リオデジャネイロ五輪では112年ぶりにゴルフが競技種目として復活しました。4日間72ホールのストロークプレーの個人戦で行われ、日本からは男子の池田勇太、片山晋呉、女子は野村敏京、大山志保の4選手が出場しました。
五輪種目として100年以上も行われていなかったゴルフに運営サイド、選手、そして観客も手探り状態の部分があったでしょう。観客用パンフレットには、用語の説明や観戦方法などが明記され、ゴルフを知らない人への配慮がされていました。初めての観客が少なくなかったのですが、日増しに人数が増えて大会は盛り上がりました。理解が高まるにつれて競技の面白さも高まってきたようです。
私自身、全米オープン、全米プロ、マスターズなどの海外メジャー競技を取材してきて感じるのはゴルフトーナメントがスポーツ興行として成り立っている点です。海外メジャーでは、観客の半分以上は、ゴルファーではありません。彼らはスポーツイベントとしてのゴルフを観戦に来ているのです。筋書きのないドラマを観客が選手になりきりって見ています。選手が最高のパーフォーマンを演じることで応えているのです。
今年の全米プロ最終ホールでジェイソン・デーがイーグルパットを決め首位のジミー・ウォーカーに肉薄しました。それに対してジミーが第2打をギャラリーに打ち込みながらパーセーブし、メジャー初優勝を成し遂げた時、ギャラリーの1人が「素晴らしいドラマをありがとう」と呟きました。素晴らしいプレーを見た子供たちがその競技を始めるケースが少なくありません。
ゴルフが五輪競技に復活したことは、将来のゴルファーを育てる意味でも大きなインパクトがあったと思います。しかし、日本選手と世界との差も再認識されました。東京五輪に向けて、スポーツ興行としてのゴルフと、それに応えるパーフォーマンができる選手を育てる必要があります。
「週刊わいず倶楽部」大東プロのゴルフのツボ(読売新聞 平成28年9 月19日掲載)