ゴルフそのもののあり方について「ゴルフを本当のスポーツに~」 ~丸田 頼一~(日本ゴルフ100年祭記念論文)

21世紀を迎えたのと同様、ゴルフも新しい世紀を迎えようとしており、新たなビジョンも期待されている。
過去、100年間に確実にゴルフ人口を増やし、しかも国際的な一流のプロ選手も数多く輩出したり、ゴルフを介し、日本の国際的な社会経済の水準向上に果たした功績には計りし得ないものがあった。しかも、ゴルフプレーを通じ、健康の維持促進、コミュニケーションの機会提供、青少年の健全な育成などの効果がみられたと同時に、ゴルフ場の「場」の整備に伴い、治水等の国土保全、小動物の生息環境の保護、地域経済の振興などの意義が認められ、今後共それらの効果・意義に変わりはなく、国民からの期待度は大きい。
そして、21世紀の情報化社会は高齢社会と共により進展し、人間性回復と自由時間の増大等の観点から「スポーツ権」が確立されるであろうし、ゴルフに対する期待がより一層増すものと思われる。
しかし、数十年前から国民のゴルフに対する潜在的需要はスキー、テニス水泳等と共に非常に高く、常に「生涯スポーツ」の候補にのぼるもののスキー等他のスポーツと異なり、未だその位置を確保しておらず、抜本的な方策が関係者に求められている。
「競技スポーツ」から国民に根付いた「生涯スポーツ」にゴルフを位置づけ、市民スポーツとして発展させるためには、公共スポーツとしての認知(公共性)、低廉な料金での利用(低廉)、身近な距離での到達(至近性)、最近ドイツにみられるような自然環境保全を重視したゴルフ場(環境保全)や親のプレー中には子供を預かり、自然教育プログラム等を実施する家族利用可能なゴルフ場(家族利用)等の要件整理が必要になる。
そこで、公営ゴルフ場の比率が断然高いアメリカの事例も参考にすべきである。例えば、アメリカ最古といわれる公営ゴルフ場があり、人口一人当たりの都市公園面積が300gを超え(日本は7・9g)、アメリカ一の「公園都市」である、イリノイ州のペオリア市は全米スポーツ財団から幾度か金賞の表彰を受け、「生涯スポーツ都市」であると共に「ゴルフ都市」でもある。人口13万5千人であるにもかかわらず市内5カ所に公営ゴルフ場があり、ゴルフがコミュニティスポーツと呼ばれているほど市民の有力な日常的スポーツであると同時に、数多くのプロゴルファーも輩出している。また、毎年夏休み中には、「若者ゴルフプログラム」を催し、少年少女時代から自然に富んだゴルフ場とふれあいを勧め、ゴルフ場を通じた生徒の健全な成長に努めている。
日本においても、ゴルフが国民生活に欠かせない「生涯スポーツ」としての位置を得るために、公営ゴルフ場の整備促進を各方面のビジョンに掲げ、市街地周辺等に都市公園やスポーツ施設として配置していく必要がある。震災時には防災広場になろう。ゴルフは健康で健全な人や緑豊かで安全な社会も作る。