日本ゴルフジャーナリスト協会発足以来、初の試み「論文公募」を振り返って~土井新吉~

「日本ゴルフ100年祭」の協賛企画として、「ゴルフを本当のスポーツに」という観点に立ち、21世紀の日本のゴルフはどうあるべきかについての記念論文を募集した。
論文のテーマが広範囲に及ぶこと、文字数の制限などから、どれほどの応募があるものかと懸念したが、予想に反して120通もの応募作品があったことは驚きだった。
しかも10代の少女から70代のゴルフ愛好者まで年齢層も幅広く、多くの人たちが21世紀の日本のゴルフ界のあり方に、強い関心をもっていることが証明された。そしてその主張の内容を分析してみると、最も多かったのがゴルフを取り巻く環境の整備についての論文で全体の5分の一に及び、次いでジュニア育成、ゴルファーのマナーやプレー料金の低額化について述べていた。数は少なかったがマスコミの使うゴルフ用語の再検討、トーナメントのテレビ中継についての苦言、ゴルフ大学設立、アマチュアリズムの復興、簡易ハンディキャップ取得法への要望、さらにはツアープロのパフォーマンスなど、多岐に及んでいた。
その一方で、当協会が期待していた〝将来、日本のゴルフの健全な発展のための建設的な提言を〟という点については、そこまで言及した論文はあまり多くなく、単に現状を批判するだけのものが多かった点が目に付き残念だった。
そうした中で日本ゴルフジャーナリスト協会理事及び、会員有志による選考委員会は、2回の審査を行って、最優秀作1遍、優秀作3遍を決定。7月3日午後、最優秀作品に選ばれた阿部鉄午郎氏に賞状及び賞金20万円を贈って表彰した。
阿部氏の論文は文章の構成が見事であると同時に、テーマとして取り上げていた『ゴルフ場利用税』についても、明確な、しかも実現可能と考えられる素直な提案が、各選考委員から評価されたものである。今年も前二年に続いて利用税廃止の署名運動が全国的に展開されているが、その運動の一環としても評価すべき提案といっていい。
また、優秀作に選ばれた後藤順氏は、ジュニアに対しゴルフ場を開放すべきと論じ、斎藤良雄氏はゴルフコースやクラブハウス内の施設を地元住民をはじめ、多くの人たちに開放すべきと主張。さらに松浦需一氏はゴルフにおけるマナーを重視、プロのトーナメントでコース内での喫煙を禁止すべきで、そこから科学的ゴルフを確立すべきと述べていた。
今回、選に漏れた作品の中にも、貴重な、そして有意義な提案は少なくなかった。それらひとつ一つを、日本のゴルフ愛好者たちが真剣に受け止めて、これからの日本のゴルフをよりいい方向に、みんなの努力で持っていくべきだと感じたものである。

10名(順不同)選考委員

土井新吉 三品智加良
菅野徳雄 荒井聡
宮崎紘一 菅原栄二
杉山通敬 田野辺薫
中野好明 新岡和子