ゴルフ練習場における「新型コロナウイルス」への感染予防・拡散防止対策

野原和憲

新型コロナウイルスの流行に伴い、新たな試練が与えられたゴルフ練習場は、「緊急事態宣言」の発表から解除までの約2ヶ月間に行っていたことを整理しました。
〇「お客様が安心してご利用いただけるように」どのような対策を行ったか
〇「従業員が安全に勤務できるように」どのような体制を整えたか
〇「業界・組織が円滑に連携できるように」どのような役割を果たしたのか

〇お客様が安心してご利用いただけるように・・・(対策)

お客様が抱く「感染するかもしれない」という不安を解消するために最も優先すべきことは、ご来店されるお客様への注意喚起を徹底することでした。
そこで、JGRA(全日本ゴルフ練習場連盟)が主体となり、ご来場されるお客様へ「手洗い・うがい」「マスクの着用」「体調管理」を促すポスターを作成し、全国の練習場への水平展開を行い、施設館内での注意喚起を行いました。

また、お客様がご利用される各エリアにおいては、「フロント」「休憩室」「トイレ」「打席」のエリアごとに感染予防のための「ガイドライン」を定め、各練習場によって様々な衛生管理対策と感染予防対策が行われました。

◆フロントエリア
お客様と密接する可能性のあるフロントでは飛沫感染を防ぐ。
・ビニールカーテンやアクリル板を設置する
・打席札の授受や筆記具の共用を廃止する
・フロントを無人としてセルフ営業する
・フロント前に1.5m毎にテープを張る
従来とは異なるオペレーションに変更することで、非効率だった作業を改めて見直す契機となり、業務の効率化・業務改善につながりました。

◆休憩室エリア
お客様が密集する可能性のある休憩室・待合室・更衣室・レストラン等では集団感染を防ぐ。
・ドアや窓を開けての換気を徹底する
・ドリンクサービスを中止する
・食器を紙コップに変更して販売する
施設によっては利用を閉鎖することで密集エリアの使用を制限しました。

◆トイレエリア
感染リスクが比較的高いと考えられているトイレ・お手洗い等では衛生管理を徹底する。
・手洗い推進ポスターを掲載する
・ハンドドライヤーを停止する
・消毒剤(次亜塩素酸水)を設置する
・清掃・消毒の巡回状況が把握できるチェックシートを設置する
国が推奨する2時間に1回の巡回清掃の徹底につながりました。

◆打席エリア
お客様が密接・密集する可能性のある打席では飛沫感染・集団感染を防ぐ。
・共用するテーブルなどの消毒・清掃を徹底する
・1打席ごと間隔をあけてソーシャルディスタンスを保つ
・1打席1名での利用を促す
・感染予防の注意喚起を館内放送で流す
お客様同士での飛沫感染が発生しないように対応しました。
さらに、お客様がご利用されるサービスにおいても、「営業時間」「打ち放題・時間貸し」「スクール」にて、施設によって様々な衛生管理対策と感染予防対策が行われました。

◆営業時間の短縮
夜間の外出自粛が推奨される中、営業時間の短縮を図りました。
特に深夜営業を行っていた施設は、深夜営業を一時中止することで、お客様の来場を制限する対策を行いました。

◆打ち放題・時間貸しの中止
利用時間が決められるサービス(打ち放題・時間貸しなど)を中止することで、お客様の滞在時間を短縮する対策を行いました。

◆スクールへの対策
飛沫感染予防のためにコーチ・お客様へマスクの着用を義務づけ、接触感染予防のためにレッスン前後での体温確認と消毒を徹底し、定員制限を設け、大声での指導を控え、一定の距離を保ちスクールを行いました。
また施設によっては、緊急事態宣言期間中のスクールを中断することで、お客様との飛沫・接触感染を予防する対策を行いました。

従業員が安全に勤務できるように

次に、従業員もお客様同様、感染への危機感を感じながら業務を行う立場であることから、手洗いの徹底とマスクの着用を義務づけ、勤務中の接触感染・飛沫感染を防ぐ対策を行うだけでなく、安全に勤務できる営業体制を整えました。

◆運営ガイドラインの作成と共有
施設が行うお客様への注意喚起や衛生管理・感染予防対策をガイドラインに示し共有することで、安心して従業員が勤務できるように配慮しました。
国が依頼する「従業員の7割勤務削減(自宅待機)」に従い、スタッフの勤務を削減し、最低限の人数で営業できるように工夫しました(セルフ営業など)。
なお、体制を整えるにあたり、自宅待機となる従業員に対して、待機期間中の「手当」においても、「雇用調整助成金」を活用し手当を支給することで、休職期間中の不安解消にも配慮しました。

