SLEルール」は本当にゴルファーのためになるのか!
高反発フェースのドライバーはクラブとして認められないというけれど・・・
クラブフェースの反発係数を0・830以内に抑えるSLEルール(スプリング効果規制)が2008年1月1日から施行される。高反発クラブはゴルフ規則によって正式なゴルフ用具として認められないというもの。しかし、現状では「ルールだからといって素直に受け入れられない」などの意見も多く、一般ゴルファーやゴルフ場も含めて賛否両論が渦巻いている。SLEルールの今後の問題点、一般のアマチュアゴルファーに与える影響などについて識者の意見を集めてみた。
問題は山積み!時間をかけて解決するべき 五十嵐 誠
近年、ゴルフ用具の進化には目を見張るものがあり、自分自身のゴルフプレイを振り返ってみても十数年前の飛距離と殆ど変わらない。
確かに、道具の進化に伴って次々とゴルフ場を長く広く改造するには限界があり、とりわけ狭い国土の日本では特に難しい。
しかし、飛び過ぎでゴルフ場が短く感じる日本のゴルファーは一千万人の内、何人いるのだろう、プロゴルファーとほんの一握りのトップアマチュアに限られるのではないだろうか。
今回のSLE問題については、過去に飛び過ぎボールが辿った規制問題を参考にしてはと思うのだが如何だろう。
ボールの企画開発に携わっていたパーシモンクラブ全盛の頃、飛距離性能で強烈なインパクトがあったのは米国S社のツーピースボールの出現だった。アベレージゴルファーの私でも分かるドライバーショットの距離は糸巻きボールが何十年も掛けて求めた距離を一日で達成したようにも思えたものだ。それまでの重量と直径のボール規格に初速度制限、トータル飛距離規制が加わって現在のボール規格が定められている。言えることは、時間を掛けて世界統一規格をボールメーカーに徹底実施した指導力があったのではないだろうか。
今回のクラブ問題に関して言えば、メーカーの考え方が統一されないままにルール実施時期が来てしまったことで解決の糸口がみえない。
SLEルールは6年間の猶予期間を設けての実施だから、一般のゴルファーへの認知活動も充分であるとみているようだが現実にはどうだろうか。問題は山積みのようにみえる。
○一千万人のゴルファーが一斉に適合品に換えるのは不可能。高額な商品を買い換えるゴルファーは一部。自ら好んで飛ばないクラブに換える人はいない。
○競技のトラブル‥プライベートなコンペでも、飛び過ぎクラブを使用したことで失格問題が浮上。私の周りでも知人が適合クラブを持たないために新年会コンペに参加できない問題が発生している。
○中古クラブ‥私個人も十数本のチタンドライバーを所有しているが、これらのクラブはどうなるのだろう。単なるゴミになってしまうのだろうか。
突飛なアイディアだが、フェースに特殊シールを貼れば反発係数適合となる解決策などゴルファーに負担の掛からない方策は考えられないのだろうか。
いかに良い決まり事でも一般ゴルファーを置き去りにし、ゴルファーの利益を損なうものは実施保留とするのが全世界のゴルフにとって得策と考えるが如何だろう。時間を掛けて解決する勇気が必要な気がする。