マスターズ並みの超高速グリーンに磨き!カレドニアンGC(千葉)。”14フィートの快感”を味わってみよう!

「マスターズ並みの14フィートに挑戦!」をスローガンに、超高速グリーンの常態化に取り組んできたカレドニアン・ゴルフクラブ(千葉・山武郡)。スローガンを掲げてから5年が過ぎたいま、順調な成果をみせて訪れるゴルファーたちを楽しませています。

カレドニアンの18ホールを歩いてみると、一つとして類型のホールがない新鮮さに身震いさせられます。

ダイナミックなフェアウェイのうねり、随所に配置された池とバンカーに挑戦意欲をかきたてられますが、アンジュレーションの利いた高速グリーンこそ″別のゲーム〝として究極の醍醐味を味わさせてくれます。初冬を迎えてさらにスピードを増している″世界基準〝の快速グリーンを体験してみました。

☆★    ☆★    ☆★

オーガスタナショナルの13番を模した15番ホール。グリーン手前にはクリーク。左サイドのバンカーや花壇もオーガスタそっくり。カレドニアンの名物ホールだ。

クラブのキャディーマスター室前を通ってコースへ向かうと、お知らせ札が立っています。例えば「きょうのグリーンは13フィート、刈り高2.7ミリ・・」といった情報板です。

グリーンを管理しているベテランの石井浩貴キーパーによると「オーガスタ並みの14フィートをめざしてはいますが、なかなか連日というわけにはいきません。寒さがひどいと、朝は霜が降りるので、どうしてもグリーンコンディションも低下します。

今年も14フィートを出せたのは、秋口の11月と12月の10日前後には達成できました。いまは12フィート前後の日が多いかもしれません。春の3月頃もまた速さを出せる時期です」と、話してくれました。

グリーンは生きものですから管理は大変です。カレドニアンでは、コース内で常時10数種類のベント芝を育成しています。さまざまな芝の中から現在、カレドニアンが採用しているのは、TYEE(タイイ)と名づけられた米国産の品種。

石井キーパーによると「タイイは、短く刈っても耐えられる品種。夏の酷暑や病気にも強くて、へたらない。スピードを出すにはもってこいの芝です」と。

刈り高は従来3ミリが限度といわれましたが、最近の改良された刈り機や育成法の進化で2.7ミリといったカットも可能になっています。

また、刈る方向も8パターンを用意し、より短く芝目のないグリーンに仕上げることができるそうです。こうしたことが、グリーンのスピードをアップさせる主な要素になっているのです。

日々進化を目指すカレドニアンでは、現状に満足することなく「近い将来には777(トリプルセブン)というさらに優れた芝生を採用することも考えています」(石井キーパー)。

ティーショットとグリーン手前と、2段構えの池越えショットになる18番ホールの3打目地点。
横長のグリーンは段差があってしかも高速。最終ホールまで息の抜けないカレドニアンだ。

母体の㈱東京グリーン・早川治良会長が、カレドニアンGCを開発するにあたって、ゴルフの原点であるスコットランドのセント・アンドルーズオールドコースはじめ全英オープンの舞台となる伝統的な名コースを巡ってラウンドしてきたという逸話は有名です。

「ゴルフとは自然との闘い。力でプレーするだけでなく、人間の知力も駆使して闘うもの。そして世界レベルのゴルフコースにはまず超高速グリーンが必要」と知り、その目標に向かってのコース造りを進めているのです。

カレドニアンがスコットランド・リンクス精神を盛り込んだ戦略型コースといわれるのもそこに原点があるからでしょう。

設計はジョン・マイケル・ポーレット(米国)。R・T・ジョーンズJrと知り合い設計事務所の副社長の極東担当デザイナーとして数多くのコースを設計。独立してJ・M・ポーレットデザイン社では世界中に300コースを造りあげました。

ゴルフ発祥の地、スコットランドに憧れ、1990年(平成2年)に誕生したカレドニアンGCは間もなく30年の区切りの年を迎えようとしています。

ひとつとして類型のホールがなく、戦略性に富んだ18ホールが連繋しています。そしてどのホールにも言えるのがアンジュレーションの利いた高速グリーンです。

9番の、右サイドが高い変化に富んだグリーン。ピンポジによっては天を仰ぐ3パット、4パットの恐怖に見舞われます。危険な池を越すか、迂回するかで代表的な名物ホールの13番(407ヤード、パー4)。

右直角に曲がるフェアウェイのどこに第1打の狙いを定めるか。悩ましいホールです。グリーンは左から右へ速く、油断のならないパー4。

ポーレット氏は世界に有名な名ホールを意識的に採りいれています。15番(498ヤード、パー5)は、池とクリークを絡ませた右曲りホール。逆曲がりながら、オーガスタナショナルGCの名物・13番を彷彿させます。

ここでも第3打目のクリーク越えと、速く傾斜の強いグリーンの計算で、頭の中は混乱しそう。最終18番(545ヤード、パー5)は池とビーチバンカーを越えて打つティーショット。

3打目勝負のショートアイアンは、横長の段差のあるグリーンへ、再び池とビーチバンカーを越す必要があります。

下り傾斜にでもなると、ボールにタッチしただけで球は滑るように走ります。ホールアウトすれば、美しいワナの連続に頭も体もクタクタにさせられる18ホールです。

1990年10月開場のカレドニアンは「日本プロ」(2000年=優勝・佐藤信人)はじめ、「日本プロゴルフシニア」(02年)、女子でも「タカラワールド」、「樋口久子紀文クラシック」など、開催されたプロトーナメントも数多くあります。最近では17年9月、男子ツアーの「ダイヤモンド・カップ」で、このコースでしばしばミニ合宿を張っていた片岡大育が優勝。

最難関の15番では、30ヤード近いロングパットを残した片岡は、グリーン上でウェッジを使ってカップに寄せ、パーをセーブしたシーンが思い出されます。勝手知ったる片岡が演じた難解グリーンの攻略法で話題になりました。

15番~16番ホールの途中にある芝生育成所。現在コースで採用されている「Tyee」芝も、ここで育成された(カレドニアンGC)。

15番~16番ホールの途中にある芝生育成所。現在コースで採用されている「Tyee」芝も、ここで育成された(カレドニアンGC)。

日本男子レギュラーツアーでのグリーンスピードは平均12~13フィート。女子ツアーでは10~11フィート。米男子ツアーは12~14フィートです。

国内のアマチュア向け営業のゴルフ場では、プレーの進行上せいぜい8フィート前後というのが普通ですから、日本男子ツアー並みか、それを上回るカレドニアンのグリーンスピード体験は、感激です。

米ツアーのメジャーなど「ガラスのグリーン」といわれる高速グリーンが、ゴルフではスリルとエキサイティング を生むのです。マスターズ開催のオーガスタナショナルを始め、米国ツアーでは高速グリーンが当たり前。

アプローチの練習グリーンを整備するキーパーたち(カレドニアンGC)

これがひいては選手のレベルを高めます。残念ながら、日本にはこうしたコースは数えるほどしかありません。太平洋御殿場コースや横浜CC、我孫子GC・・など、最近はコース改造が目立ってきた日本のゴルフ界ですが、その先駆者といえるのがカレドニアンGCです。

英国リンクス志向の米国式デザインのカレドニアン。一段とスピードを上げた高速&アンジュレーショングリーンを心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうかー。

【この記事は2018-12-7 ゴルフ会員権売買の老舗 (株)桜ゴルフ『児島宏のグリーン見聞記』に掲載したものを転載しております】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です