2020年JGJA大賞 アース製薬株式会社・大塚達也会長インタビュー①

2020年日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)大賞に、女子ツアー「アース・モンダミンカップ」の主催者、アース製薬株式会社・大塚達也会長を選出した。コロナ禍のため、今年は表彰式及び受賞者による講演会を中止し、JGJA会長の小川朗が同会長を訪ねて直接表彰盾と記念品を手渡した。その後、同会長に大会開催までの経緯や舞台裏、今後のゴルフ界、メディアに望むことなどを聞いた。その内容を、3回にわたって掲載します。

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JLPGAの公認なしでも開催の意思

小川 大塚会長が決断されて初めて試合を行いました。女子ツアー中止が開幕戦から続き、何とかしようとしながらなかなかできない。そんな中でどんな気持ちで状況をご覧になっていましたか

大塚会長 ぜひやってほしいなと思ってみていました。(開幕戦の)ダイキンさんは(感染が)騒がれ始めたが、無観客ならできるんじゃないかという雰囲気はあった。中止になって、その後はやらない、やるのはいかがなものかというようになっていった。その後海外でもちらほらと無観客でやるようになってきた。

ゴルフはコロナであっても比較的クラスターを発生させにくいスポーツという認識はあったので、選手だけであれば感染対策をしっかりとやっていけばできるはず、誰かやってくれないかなと思っていた。自分たちが最初になるとは思わなかった。

我々はなんとか開催したいという思いで、準備を怠りなく、その時その時で考えられる最善の方策を取り入れてやってきた結果、開催することができた。

もちろん、JLPGAの承認、さまざまな方々のサポートがないとできなかった。たまたま緊急事態宣言が解除されて、PCR検査も民間の機関が引き受けてくれて、安心させる要素が増えたということでした。

JLPGAに反対されて開催できなかった大会も聞きますが、うちは反対されても、公認されなくてもやったかもしれない。選手のためにやってあげようと。たまたま公認される形でできたのはラッキーでした。

ゴルフファンの励ましで幸せな5日間

小川 開催に踏み切ると、感染が出た場合も含めいろいろな批判もきます。アース製薬は衛生には強く、エビデンスもお持ちでしょう

大塚会長 製薬とついていますが、そこまで医療には詳しくないんですが(笑い)。医師に聞いたことを勘案して、しっかりモニタリングして開催していくようアドバイスも頂戴していましたし、健康な基礎疾患のない方は重症化の確率が低いということでしたから、リスクを周知し、自己責任でやっていくしかないかなと。

(何か起こって)開催したからと言われても仕方がないことで、自分がやったことですから、当然受け止めるという覚悟、というか、思いはありました。

小川 実際に感染もクラスターも発生しませんでした。大会無事に終了した後の気持ちは

大塚会長 始まってしまえば、一ゴルフファンとして大会を楽しむ。トーナメントっていいなと。開催できるかどうかの不安より、開催できた喜びが勝ってしまって、まあ満足感に主催者として浸っていました。

ネット中継をやっていまして、書き込みが四六時中上がってくるんですけど、好意的な応援してくださるメッセージが多くて勇気づけられましたし、見ていた社員が「こんなメッセージがきました」と、士気も上がってきました。感動がじわじわと込み上げてきました。

充実感というか、(順延も含めて)5日間と長くなったのですが、幸せな5日間でしたね。

小川 ツアーでは予備日を使って5日間にするという試合がなかなか実現しなかった部分もあります

大塚会長 我々は素人なんで、JLPGAのおっしゃる通りに準備をしていたので、逆に他のトーナメントが予備日を設けていないと聞いて、えっという感じでした。そういうものだと思っていましたし、月曜日に予備日を設けることで、ボランティアさんにお礼も兼ねて無料でプレーしていただき、その際にいろいろな意見を頂戴するので、それはそれでいいと思っていました。

運動不足解消とコミュニケーションづくりのゴルフ

小川 ご自身のゴルフをお聞きしたいのですが

大塚会長 30年以上ですね。大学の研究室にいたときに、委託研究員でゴルフが好きな方がいて、打ちっ放しに行こう、体なまるよと。早朝の6時から1時間、池之端(東京・台東区)の練習場に毎日のように行って、ストレス発散ですね。中古品のクラブを買いました。

社会人になって(大塚製薬に入社し)徳島の研究所に行った時に、だいたい月に1回コンペがあって、先輩からゴルフやるなら出ろと。150とか平気でたたいていましたが、下手は下手なりにコミュニケーションをとっていましたし、先輩と一緒に回っていろんな話ができたり、可愛がってくれたりして、楽しいスポーツだなと。

うまくなるには練習しないといけない。練習場に行くようになって130ぐらいになりました。そのうち米国に行って駐在員をしているときに、日本からのお客さんを毎週末ゴルフ場にお連れして、100ちょっとぐらいになったんです。

帰ってきてアース製薬に入社して、ゴルフが大きな接待の手段でした。100前後というのは接待にちょうど良く、お客さんも喜んでくれましたが、毎回毎回お昼ご飯をご馳走しないといけない(笑い)。やっぱり練習行かなきゃと、アース製薬に入って10年ぐらいして練習場に行き始めた。また、喜んでくれるのがうれしくてやっていると、ビジネスもうまくいくこともありました。

マスターズを見に行き始めて、鳥肌が立ち、足が震えるような感動を覚えました。ゴルフはやるだけではなくて、見るのもすごく楽しい。素晴らしい会場を用意してあげるとゴルフを知らない人でも楽しめる素晴らしいスポーツと思いました。

練習場での成果が出てきてシングルにやっといったら、腰を痛めた。最高はハンディ9まで行きましたが、シングルになると負けると悔しい、自分に腹が立つだけではなく、相手にも敵意をむき出しにしてしまうのは精神的にもよくない。やっぱり勝っても負けても楽しく回れるのが一番いいと思って緩めていたらハンディ13ぐらいに戻りました。

今は友人との懇親のためのラウンドや、年を取ってくると運動すること、歩くことが少なくなるので、ゴルフ場だと思う存分歩けるし走れるし、健康維持のためにもいいスポーツだなと思います。

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コロナ禍の中で「最初」に開催に踏み切るのは、覚悟と勇気が必要になる。しっかりとした情報を基に、その時にできる万全の感染対策を実施して作り上げた結果、2020年女子ツアーが「開幕」できた。ツアーでは公式戦以外では順延された場合は短縮の形で大会が成立することが多かったが、悪天候で中止となった最終ラウンドを予備日に行って72ホールを完遂する、本来あるべき姿に戻した決断もJGJA大賞選考への大きな評価につながった。

(構成・JGJA赤坂厚)

 

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赤坂厚

1959年北海道札幌市生まれ。札幌南高―北海道大学工学部卒。82年日刊スポーツ新聞社入社。同年から計7シーズン、ゴルフを取材した。プロ野球巨人、冬季・夏季五輪、大相撲なども担当。2012年、日刊スポーツ新聞社を退職、フリーに。
著書に「ゴルフが消える日」(中公新書ラクレ)、「ビジネス教養としてのゴルフ」(共同執筆、KADOKAWA)
日本プロゴルフ協会、日本プロゴルフ殿堂、国際ジュニアゴルフ育成協会のオフィシャルライターでHPなどに執筆。「行ってみました世界遺産」(https://世界遺産行こう.com/ )「ゴルフ上達への18ホール」( https://www.golflesson90.com/)を公開中。
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