ゴルフジャーナリストからの『提言』- 2006年ゴルフ界へ –
提言!苦言!証言!「2006年日本のゴルフ界を点検する」ゴルフ界の進歩と飛躍に必要なものは何か?
日本のゴルフ界も一時の「すべてがドン底」という状態から抜け出し、明るい話題や、その予兆を感じさせるようなニュースが時々報じられるようになった。そこで、当協会の会員が、この流れをさらに加速させるための提言!逆流させないための苦言!そしてこれまであまり報道されてこなかった証言!を、各自テーマを絞って執筆した。
元気!競技ゴルフ
だれでも参加できる檜舞台「パブリック競技」 ~児島 宏~
宮里藍人気から火のついたゴルフブーム。盛り上がるのは女子プロツアーだけでなく「私もゴルフを始めたいヮ」という若いレディスゴルファー、さらにはアマチュアゴルフ全体の活況にまでつながってきた。今年、全国で1万1千人を超える参加者があった全日本パブリックアマチュアゴルフ選手権を取り上げ、その実態を追ってみた。
出場資格にあるハンディも自己申告
藍ちゃん人気は従来のゴルフ人気とはちょっと色合いが違った。親御さんに連れられた小さな女の子が「藍ちゃん、ガンバッテ!」と黄色い声を上げるトーナメント会場。かって見られなかった異様な可愛い声援は、レディス全般のゴルフブームに輪を拡げていった。いまや女性ゴルファーの熱いコールはゴルフショップをはじめ、ゴルフ場やスクール、練習場へと押し寄せている。
そんな影響も手伝ってアマチュアゴルフの人気回復、中でも競技ゴルフへの期待度が年々大きくなっているのは注目だ。アマチュアゴルフの大きな楽しみは、各企業や友人グループなどの「コンペ」だった。しかし、プライベートの〝なあなあゴルフ〟ではあきたらなくなって、ゴルファーは競技ゴルフに興味を示し始めた。競技ゴルフは初対面の人とラウンドができたり、プライベートコンペとは一味違う緊張感がある。最低限のルールも知らなくてはいけない。それらはゴルフの腕前のレベルアップにも自然とつながってくるから楽しさが増す。
実は(社)日本パブリックゴルフ場事業協会(PGS)は昭和42年から全国規模の大会を開催し、今年で第39回の歴史を持っている(女子は今年で第5回)が、この大会がこのところ年ごとに参加者が増えて事務局もてんてこ舞いしている。中嶋常幸(第6回=昭和47年)、丸山茂樹(第20回=昭和61年)、桑原克典(第23回=平成元年)、久保谷健一(第24回=平成2年)、星野英正(第28回=平成6年)といった現トーナメントトッププロもこの全日本パブリックアマチュアゴルフ選手権に優勝してプロへの道を歩んできた。歴史ある大会の一つだが、その底辺は広く身近だ。参加資格はというと「ハンディキャップ20程度以上の力量のあるもので、日本ゴルフ協会のアマチュア資格規則に抵触していないもの」というだけ。申し込み受付期間は毎年3月1日~31日。参加料は男子6000円、女子4000円とお手ごろ。シニア部門(男子55歳以上、女子50歳以上)が今年第11回目を迎え、昨年からは男子65歳以上のミッドシニアにも分かれ、シニア参加料は予選3000円と老若男女に幅広く門戸を開いた大会だ。
将来のプロを目指すジュニアから 競技ゴルフを楽しむ一般シニアまで出場者は様々
このパブリックアマチュアゴルフ選手権大会、昨年には遂に合計で1万人の大台を突破。東日本の地区決勝はA、B2地区に分かれ、さらに今年からは全日本のシニア、ミッドシニア、女子シニアがそれぞれ2日間競技にスケールアップした。すべてはより多くのプレーヤーが参加できるよう、また年齢別を作ることによって高齢者にも優勝のチャンスが広がるように配慮されたものだ。
最近では、いまや人気のスーパー中3の伊藤涼太クン(15)も小学生のころからこの大会に参加、話題を集めた。女子では今年8月、日本女子学生選手権を制した宅島美香(名古屋商大)選手は平成13年、全日本パブリックアマチュア選手権女子の部の第1回優勝者。今年7月女子プロゴルフテストに一発合格した青木功ジュニアスクール育ちの安田このみ(20)も、東京・立正高時代(平成14、15年)東日本で2年連続優勝してプロへの道を歩んでいる。
このようにこの大会をプロへの登竜門としている若者も依然多いが、競技ゴルフを楽しんでいる一般ゴルファーの方が圧倒的に多い。友達同士誘い合って申し込むゴルフ仲間がいる。スポーツ紙のゴルフ担当記者たちが「競技ゴルフも自分たちで味わってみよう」と、ここ数年連れ立って地区予選に出場、中には東日本大会まで勝ち進んだ記者もいる。試合は日本パブリックゴルフ場事業協会に加盟している全国87コースで予選から全日本まですべて行われ、パ選の全日本大会は6月、シニアは10月に全日本大会が開かれる。また現在は全日本パ選の上位2人が日本アマ選手権への出場資格が与えられるのはじめ、全日本シニアの上位2人も日本シニア選手権に、06年からは全日本女子の上位2人が日本女子アマ選手権に出場資格が与えられるようになり、上級者にはそれなりに高い評価を得られるようになった。
PGSというのは加盟87コースのうち52コースではJGA公認のハンディキャップが取得できることでも人気がある。また、PGS加盟コースで会員登録をし、ここのハンディキャップを取得すると、パ選以外の全国で年間100回以上開催されているPGS主催「アンダーハンディ競技」に参加できる。まだ実力が・・・と控えめ(?)な方はこのハンディ戦から始めてみるのもいい。PGSハンディを持っていればどこの競技にも1500円の参加料で自由に参加することができる。
誰でも参加できる開かれた檜舞台。パブリックアマチュアゴルフ選手権に、少しでも自信のある方はトライしてみてはどうだろう。