動き出した日本のゴルフ~これからのゴルフ界に望むこと~
ここ数年、日本のゴルフ界が動き出している。女子ツアーの宮里藍選手をはじめとする若手選手の活躍、それに伴うギャラリーの増加、テレビ視聴率の伸びなど、徐々に明るい兆しが見え始めている。ゴルフ場、ゴルフ用品、ジュニア育成などの分野でも、同様の兆しが見える。そこで今回は当協会のメンバーに、現在の日本のゴルフ界について、それぞれの得意分野の出来事を分析していただき、冷静かつ熱く語ってもらった。
試合を盛り上げレベルを上げるためには開催コースの理解が不可欠 ~菅野 徳雄~
「やれば出来るじゃないか」「こういう試合をやれば日本のレベルは必ず上がる」
そう思わせたのが今年のJGT選手権宍戸ヒルズカップであった。
優勝は通算5アンダーで、アンダーパーはわずかに4人。JGTO(日本ゴルフツアー機構)主催の試合で、こんなにフェアウエーを絞ってラフを伸ばし、グリーンも硬くした試合は恐らく初めてだと思う。フェアウエーから打ってもしっかりとボールをとらえてスピンの利いたショットをしないと止まらない。ティーショットをラフに入れると簡単にボギーを叩いてしまう。
JGT選手権の舞台となった宍戸ヒルズCCは普段は正直言ってどこにでもあるようなごく普通のコースだ。だけどもその気になればタフな舞台に仕上げることが出来るという何よりの証拠だ。
日本選手のレベルを上げ、なおかつ試合を面白くするには主催者と開催コースの協力も欠かせない。今年のJGT選手権は開催コースの宍戸ヒルズCCの理解と協力あったからタフなコースセッティングが可能だったわけだ。
「バーディが沢山出た方がギャラリーは喜ぶ」と思っている主催者がいまだにいるとしたら時代錯誤もはなはだしい。世界のハイレベルのトーナメントが毎週テレビで見られる時代であるから、簡単にバーディの出る試合を喜ぶゴルファーなんていまどきいない。今年のJGT選手権のように最高のプレーをしないとバーディが出ず、ひとつ間違うとすぐボギーになるようなスリリングな試合の方がファンは喜び、「プロの試合はこうでなければ……」と納得する。
試合のためにフェアウエーを狭くしたりラフを伸ばしたりすると「プレーの進行が遅くなるから」と言って嫌がるコースが多いと聞く。これではすぐれたプロの技術を引き出すことは出来ない。タフなコースに仕上げて日本のレベルを上げれば必ずや世界的な選手が出てくる。そうすればゴルフの人気が高まりゴルファーが増えるのだから、長い目で見ればゴルフ場にとってもメリットがあるはずだ。