ジュニア問題について「子供と回れるゴルフ」 ~有坪 民雄~(日本ゴルフ100年祭記念論文)

私がゴルフクラブを買ったのは小学校四年生のころだったと記憶している。住んでいるところがゴルフ場銀座と呼ばれる地域だったこともあって、周囲にゴルフをやる大人がやたらと多かった。今にして思えば背伸びをしたい盛りだったから、大人の真似をしたかったのだと思う。子供のこづかいでゴルフ場に行くことはできないから、いつも田んぼに向かって打っていた。自分もゴルフに行きたいと思ったが、親はいい顔をしない。他にもゴルフをやりたがっていた子供はいたが、練習場はともかく、ゴルフ場に連れていってもらってプレーしてきたという子供はいなかったように思う。
なぜみんな子供と一緒にゴルフをしないのか。大人になって自分がコースに出ると、理由が少しはわかってきた。ゴルフはマナーにうるさい人が多い。子供がコースでもたついていたら、それだけで後ろの組の迷惑になる││。プレーフィは最近安くなってきているが、それ以上に周りの迷惑を考えてしまうから、子供を連れて行きにくい。周囲に遠慮することなしに、親子でゴルフを楽しめる機会が欲しいと思うのは、私だけだろうか。
たとえば、こどもの日や夏休みには、親子連れのみのコンペなどやってみてはどうだろう。小学校高学年と高校生が競うというのも力の差がありすぎるから、小学校高学年の日、中学生の日、高校生の日と三日くらい開催する。
こういった場だと、子供がたとえば1ホール20以上叩くようなもたつきを見せても、周囲の目は気にならないと思う。コースを回るスピードも似通っているだろうから、大人のスピードに合わせて回る必要もないはずだ。

考えてみれば、ゴルフほど周囲を気にせず、しかもプレー中に会話を楽しめるスポーツはない。サッカーや野球、バレーボールなどはチームワークを要求される団体競技だ。個人競技には、卓球やスキー、スケート、テニス、水泳などがある。いずれもやっている最中に会話を楽しむ余裕はあまりない。ゴルフはプレーヤーがプレー中、気ままに会話を楽しめるほとんど唯一のスポーツといえる。
私の子供は、一番上が幼稚園児だ。今のところなついてくれているが、成長すれば会話もなくなってくるだろう。しかし、一緒に行くゴルフができるなら、その時だけは一日顔を合わせていられる。そんな機会が持てるだけでも、ゴルフをする価値は十分あるのではないかと思う。
ゴルフは紳士のスポーツだというが、紳士は女性や子供を排除してスポーツを楽しむ人種ではないはずである。実際女性も受け入れているのだから、子供だって受け入れて当然ではないか。当たり前のように子供を連れていけるゴルフ場が、そろそろできてもいいはずだと思うが、いかがだろうか。