女子ゴルフツアーはいよいよ来週3月7日沖縄で開幕します(2019/2/26公開の記事です)。
昨季より1試合増の39試合が12月1日閉幕までの39週、休みなく開催されます。新シーズンに向けて、選手をサポートする用具使用等の契約先に変動がみられますが、25日にはヤマハが21歳の新進気鋭の永井花奈と用具契約を結び発表しました。
昨年までのホンマからヤマハのクラブに持ちかえて「今季は3勝を目ざす」と花奈は意気込みを語りました。10年間米ツアーはじめ世界の舞台で活躍、今季から日本ツアーに本格復帰する宮里美香(29)は、アコーディア・ゴルフとサポート契約。
プロ転向したばかりの期待のルーキー、山口すず夏(18)=共立女二高=はヨネックスと用具契約を結ぶなど、開幕を前に臨戦態勢を整えました。
その一方でプロ転向した2004年以来、一貫してダンロップから用具等のサポートを受けていた横峯さくら(33)が14年間のダンロップとの契約を解消。今季は用具契約フリーでツアーを戦うことになりました。悲喜こもごも、女子プロの″開幕前夜〝をチェックしました。
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東京・銀座にあるヤマハ銀座ビルのコンサートサロン。21歳、プロ4年目を迎えた永井花奈が春めいたゴルフウエアで登場しました。ヤマハのゴルフといえば、男子の谷口徹、藤田寛之ベテランプロの契約先として知られていますが、昨季は26歳の今平周吾が初の賞金王を獲得、今年4月には初のマスターズ出場がかなった朗報ももたらしました。
女子でも41歳のベテラン大山志保が昨季は1勝。
有村智恵も30歳で6季ぶりの復活Vを飾るなど、ヤマハ勢で5勝をマークする当たり年でした。ヤマハでは17年から「ウィニング10プロジェクト」という目標を掲げ、ヤマハの契約プロで年間10勝を挙げようという目標値を目指しています。
17年度は2勝、18年度は5勝をマークし、今季は一気に念願の10勝を!という勢いなのです。
そのメンバーとなった永井はまさに期待の星。ツアーフル参戦した17年には樋口久子・三菱電機レディスでプロ初勝利。18年は優勝はなかったものの伊藤園2位、サイバーエージェント3位、ヤマハ、宮里藍サントリーでともに5位などトップ10に年間10回入る安定した成績で賞金ランク22位でした。
永井花奈との用具使用契約を行ったヤマハでは「レギュラーツアー参戦で2年連続シード権を確保、若手選手の中でも着実に力をつけて成長著しい永井プロです。最先端であるツアー現場でヤマハ製品の性能を証明していただき、ヤマハブランドの価値を体現、伝達してもらえるプロとして契約締結をしました」と、契約目的を語っています。
永井は身長155㌢と大柄ではありませんが、キレのいいスイングで曲がらないステディなゴルフが持ち味です。東京・大井町で父が経営していた人気のラーメン店のひとり娘で、ちゃきちゃきの江戸っ子です。
東京・日出高(通信制)2年の17歳で、アマチュアながら日本女子オープンの単独3位に入ったこともあります。16年春に日出高を卒業。米女子ツアーのQT(最終予選会)にも挑戦。最終ラウンドまでは進めなかったのですが、下部ツアー(シメトラツアー)に出て貴重な経験も積みました。
16年の日本ツアーのプロテストではトップ合格。QTも14位で17年からはツアーに本格参戦して初勝利も挙げるなど順調な足取りで階段を登っている花奈です。
一つ下には人気の勝みなみがいてナショナルチームの仲間です。お互い切磋琢磨して日本女子プロを背負って立てる日を心待ちにしている若手グループです。
花奈は昨季まで使用していたホンマのクラブから今季はヤマハへと武器を変えますが、ヤマハでは人気ブランド「RMX(リミックス)」のクラブをはじめ、ロゴ入りのキャディーバッグやキャップを着用して国内外のトーナメントに出場します。
★ヤマハと用具契約をした永井花奈のコメント
「クラブは技術の次に大事なもの。実際に打ってみて決めました。(リミックスの中でも)特にアイアンが気に入ってます。
ボールが上がるし、悪いライとか難しい場面でも簡単に打てる。ウッド系もヘッドが小ぶりなのが好き。クラブを替えてもいまは自分に合わせて作ってくれるので抵抗はないです。
スイングもレベルアップしていくから、クラブもそれにつれて変わっていくものだと思います。今シーズンは3勝が目標。そのくらい高い目標を持てば、1勝くらいはできそうかなと思ってます」
″ヤマハ〝のイメージは?と聞かれ「う~ん、いぶし銀のヤマハかな。谷口徹さんや藤田寛之さん、渋い人だけど何勝もしているんだから・・」と、自分もその実績にあやかりたいように話しました。
ゴルフを始める前には″ヤマハ教室〝に通ってピアノを習っていたという花奈さん。「(ヤマハと契約して)何か運命的なものを感じます」とも。
ヤマハの契約選手は男女合わせて17人になりました。ニュークラブで永井花奈が何勝するかが見ものです。26日には開幕(ダイキン・オーキッド)に備えて沖縄入りしました。
一方で、プロ14年間を通して世話になったダンロップ(住友ゴム工業)のクラブと今年決別した横峯さくらのも注目です。
国内ではツアー23勝を挙げ一世を風靡した人気プロ。15年からは夫との二人三脚で米ツアーに本格参戦。17年まで3年間の米ツアー生活では優勝は及ばず、18年には日本ツアーに復帰しました。そのさくらも今年33歳。
クラブなど用品契約期間満了を機に、さくらサイドから「一度他のクラブも使ってみたいから」との申し出があったとか。ダンロップ側もその意向を了承し、双方円満に契約を終了したようです。
初めてダンロップ以外のクラブを今年から使うさくらですが、先の豪州での2試合ではウッド系のドライバーなどはピン。アイアンはテーラーメイド。
ウェッジはアクシスZ1、ボールはタイトリスト・プロV1などを使用したようです。今後も各種メーカーのクラブをテストするそうですが、いずれにしても″脱ダンロップ〝の結果に興味が集ります。
豪州では初戦のISPSハンダ・ビックOPが予選落ち。2試合目のISPSハンダ豪州女子OPは通算3オーバーの58位(優勝は17アンダーのN・コルダ=米)でした。
また沖縄の高校を卒業し、08年の米女子ツアー最終予選会を突破して09年から米ツアーに参戦した宮里美香。
12年の「セーフウェイクラシック」で米ツアー初優勝を果たし、日本女子オープンでは2勝しているなど世界の舞台で活躍しました。今季からの日本ツアー復帰するのを機にアコーディア・ゴルフがサポート。
アコーディアの各種イベントに参加します。美香はさきに「ザ・ファースト・ティ・オブ・ジャパン」のアンバサダーに男子の深堀圭一郎プロとともに就任したばかり。日本での新しい挑戦に向けて力強いスポンサーを得たことになります。またプロ1年目の山口すず夏にはヨネックスが用品契約。
「環境ステーション」が所属契約も結ぶなど、新しい門出に花を添えています。
女子ツアーの開幕まであと10日。新しい装い成った女子プロたちがどんなプレーを見せてくれるでしょうか?
【この記事は2019-2-26 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】
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