、シニアでは絶対勝たなきゃいけないとプレッシャーがある。重圧がきつかった。レギュラーではそんなに期待されないから、すごい楽。
ウィラチャンはアプローチがうまいし、粘り強い。最後はパットで勝てた。パットは健在。でもきょうはしんどかった。優勢ではなかった。劣勢のつもりでずっとやっていた。粘り強くやっていれば、勝負どころは分かっていたし、自分に向いてくるのを待っていた。(シニアオープン完全優勝は4人目)意識していなかった。
リードしていたらリードしたときのゴルフ。負けているときは負けているときのゴルフしなけゃいけない。(日本オープン、日本シニアオープン両方に勝ったのは3人目)特別な思いはないけど、3人しかいないと聞いて嬉しいね。
シニアはすぐ優勝争いできるから楽しいけど、もう少しツアースケジュールを調整して欲しい。レギュラーとシニアが重なったら出られない。もっと参加しやすくして欲しい」
次戦はレギュラーツアーに戻りパナソニックオープン(9月26日から兵庫・東広野)に出る予定。さらに日本オープン(10月17日から福岡・古賀)に照準を合わせる貪欲な谷口徹。
距離の短い古賀はチャンスがあるという。
「今回勝てたので、これで始まった。アイアンショットにもっと磨きをかけて調子を上げていく」とも。04年、07年の日本オープンを制している谷口ですが、同一年にシニアOPと両大会に勝った人はまだいません。
レギュラーツアーは通算20勝。「25勝」の永久シードもひそかに狙う谷口です。 奈良県出身。大阪・PL学園高では桑田真澄氏、清原和博氏氏と同級生。同志社大を経て92年にプロ入りした個性豊かなプロ。まだまだ健在であって欲しい″魅せる男〝の1人ではあります。
【この記事は2019-9-24 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
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