SLEルール」は本当にゴルファーのためになるのか!
高反発フェースのドライバーはクラブとして認められないというけれど・・・
クラブフェースの反発係数を0・830以内に抑えるSLEルール(スプリング効果規制)が2008年1月1日から施行される。高反発クラブはゴルフ規則によって正式なゴルフ用具として認められないというもの。しかし、現状では「ルールだからといって素直に受け入れられない」などの意見も多く、一般ゴルファーやゴルフ場も含めて賛否両論が渦巻いている。SLEルールの今後の問題点、一般のアマチュアゴルファーに与える影響などについて識者の意見を集めてみた。
高反発ドライバーの使用禁止「そんなの関係ねぇ」
文屋 源也
年明け早々(2008年1月1日)から高反発ドライバーの使用が禁止される。仲間同士でゴルフを楽しんでいる大衆ゴルファーには「そんなの関係ねぇ」と言う声も多いが、プロ・アマを問わず競技では一切使えなくなる。高反発クラブは禁止しなければならないほど本当に飛ぶのか。実際に影響はあるのかプレーヤーたちの声を聞いてみた。
「そのドライバー高反発じゃあないの?」「最近新しく買い替えたクラブだから違うと思うよ」スタート前のゴルフコースでの会話。どこを見れば〝適合〟と分かるのかプライベートで回る4人はだれも知らなかった。08年1月1日からJGAルールで高反発クラブが使用禁止になるのは夏ごろから各ゴルフ場の掲示板に張り出してあり、会報などでこの問題を取り上げているため知ってはいるが、ドライバーのどこを見れば高反発、適合クラブの見分けがつくのか、よく理解していないプレーヤーがほとんどのようだ。
クラブの月例競技などに出場するローハンディの上級者は、当然ルールに適合したドライバーの使用を義務付けられるが「試合に出なけりゃあ高反発を使ってもいいんじゃあないの」というゴルファーが圧倒的に多い。それどころか、プレーする側のニーズに応え、違反となる高反発ドライバーを造り続けるメーカーもあると聞く。 SLE=Spring Like Effect(高反発)効果とはフェースの肉厚を薄くして、たわむ反発力でボールをより遠くへ飛ばすというもの。太鼓をバチで思い切りたたくと反動でバチが弾き飛ばされそうになる。それと同じような効果を狙ったのが高反発クラブといえる。太鼓を軽くたたいたくらいではさほどの変化を感じることはないのと同じで高反発クラブの効果を得るためには、かなりのヘッドスピードが必要である。
プロはいうに及ばずアマでも300ヤードを越す選手が増えてきた。5月の「マンシングウェアオープンKSBカップ」で史上最年少優勝を飾った石川遼選手(16=杉並学園高1年)の武器は、プロ顔負けのドライバーショットだが、飛ばし屋と呼ばれる選手総てが高反発ドライバーを使用してのショットかといえば決してそうではない。逆によく飛ぶという高反発を使ったからといって、クラブの性能をフルに活用できているゴルファーはごく限られている。
年明けから高反発クラブを使用しての競技は失格、ハンディキャップの申請禁止、遊び(レクリエーション)はその限りではないといわれているが、プライベートのコンペで優勝しても禁止のクラブを使用したと判れば失格(または降格)になってしまうだろう。
これまで高反発クラブの機能性をさほど気にせず使っていたが、改めて適合クラブとどう違うのか打ち比べてみた。シルバーエイジの非力なプレーヤーにとっては振りやすさが一番。高反発ではなくてもプレーヤーの体型、技量に合ったクラブを使用すれば飛距離はさほど変らないのではないか。ゴルフのクラブは材質、形状、テクノロジーの進歩で改良された製品がたくさんある。飛ぶクラブを求めるなら高反発だけでなく選択肢は他にもある。レクリエーションだからと使い続けるのは自由だがあくまでルールあってのゴルフを忘れないでほしい。