飛ばなくても、数多くの引き出しを持つ男。 味わい深い片岡大育(ダイスケ=28)のゴルフ。夢見る欧州ツアーへ広がるか?!

苦労人・片岡大育(ダイスケ=28)難コースのカレドニアンGC(千葉)を粘りのゴルフで制す!逆転でつかんだ3季連続通算3勝目の勝利は、ダイスケを一段高いレベルのゴルファーへ進化させそうな予感です。

アジアツアーとジャパンツアー共催の「アジアパシフィックオープン・ダイヤモンド杯」はアジアの選手も多数出場、アンジュレーションの強い難解なグリーンに大混戦となった中、最終日1打差3位から出た片岡大育は大詰の上がり5ホールで3バーディーを奪うチャージで抜け出し、2位に2打差をつける通算12アンダーの勝利でした。

15年の関西OP、16年10月のトップ杯東海クラシック以来の勝ち星で優勝賞金3000万円を獲得、今季賞金ランク8位に急浮上です。今週の東海クラシックは連覇のかかる試合で、再び脚光を浴びそうです。

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「まさか僕が勝てるとは思っていなかった」ープロ入り11年、28歳の温厚なダイスケが、ホールアウト直後TVインタビューを受けると、言葉を詰まらせ頬に涙があふれました。「調子はよくなくて、苦しくて苦しくて・・」と。「いやー、ここで泣くつもりはなかったんですが、嬉しくて・・」。

アジアンツアーと日本ツアーの共同主管のダイヤモンド杯は片岡大育には特に嬉しい優勝。(千葉・カレドニアンGC)提供:ともにJGTO

そういえば、シード選手として3度目のシーズンだった昨年、2度も涙を流したダイスケが忘れられません。春の中日クラウンズ、2打のリードで17番まできながら、ここでダブルボギーを叩いて追いつかれ、金庚泰(キム・キョンテ=韓)にプレーオフ負けして涙。

10月のトップ杯東海クラシックでは、2打差3位から出たダイスケが猛チャージで15番で池田勇太を捉え、18番をボギーにした勇太に片岡が逆転2勝目。今度はうれし涙にくれたのでした。そして今季、「勝てるとは思ってなかった」と、粘り抜いた大混戦を大詰一瞬のスパートでものにした嬉しさは、百倍の喜びだったのでしょう。

高知県出身。香川西高出。高校時代に四国アマで初の高校生王者(06年)になり、07年の中四国オープンではアマチュア優勝(80年の倉本昌弘以来)を果たして11月にプロ転向。シード選手になれなかった11年から14年まではアジアンツアーに参戦してシードを取り、アジアと日本を往復しながら腕を磨きました。

距離は出ないが、ドライバーの精度、アイアンの小技はひときわ目立っていました。昨季のツアーでは平均パット数2位、フェアウェイキープ率とリカバリー率は3位とグリーン周りのテクニックには定評があるダイスケでした。

最終日終盤のチャージ。14番は80センチにつけたバーディー。マスターズのオーガスタナショナル13番を逆形で模して造ったという498ヤード、パー4の最難関15番。ダイスケは232ヤードの第2打を5Wで2オン。

しかし、乗っただけで奥のカップまでは約30ヤード。アンジュレーションもあって、パターで打つと「いったんグリーンを出てしまう」(片岡)と、グリーン上でウェッジを使って寄せ、残した2.5メートルのパットをしぶとく入れたパーセーブも貴重でした。16番は3メートルを入れ、勝負を決めたショットは次の17番(195ヤード)。

後ろのテントで青木功JGTO会長が見守る中、ドライバーのフルショットする片岡大育(ダイヤモンド杯=千葉・カレドニアンGC)

砲台式グリーンで段差になっている左サイドに落とすと厄介なパー3。しかも左寄りのピンへ向かって、ダイスケの3番ユーテリティは、あわやホールインワンかと思わせたスーパーショットでカップ50センチにピタリ。

この一撃で2位に2打差をつけたウィニングショットでした。秀逸なショートゲームの技を持つダイスケ、本領発揮の上がり5ホール。シード選手になる以前には、ここカレドニアンを合宿・練習コースにしていたという地の利も大きかった。この週は、専属の青山コーチを呼び寄せて、調子の出なかったスイングのチェックなどを行っていたのも功を奏したといえるでしょう。

修業時代、転戦したアジアツアーや欧州への思い入れはいまも変わりません。アジアンツアーのシードを持ち続けている片岡は「500㌦の年会費も毎年ちゃんと払ってます」といっています。アジアンツアーは欧州ツアーとも繋がっているので、ダイスケには大きなメリットです。「特に日本男子は春先に試合がないので、2月3月はアジアや欧州共催の試合にどんどん出かけていきたい」と片岡。

アジアツアーとの共同主管だったこの試合の優勝で、アジアツアーの2年シードを得たのは大きな喜びです。「最終目標は欧州ツアーに行きたい」という片岡に大きな門戸が開かれた貴重な1勝でもありました。シード選手になるまで、さまざまな苦労を重ねてきたダイスケに、ようやく明るい陽射しがさしこんできたようです。

「久々の優勝争いですごい緊張感でした。勝ちたい気持ちももちろんあったし、自分の3勝の中では一番緊張した試合だったかも。3勝とも逆転勝ちしてるのは、自分にもしつこさはあるんだなと思います(笑い)。でもまだ狙って勝つのは難しい。本当に勝ちたいときに勝てる選手になりたい」(片岡)。

飛ばなくても、正確なショットと数多い引出しを持っているダイスケのゴルフは、また味わい深い魅力を秘めています。今週ディフェンディングチャンピオンの東海クラシックでどんなゴルフができるか。大きな見どころになりました。

【この記事は2017-9-25 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】

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児島宏

早大第一文学部卒。昭和33年デイリースポーツ社入社。プロ野球では長嶋、王らの巨人V9時代を担当。ゴルフではマスターズ、全米全英オープンなど国内外のトーナメントを数多く取材。デイリースポーツ東京本社運動部長などを経て、現在日本ゴ ルフジャーナリスト協会員。東京運動記者クラブ会友。