日経電子版2017年9月6日配信
すでに耳目に触れた方もおられるだろうが、ゴルフのルールが2019年1月1日から大幅に改定される。
ルール改定は、「ゴルフの聖地」と呼ばれる英セントアンドルーズを拠点とするロイヤル・アンド・エンシェント・クラブ(R&A)と全米ゴルフ協会(USGA)の連名で、五輪開催の年に「こう変わります」と通達されるのが通例だ。
今回のようにおよそ2年も前の17年3月1日に「提案」として発表し、8月31日まで6カ月間にインターネットなどを通じて世界中のゴルファーからフィードバックを受けたうえで、18年半ばに最終決定するという異例の方法を取ったのは、いかに大がかりな変更であるかを示している。
今回のポイントはズバリ、2つある。一つはルール簡素化によるプレーの「時短」。もう一つは「ゴルフルールは複雑すぎる」との声に応えることで、ゴルフ人口減少に歯止めをかけることにある。
一般のアマチュアゴルファーにも大いに関係してくる改定には、以下のようなものがある。
ピンを立てたまま、グリーン上でパットができる
現在は、ピンを立てたままグリーン上でパットをして、ボールがピンに当たった場合は2罰打が課せられる。このため、カップの位置が確認しづらいときは誰かにピンを持ってもらい、途中で抜いてもらう必要がある。
改定ではボールがピンに当たっても罰はなくなるのでピンを立てたままでもOKで、プレー時間全体が短くなる。
ボールが動いたときの罰が軽減される
昨年7月にこのコラムでも取り上げた16年全米オープン覇者、ダスティン・ジョンソン(米国)への「1罰打」事件が引き金になっている。それを機に、今年1月からは同様のケースでは無罰になっているが、今回はラフや林の中などでボールを探しているときに「誤って」ボールを動かしても罰はなくなる。
つまり、「明らかに故意に動かした」ケース以外は違反ではなくなる。
バンカーなどハザード内での規則が簡素化される
ハザード内のルースインペデイメント(木の葉や枝、小石など)を取り除くことは禁じられているが、改定では罰はなくなる。その際、手が砂に触れてもOK。また、クラブが砂に触れても罰はなくなる。ただし、ソールしたときに触れた場合は従来通り禁止される。
バンカー内での「アンプレアブル」の処置が変更される
バンカーに入ったボールが「目玉」になったり、とても打てる状況ではなかったりしたときは、「アンプレアブル」を宣言し、1打を加えてバンカー内のしかるべきところにドロップすることになっている。しかし、それでも難しいことがある。
今回の改定では付加が「2打」になるが、ピンとボールを結んだ延長線上であれば、バンカー外にドロップできるようにもなる。
ドロップの方法が大きく変わる
「肩の高さから落とす」のがドロップの規定だが、「落とす」方法であれば、長さ(高さ)は問われなくなる。つまり、地面に触れなければ大丈夫。
バンカー内でドロップしたらボールが砂にめり込んだ、ラフでドロップしたら芝の中にもぐりこんだ――こんな経験は誰にもある。それがなくなるのはありがたい。
このほかにも、救済を受ける場合、現在は1クラブ、2クラブなど「長さ」が基本になっているが、新ルールでは20インチ(約50センチ)、80インチ(約2メートル)を基準とした「エリア」にするなどもある。
また、前のホールのスコアにこだわらず準備のできた人から打つことを推奨し、ボールを探す時間が5分から3分に短縮されるなど、明らかにプレー時間を短くする目的の改定案も盛り込まれている。
8月末で締め切ったゴルファーからの反応が気になるが、ルール簡素化によるプレー時間短縮と、わかりやすいルールでゴルフがより身近なスポーツになり、競技人口増加につながることが期待される。
R&AとUSGAの真の狙いはここにある。
確かに簡素化ですが、それ程でもないような気がする。打てる人からショットするなどは今でも仲間内ではしているしね。ゴルフを始めることに関してのハードルの高さをまず最初に低くしてゴルファーを増やさないといけないのでは。中を変えても、扉が狭いと入りにくいと思うけど。
時間が短縮のは良い。