GOLF・スケッチブック
記事はゴルフの諸事雑事を書いています
大阪なおみの「全米オープン」優勝は本当に驚かされた。ゴルフでいえば松山英樹の「マスターズ」優勝ぐらいに値するだろうか。なおみの活躍は我々に勇気を与えてくれたとい
っていい。問題はテニス界の女王“セリーナ・ウイリアムス”のコート上における態度である。審判に食って掛かる姿、罵詈雑言の数々・・・。ついにはラケットをコートに叩きつけてへし折ってペナルティを科せられてしまう。
ゴルフでいえば、メジャーを獲得している有名なプロゴルファーがルール委員に食って掛かり、気に入らないと言ってクラブを折ってしまう、といったところだろうか。
ゴルフの世界ではPGAツアーでも国内ツアーでも、あまり聞いたことがない。それがプロテニスのグランドスラム大会で起こってしまうことに、戸惑いを覚えてしまう。
ミスショットで感情を露わにするプロゴルファーの話題は今も昔も変わらない。かつてはタイガー・ウッズの態度について、以前に新聞や雑誌が大きく取り上げていたことがある。球聖ボビー・ジョーンズは、若いころにショットをミスすると、クラブを放り投げることがよくあったらしい。
当時の新聞は「ジョーンズはまだ少年であるとはいえ、ゴルフが意のままにならない時に感情をあのように爆発させてしまってはギャラリーにアピールできない・・・」と書いた。そして自分の感情を抑えられるようになるには、それから1,2年かかった、と「ダウン・ザ・フェアウエイ」に記している。
選手のプレーを観戦するギャラリーサイドのヤジについてはどうだろう。テニスの全米オープンの中継を見ていて、大きな女性が立ち上がって審判の裁定に大声でヤジっているシーンが映し出されていたが、観客1万数千人のブーイングには空恐ろしいものを感じたが、何という光景なのだろう。言葉に絶する。その中での大阪なおみの礼議を弁えたスピーチは救われる思いがした。
ゴルフではこんな例がある。2008年5月PGA「メモリアル・ト-ンメント」2日目のこと、フィル・ミケルソン、マイク・ウィア、セルジオ・ガルシアのスリーサムが15番ホールのセカンド地点に差し掛かった時、ギャラリーがガルシアに向かって大声で「アメリカはお前が嫌いなんだよ」と野次った。
その時アクションを起こしたのは、ミケルソンの長年のキャディ、ジム・マッケイだった。野次馬に掴みかかりそうな勢いでにじり寄り、怒声を浴びせた。「プレーヤーの誰に対しても尊敬の念を持って観戦せよ」といった(舩越園子著「ゴルフの森」より)。ギャラリーが言ってはいけないこと、プロゴルファーがやってはいけないことが、ゴルフの世界には歴然とある。
恐らくキャディ、ジム・マッケイが言った“尊敬の念”を、プロゴルファーもギャラリーも心してトーナメントに臨んだら、不遜に思える振る舞いは生まれてこないのではないか。他のスポーツにも通じる礼であろう。我々はついそのことを忘れてしまう。ゴルフには規則の第1章に「エチケット」が書かれている。もう一度ルールブックを手に取って、この第1章をしっかりと読んでおきたいものである。
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