去る4月17日逝去された日本のゴルフコース設計家に大きな足跡を残された加藤俊輔氏の偲ぶ会が、7月11日国際文化会館で日本ゴルフコース設計者協会主催により開かれた。当日はゴルフ業界で親交のあった知人70余名が集まり加藤氏を偲んだ。
川田太三会長の挨拶に続いて、親交の深かった方々のエピドードが語られた。なかでも「アーノルド・パーマー:わがゴルフ闘争記」訳者の久保田誠一氏は、ゴルフ史研究家として「日本のゴルフ100年」を著した時、加藤氏から「君の本を200冊」買いましたよ」といわれたことにど肝を抜かれ、忘れ難い思い出となった話を披露した。また、日本ジャーナリスト協会会長の片山哲郎氏からは、多忙な仕事の中にもかかわらず、快く取材に応じて下さった加藤氏の人柄について、具体的なエピソードを交えて語られた。
加藤俊輔氏は1933年生まれ、独立して設計会社を営む前に、一時(株)太平洋クラブの設計部に在籍されていた。同社にあって当時交流のあった松井幸二氏(JGJA会員)が幾つかの思い出を語られた。その1つは加藤氏の大のシャンソン好きについての話、赤坂のシャンソンクラブによく通われていたエピソード。また越路吹雪さんと親交が深かったことなどにも触れた。
芸術鑑賞から得られた加藤氏のコース設計にみる美意識の一端を伺わせる話。加藤氏の代表作品でもある太平洋クラブ御殿場コースの設計について、彼の耽美的手法の特徴と共に、持論でもあるボールゲームの原点「リンクス」について、氏の尊重されていたことについても触れていた。
一方松井氏は、かつて担当されたラジオ番組で加藤俊輔氏をゲストに招き、ゴルフに関するさまざまな話を聞かせてみもらったエピソードも披露。その番組は8年ほど前、加藤氏が77歳の頃のものだ。
そのラジオ番組はコミュニティFM局をネットワークする一方、インターネットで全国放送する1時間番組だった。ゴルフ界の各分野で活躍されるエキスパートを招き、ゴルフの広さ深さを多角的に聴かせる番組で、松井幸二氏(JGJA会員)がパーソナリティを務め、プロデューサーは紺野望(JGJA会員)、横内陽子氏がディレクター、制作はFM戸塚であった。
加藤氏出演の放送は2010年4月10日放送のもの。「加藤俊輔氏を偲ぶ会」後、かつての番組スタッフから談話の部分をYouTubeにアップし、かつての声を聴き偲んではどうかという提案があり、関係者の協力で実現した。YouTubeは誰でも聴くことができる。ぜひ加藤氏の貴重な声とコース設計の思いをお聴きいただきたい。なお著作権関係は、関わる団体個人の了解を得ている。
対談の内容はおおよそ次のようなものである。
〇 コース設計家の加藤氏が抱くアーキテクトとアーティストの共通性について。
〇 シャンソン通の加藤氏とパリの街で越路吹雪と出会うエピソード。
〇 世界のゴルフコース見聞と日本の美意識を生かしたコース設計について。
〇 加藤氏のゴルフ事始めの様子、コース設計に携わる経緯。
〇 加藤氏の代表作の1つ、太平洋クラブ御殿場コースの具体的な設計思想と戦略。
〇 御殿場コースの4番ショートコースの不思議と18番に託された戦略的設計など。
〇 オーガスタナショナルGCのコースがシンメトリーに作られている設計の不思議。
〇 日本で尊重すべきスロープレート採用の意見(その後2012年に承認された。)
〇 加藤氏を捉えて離さない「リンクス」についての思いをじっくり語る。
加藤氏の熱意のある対談を聴いていると、コース設計に込められた加藤俊輔ワールドへと引きずり込まれる。お元気だった頃の熱の籠った話を、この肉声を聴き、かつての加藤俊輔氏を偲んでいただきたい。
[…] 加藤俊輔氏を偲んで聴くかつてのラジオ対談! 名ゴルフコース設計家「加… […]