2016年の規制改定で「高反発」を正当化する秘策

ゴルフ用品市場の低迷は、2008年1月に施行された「反発規制」から始まったと明言できる。それ以降、ゴルフヘッドについては重量やライ・ロフトを可変できるものがルールで許容され登場したが、ゴルファーが一番望んでいる飛びを革新したものは規制の強化で登場していない。極論すれば飛びの進化がないのである。
一部にルール違反と明言して、高反発クラブを発売するメーカーはあるが、ゴルファー心理としては「ルールがあってのスポーツ」であり、それを無視して飛ばしても後ろめたさは残ってしまう。従って、現状の高反発クラブは異端視されている。
ゴルフ用品市場の低迷を打ち破るには、飛びの更なる進化、革新ができるクラブの開発環境が必要だ。そのためには、足枷となっているゴルフ規則の改定が必要だが、果たして業界関係者は規則の詳細についてどれほど熟知しているのか? 巷間、競技規則とエンジョイ派向けの規則を分けるべきとの主張を聞くが、これは規則統括団体に対してルールの抜本的な改定を迫るため、実現性は薄い。そうではなく、ある種の「条件闘争」に持ち込むことが有効だと思えるのだ。

規則の「例外」を突く

ゴルフ規則を読むと例外規定がいくつもあり、その一例が距離測定器の使用だ。「規則14-3.人工の機器と異常な携帯品、携帯品の異常な使用」では「b.プレーに影響するような距離や状況を測る目的のもの」が明確に禁止されており、違反の罰は競技失格となるのだが、ゴルフ規則の続きには以下が明記されている。
注:委員会はプレーヤーが距離のみを計測する機器を使用することを認めるローカルルールを制定することができる――。これを適用して全英アマチュア他いくつかの大会では距離測定器の使用をローカルルールで認めている。
高反発クラブも、これに倣うべきだろう。委員会が高反発クラブの使用をローカルルールで認められる裁量を、例外規定に盛り込めばいい。つまり、プロのトーナメント、オープン競技のような大会は従来通り禁止だが、シニア競技、クラブ競技、月例競技等はそのクラブの委員会の裁量により、高反発クラブの使用をローカルルールで認められるよう、R&Aに働き掛けることだ。委員会は、ゴルフ規則の適用を排除する権限を持たないので、ゴルフ規則に明記する必要がある。明記されれば、委員会がローカルルールで高反発クラブの使用を認め、自ら審判となるゴルフの本質を守りつつ堂々と高反発クラブでプレー出来る。
具体的には規則「4‐1.クラブの形状と構造」の「a.通則」に注:委員会は高反発クラブ(ペンデュラムテストプロトコル(R&Aテスト内規)に定められている上限を超えるスプリング効果を持ってはならない)を使用することを認めるローカルルールを制定することができる。
たった1行の加筆により、メーカーの技術革新への挑戦意欲が再起動し、革新的開発が進むはず。このことを私は強く提案したい。
※委員会:「委員会」とは競技を管理する委員会をいい、競技に関する問題でない場合にはコースを管理する委員会をいう。(ゴルフ規則 用語の定義)

(2015年ゴルフ用品界10月号より転載)

ABOUTこの記事をかいた人

嶋崎平人

1951年生まれ。ブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、多方面ででゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
東洋経済オンライン及び
日本経済新聞社フェアウエーへのいざないにてゴルフ関連記事を執筆中