業界・組織が円滑に連携できるように

最後に、感染予防・拡散防止の対策を行うにあたり、組織内・組織間の連携に大きな役割を発揮したのが、情報共有を迅速にした「SNS=ソーシャルネットワークサービス」と、組織間の足並みを揃えた「公益社団法人 全日本ゴルフ練習場連盟」の存在でした。

「SNS=ソーシャルネットワークサービス」の活用としては、社内での従業員間の情報共有を円滑に進める上で、Lineやイントラネット(サイボウズ)が大きな役割を果たしました。
従来活用していた「電話・連絡帳・伝言ノート」といった媒体は情報共有に稼働がかかり、実際に勤務していなければ情報を確認することが困難な媒体でしたが、SNSの活用により、責任者は事業方針や進捗状況を効率的に発信・共有することができ、従業員も常に情報を受信・確認することで、組織間の情報連携を円滑に図ることができました。

社外のお客様への情報発信を行う上で、Line@やFacebook・HPが大きな役割を果たしました。従来活用していた「DM・はがき等」の郵送物は費用がかかり、通知にタイムラグが発生していましたが、SNSの活用により、通知がリアルタイムになり、ほぼ費用をかけずに案内することができました。
組織間(同業他社間)での情報連携を行う上でも、Lineやイントラネット(サイボウズ)が大きな役割を果たしました。従来活用していた「FAX・連盟報(郵送物)」といった媒体は、頻度高く情報を発信するには手間と費用がかかり、多くの情報交換が困難な媒体でしたが、SNSの活用により、各練習場からの質問・相談や、1施設の事例紹介まで多様性ある様々な情報が頻度高く都度発信・共有され、幅広く水平展開することができました。

ただし、情報の浸透度という点では、従来の情報発信媒体(電話・FAX・郵送物)は、受信者が受動的に待機できる「PUSH通知」のため、情報の見落としが少なかったことに対し、SNSやイントラネットでの情報連携は、受信者が主体的に取得する「PULL通知」のため、情報が見落とされてしまう課題がありました。
しかし今回、FAXでの通知(PUSH通知)とイントラネットでの共有(PULL通知)を兼ね合わせたオペレーションを行うことで、従来の媒体から新たな媒体へと緩やかな移行を確認できる契機となりました。

「社団法人」も情報連携・情報発信を通じた認知改善に大きな役割を発揮しました。
ゴルフ練習場に対する「行政の認知」と「メディア(世間)の認知」を是正することができました。
行政が考慮する新型コロナウイルスの感染因子となる「3密(密閉・密集・密接)」において、「ゴルフ場・ゴルフ練習場は3密を満たさない施設である」ことを、各社団法人より提言書・意見書を発信することで、行政に正しく認知していただくことができました。

メディア(世間)に対しても、「ゴルフ場・ゴルフ練習場が娯楽業である」という認知から、「健康増進・認知予防に寄与する施設・サービスである」という認知へ、各社団法人やジャーナリストよりメディアを通じて発信することで、世間に正しく認知していただくことができました。

このように、組織間の情報連携・情報発信は「SNS」を活用することで頻度高く情報連携され、練習場全体で足並みが揃った「社団法人」にて行政や世間が抱く練習場への認知を改善できたことは、今後の感染予防・拡散防止対策においても大きな役割を果たすと思います。

2020年6月1日から、各練習場においても新型コロナウイルスと共存する新たなステージに入りました。
今一度気を引き締めて、起こりうる新型コロナウイルスの「第2波」に対して、この2ヶ月に渡り経験した感染予防・拡散防止への「対策・体制・役割」を今一度確認し、引き続き、十分に準備・予防処置を整えてゆければと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

野原和憲

・関西学院大学 経済学部 卒
グロービスMBA(経営学修士)を専攻
・株式会社NTTドコモ マーケティング部
端末開発・料金制度・プロモーション・販路開拓を担当
・野原興産株式会社 多田ハイグリーンゴルフ 代表取締役社長
ゴルフ・テニス・フットサル・バッティング
フィットネスジム・スーパー銭湯・岩盤浴・レストラン
陶芸教室・学研教室・バーベキュー・鍼灸院の事業展開
・関西ゴルフ練習場連盟 監査
・鳴尾ゴルフ倶楽部 広報委員
・川西市商工会 理事
・サイボウズ株式会社 ハドルパートナー