「ゴルフ日記」の本には教えられることが多い!(その1)

【 GOLF・スケッチブック 】
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忙しいビジネスマン、ビジネスレディにとって、「ゴルフ日記」を付けることは並み大抵のことではないが、ゴルファーにとって「ゴルフ日記」とはどんな意味を持つのだろうか。大方の「ゴルフ日記」は自分の技術向上に目的を置いていると思うが、ゴルフの楽しみやゴルフの奥深さに加え、その人の人生のひと駒を描くことでもあろうか。

最初の日記は、「石川遼の上達日記」に触れてみたい。この本は「週刊ゴルフダイジェスト」2008年~2009年に連載された「遼くん日記」をまとめたもので、2009年発売。石川遼の原案に漫画家政岡としやが作品化したもの。遼くんが「マンシングウェア・オープン」に優勝して以来人気ゴルファーになった時期に掲載され、間もなく書籍化されて、多くのゴルフファンに注目された。

内容は、遼くんの小学生~中学生時代の日記をもとに、ゴルフの取り組み方、ゴルフに込めた思いを、漫画として描いた政岡としやの代表作の1つである。本の構成が「パッティングとアプローチ」が最初に、次の「350yを目指すドライバー」に置くあたり、著者のゴルフの取り組み方を感じる。

漫画ではあるが、遼くんのプロゴルファーになるまでの思いを、日記から巧みに取り入れて描き出している。若い人におすすめ。

つづいてベテランプロの金井清一の書いた「自分を叱咤して生きるープロゴルファーの日記」(太田出版刊/1990年)。金井は“公式戦男”と異名をとるほど公式戦に強く、2回の日本プロ、シニアツアーにおいては4回の賞金王を獲得、優勝回数33勝という成績を挙げ、現在では日本プロゴルフ殿堂に入っているジェンドである。

この日記は昭和から平成に変わる1989年の1月より1年間、金井清一が49歳の時の春・夏・秋・冬を綴ったもの、今から30年も前になる。通読してプロゴルファーの1年を余すところなく描いていて、プロの苦悩や喜びを忌憚のない気持ちが表現され、金井の勤勉さに教えられるところも多かった。

内容はシーズンオフ、シーズンインの出来事や感じたこと、体力づくり、スイングの迷いを、よくもあれほど書いたものだと感心する。文章も上手いし、日々の喜びや苦しみを自然体で表現している。金井自身のゴルフにあらわれるあの真面目さも染み出ていて親しみを感じる。トーナメントのプロアマ戦の体験とその大切さを書いている箇所など、片山晋呉に読ませたいほどだ。
  
この日記で知り得るところは、プロでもスイングの微妙な変化が意外と日常的に現れることが印象的であった。あれほど毎日練習を重ねている人たちでも本番になると現れる不具合、その修正に腐心する。背景に生活が懸かるという重圧に耐えながら、果敢にチャレンジする姿には、プロ魂そのものを受け止める。外から見える華やかさと裏腹に勝つための苦行の毎日がプロの世界であり現実であることを知った。

今回は若手の騎手石川遼とベテランでレジェントプロの金井清一、二人の日記に触れてみたが、次回はアマチュアとしてゴルフの魅力に取りつかれた大橋巨泉と石ノ森章太郎の二人の「ゴルフ日記」に触れてみたい。

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ABOUTこの記事をかいた人

■1941年東京生まれ。東海大学文学部広報メディア学科卒。
■1965年 FM東海(FM東京の前身)に入局。
■1970年FM東京開局と同時に入社。放送営業、番組制作、イベント事業、経営企画室など各部署を経験する。
■1991年FM東京の衛星波、株式会社ミュージックバード放送開始と同時に移籍、受信機開発、番組編成、契約営業の各部署を担当、取締役営業部長としてコミュニティFM放送再送信事業部を設立し、新たな事業展開に携わる。
■2001年株式会社FMサウンズ(ラジオ番組制作会社=FM東京関連会社)の社長に就任、「TFMパーソナリティカレッジ」など開設。
■2005年ミュージックバード顧問、FM戸塚の顧問として後進の指導に当たる。コーディネーターとして関わったコミュニティFM放送局は50局以上。
■2010年「コミュニティFM進化論」を出版、話題となる。現在、ミュージックバードの顧問、FM戸塚の顧問はじめ、放送ライターとして、ラジオの現状を様々な形で発表している。放送界の賞:ギャラクシー賞のラジオ部門選考委員。ゴルフ活動TFM勤務時代、生ワイド番組でゴルフ情報コーナーを企画し、FM放送に新風を送り込む。FM戸塚をキィー局として近隣7FM局とネットワークを組み、番組「松井幸二のゴルフパラダイス」を3年間放送。ゲストにゴルフ業界人百数十人をゲストに招き、ゴルフの楽しさ、ゴルフマナーの普及などをテーマとして取り上げる。ゴルフ歴40年。浜野ゴルフ倶楽部会員。