From Member’s Voice
当協会を含めたゴルフ関連15団体が「ゴルフをみんなのスポーツへ」という共同アピールをもとに、今年活動を行っている。そこで今回は当協会会員の方々にどうすればみんなのスポーツになるのかを提言してもらった。
「まず、体を鍛えなければ話にならない」
児島 宏
新緑が目にしみた5月、メジャー2冠をひっさげて日本女子ツアーに初登場した朴セリのプレーを4日間じっくりと見た。順位こそ6位タイに終わったが、朴はいくつかの問題を日本のゴルフ界に投げかけた。その中でもスイングの美しさは、若さとあいまって魅力にあふれていた。ただ単に形が美しいというのではなく、朴にはアスリートとしての躍動美があった。
まだ、21歳の若さだが、14歳でゴルフを始めるまでは陸上短距離の選手でもあった。韓国では父親の厳しい指導に耐え、自宅マンションでは13階の階段を駆け登るなどのハードトレーニングを積んで男子並の肉体を作り上げていた。引き締まったふくらはぎ、50数cmはゆうにある太もも。安定した下半身に加え柔軟な筋肉を大きく使ってのスイングはほれぼれするほどで、久々に″魅せるプロ″の条件を備えていた。日本にも人気の女子プロはいるが、ここまでアスリートとしての魅力を兼ね備えたプロは見当たらない。
ゴルフというスポーツは何なのか。プロはもちろんだが、アマチュアも含めて競技志向派から、体を動かすだけでいいという健康維持派まで、その幅は広いだろう。だが、少なくともゴルフをやる以上は誰でもそれなりに上手くなりたい。そしてそれが楽しみなのだ。プロについてレッスンを受けるのも間違ってはいない。練習場に通って″独学″で技を磨くのもいい。レッスン書を読みあさり、プロの連続写真を分析して学習するのも楽しいものだ。しかし、そうした形の模倣だけでは真のナイスショットは生まれない。アマチュアはアマチュアなりに、サンデーゴルファーはそれなりの「体づくり」がゴルフ上達の大きな要素になるのだと思う。
中嶋常幸プロは世のアマチュアゴルファーにこんなことを言っている「ドライバーであと15ヤード距離を伸ばしたいと思ったら、技術を覚えるより毎日20分のストレッチと週2回の軽いサーキットを3カ月やれば、間違いなく飛距離は伸びてくる」と。アマチュアがやるとすれば、それこそ″油を差す″程度でも効果は上がるだろう。だが、これは日本のプロにもいえることではないだろうか。最近はようやくオフのトレーニングが話題になるようになったが、まだまだ日本のプロたちは体の鍛え方が十分とはどうしても思えない。
話は朴セリに戻るが、グンゼワールドでの練習レンジで並んで打っていた日本の女子プロのひ弱い足、きゃしゃな体は、隣の朴と比べたらまるで大人と子供の差があった。朴の美しいスイングは鍛えられた体と練習からにじみ出たアスリートのもので、日本の女子プロには形だけ真似ようにもそれはかなわぬ夢である。
ゴルフがスポーツであるならば、やはり「体」が伴ってこその楽しさ、上手さだろう。サンデーゴルファーは朝のラジオ体操からでもいい。自分流のプログラムを作っての30分ストレッチも素晴らしい。老いも若きもそれなりの体づくりを平行させながらゴルフに取り組もう。そうしたらゴルフはもっともっと楽しいものにきっとなると信じたい。