プロゴルフ界のチャリティを考える ~文屋 源也~

恵まれない人に愛の手を。8月兵庫県の小野グランドCCで開催されたミニツアー「南都オープン」に初優勝した竹本直哉プロ(29)。獲得した300万円の賞金の内50万円を寄付した。億単位の賞金を稼ぐトッププロならいざ知らず、無名プロ竹本の善意にチャリティのもつ意義を考えてみた。

女優の夏目雅子を骨髄性白血病で亡くした実弟の小達敏昭プロが白血病患者の救済を目的に「夏目雅子ひまわり基金」を立ち上げチャリティ活動。小林浩美プロがガン撲滅チャリティを自ら率先して行っていることはよく知られている。最近では世界ゴルフ殿堂入りを果たした(2004年)青木功プロが100万円を寄付したことは記憶に新しい。しかし、恵まれない人たちに目を向けるプロは、残念ながらほんの一握り。まして無名プロが初優勝の賞金の一部を寄付した例は今回が初めてだろう。

「南都オープン」に初優勝を飾った竹本直哉プロ(提供・報知新聞社)日本のトーナメントは主催する企業のPRが目的である。一方、米ツアーはチャリティのために大会を開く。大会から贈られた寄付で造られた病院や学校は数知れない。選手側もチャリティに対して理解があり、個人での寄付や額の多さは日本とは比較にならない。

これにはキリスト教に根ざしたチャリティ精神の違いがあるのだろう。長年米国ツアーに参戦し、外国選手との付き合いの多い小林や青木はチャリティ活動に少なからず影響を受け関心も高い。竹本は高校時代から単身アメリカに渡り、ゴルフの腕を磨く傍らカリフォルニア州のサンタバーバラ大で学んだ。米国で過ごした生活を通し自然に〝人助け〟の精神を身につけたといえる。

プロのスポーツ選手は、プレーのパフォーマンスを見せるだけが仕事ではないはず。青木らを手本に社会にどのような貢献できるかを考える選手になってほしいものだ。