やはりバク大な経費を使うことになる。霞ヶ関CCが女性正会員の受け入れを決定したことで、一見沈静化したかに見える2020東京オリンピック・パラリンピックのゴルフ競技開催地問題。しかし救急車だけで延べ1250台は必要となるギャラリーの熱中症対策や、選手村からはるかに離れている埼玉で行うことによりハネ上がる輸送費や警備費などの諸問題は置き去りにされたままだ。そこで今回は霞ヶ関で行われた場合「専用レーン」が導入されるという首都高速~関越自動車道~圏央道のルートを徹底検証。交通渋滞が発生する夏休みの専用レーンという試みの無謀さが、ここでハッキリ見えてきた。
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3連休最後の日となった3月20日。霞ヶ関CCでは理事会が開催されていた。
そこで「The Tokyo Chronicle」の五輪問題取材班は東京・晴海の選手村建設予定地に車を横づけにした。カーナビの目的地に「霞ヶ関カンツリー倶楽部」を入力すると、走行距離は71キロと出た。出発時刻は15:45分。選手や関係者になったつもりで、霞ヶ関へと向かうことにしよう。車はゆっくりと走り出した。
銀座入口から首都高中央環状線へ。左からの流入が2度続いた後、最大の難所、5号線への流出がやってくる。竹橋ジャンクションだ。一番左の車線から右、右と車線変更する。専用レーンをどう作るのか、頭を悩ませることになりそうだ。
戸田橋で埼玉県に入る。ここからは埼玉県が費用を負担するというが、首都高だけでなくNEXCO東日本への専用レーン使用料はかなりのものになるはず。平成26年の10月に行われた「ちばアクアラインマラソン」では約1千万円、昨年の「横浜マラソン2016」では約1200万円の補償費が生じたという。大会は正式競技日だけで男女合わせて8日間ある。普通に考えれば練習ラウンドを含め2週間は専用レーンが必要になるのだから、桁違いになるのは容易にイメージできる。
また圏央鶴ヶ島からコースまでの道路などのインフラ整備も大変だろう。
また警備費も、豊洲エリアで開催の場合とは比較にならない額になる。
霞ヶ関で開催した場合、39.5億円との一部報道があったが、これには専用レーン設置の補償費や警備費は含まれていないという。
一方、松沢成文参議院議員が専門家の協力を仰いで若洲ゴルフリンクスの改造費を試算したところ、20.6億円となった。内訳はゴルフ場改修費用4.9億円、付帯施設8.9億円、仮設・運営費3.8億円、その他3億円となっている。
警備費は豊洲エリアでの開催のため、霞ヶ関に比べかなり軽減できるのは間違いない。
16時58分、ようやく正門着。渋滞が全くなくても選手村から片道1時間を切るのは不可能だ。毎日往復2時間は、選手にも関係者にもかなりの負担となりそうだ。現時点でコース周辺に選手や関係者が宿泊できるような施設はない。
(ゴルフジャーナリスト・小川 朗)
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